近代日本における、ある異邦人の宿命 - subsite

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献 できた 点 など、ノグチの 日 本 詩 についての 課 題 は 山 積 みであり、 今 後 の 研 究 を
待 たなければならない。 現 時 点 で 思 いもつかぬ 課 題 も 多 々あるだろうと 予 想 でき
るほど、ノグチの 日 本 詩 をめぐる 課 題 は 山 積 している。ここでは、ホイットマン
の 影 響 やイギリスのロマン 派 の 影 響 がまだまだ 現 れていると 見 えるノグチの 詩 の
ほんのいくつかを 紹 介 したい。
まず、 先 ほどの “Right and Left” の 邦 訳 「 右 と 左 」である。これはまず、『 二
重 国 籍 者 の 詩 』、その 後 改 稿 されて、『 野 口 米 次 郎 英 選 詩 集 』と『 表 象 抒 情 詩 』に
も 収 録 された (80) 。
(81)
右 と 左
青 い 山 は 私 の 右 に、
黄 色 の 日 光 は 私 の 左 に、
笑 ふ 風 はその 間 を 過 ぎゆく。
白 い 川 は 私 の 左 に、
赤 い 花 は 私 の 右 に、
笑 ふ 處 女 はその 間 を 行 く。
雲 は 私 の 右 を 帆 走 り、
鳥 は 私 の 左 を 飛 び 降 る、
笑 ふ 月 はその 間 に 顕 はれる。
私 は 左 へ 向 いて 詩 の 谷 へ、
私 は 右 へ 向 いて 戀 愛 の 森 へ…
だが、 家 路 へとその 道 を 急 ぐ。
漢 字 で 書 く「 右 と 左 」は、 英 語 の “Right and Left” よりも、 見 た 目 に 似 ている