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104<br />
無 言 の 詩 にお 前 は 飛 躍 する。<br />
お 前 は 生 命 の 意 味 を 呑 みほし・・・<br />
ああ、 驚 くべき 自 意 識 、<br />
ああ、 壮 大 な 存 在 感 。<br />
この 詩 は、 ウィリアム・ ブレイク(William Blake: 1757-1827) の “Ah! Sunflower”<br />
(87) を 連 想 させる。 人 間 がいかに 人 間 同 士 の 関 係 性 を 気 にして 生 きてい<br />
るかに 対 し、 向 日 葵 はいかに 素 直 に 生 きているのか。 表 現 や 語 句 は 違 うが、 内 容<br />
は 非 常 に 似 ている。ノグチがブレイクを 好 んで 読 んだという 記 録 には 出 会 ってい<br />
ないが、キーツやワーズワースが 好 きだったノグチのこと、ブレイクを 読 んでい<br />
ても 不 思 議 はない。また、この 詩 は、ホイットマン 的 要 素 も 入 っているとも 言 え<br />
る。「お 前 」という 語 句 を 何 度 か 繰 り 返 しながら、 向 日 葵 という、 誰 でも 知 って<br />
いる 草 花 を 選 び、まるで 気 の 知 れた 友 人 に 呼 びかけているかに 聞 こえる。また、<br />
向 日 葵 に 向 かって 呼 びかけているようでいて、 独 り 言 のようにも 聞 こえ、 実 は 私<br />
たち 人 間 に 聞 いてほしいのだな、と 感 じる 呼 びかけでもある。 更 に、 先 ほどの<br />
「 東 洋 的 想 像 」には「あなた」と 言 っていただけではなく、「どうか…」と 謙 って<br />
いたのに 対 し、 向 日 葵 には 少 々 強 気 に「お 前 」と 言 っているあたりは、 日 本 語 な<br />
らではの 距 離 感 の 表 現 である。 亀 井 が 指 摘 した、ノグチがホイットマンから 受 け<br />
た 影 響 の 一 つが 神 秘 的 自 然 観 であったが、 時 には、この 向 日 葵 のように、 距 離 感<br />
を 縮 めながら、 時 には、 拝 むようにひたすら 賛 美 しながら、ノグチは、 自 然 を 通<br />
して 理 想 の 生 き 方 を 語 る 詩 法 を 日 本 に 広 めたかったに 違 いない。<br />
このように、ノグチは 欧 米 で 学 んで 来 た 詩 法 や 思 考 様 式 を、 日 本 語 でも 表 わそ<br />
うと 試 みた。<br />
III<br />
本 論 文 を 通 して 提 示 したように、ヨネ・ノグチは、その 72 年 の 生 涯 で、 日 本<br />
人 として 他 に 類 を 見 ない 程 、 数 々の 国 際 的 な 業 績 を 残 した。 本 論 文 で 取 り 上 げた