Jaguar Magazine 03/2017 – Japanese

GORILLAZ
ゴリラズの 共 同 創 設 者 、
ジェイミー・
ヒューレット( 左 ) と
デーモン・アルバーン
アーティストのジェイミー・ヒューレットが、2017 年 初 頭 の
あるどんよりとした 午 後 、ロンドンのシャフツベリー・ア
ベニュー 沿 いにある 何 の 変 哲 もない 会 議 室 に 座 っている。
ラップトップとトレードマークの 不 安 げな 笑 みで 身 を 固 め
た 彼 は、 今 日 ここで、20 年 近 く 前 に 創 ったキャラクターの 最 新 バージョ
ンをお 披 露 目 するのだ。そのキャラクターとは、 彼 と 英 国 のロックバンド、
ブラーの 中 心 人 物 、デーモン・アルバーンが 生 み 出 したバーチャルバンド
「ゴリラズ」である。ニューアルバム「ヒューマンズ」( 曰 く、 混 沌 としたこ
の 時 代 に 向 けた「パーティーアルバム」)を 引 っさげての 復 帰 にまつわる
ストーリーは、 英 国 のメジャー 音 楽 誌 『Q』6 月 号 で 巻 頭 カラーを 飾 る。
その 中 にはヒューレットの 独 占 インタビューが 入 る。
ゴリラズを 知 らないという 人 もいるだろう。このバーチャルバンドはボー
カルの 2D( 本 名 スチュアート・ポット)、ベースのマードック・ニカルス、
アメリカ 人 ドラマーのラッセル・ホブス、 日 本 生 まれのギタリスト(そして
ジャガー 狂 !)のヌードルの 4 人 組 で、それぞれ 際 立 った 個 性 と 素 性 の
持 ち 主 だ。そして、ヒューレットが 彼 の Mac のキーをたたいて 表 示 した
画 面 を 見 ると、この 5 年 間 の 活 動 休 止 中 に 4 人 は 年 齢 を 重 ねてもいる。
ゴリラズの 結 成 は 1997 年 にさかのぼる。グラフィックアーティストの
ヒューレットとミュージシャンのアルバーンはどちらも 創 作 活 動 と 感 情 面
の 両 方 で 行 き 詰 まりを 感 じていた。ヒューレットはそれに 先 立 つ 10 年 間 、
コミック『タンク・ガール』の 共 同 クリエイターとして 道 を 切 り 開 いていた。
『タンク・ガール』は 十 代 の 主 人 公 が 時 代 の 趨 勢 の 中 で 無 政 府 主 義 的 な
自 我 を 解 き 放 っていくストーリーだ。 有 力 コミック 誌 『Deadline(デッド
ライン)』に 寄 稿 し 始 めたヒューレットはロックバンド、 特 に 英 国 のパンク
バンド、センスレス・シングスのアルバムジャケット 向 けアートも 手 掛 けた。
一 方 、アルバーンは「ブリットポップ」の 流 行 や 自 らのバンド、ブラーに
縛 られることにうんざりし、どこまでも 広 がる 音 楽 の 嗜 好 を 充 実 したアン
グラヒップホップ、US エレクトロ、ディープソウル、ダブ、そしてワール
ドミュージックへと 向 けていた。
共 に 30 歳 を 迎 えようとしていた 二 人 は、ウェストボーン・グローブの
アパートで 一 緒 に 暮 らし 始 めた。MTV をひっきりなしに 見 続 け、そこで
流 れる 明 らかに 未 熟 な 音 楽 を 嘆 いた 後 、 完 全 に 架 空 のバンドを 作 る 計 画
を 考 えつく。アルバーンはさまざまな 協 力 者 と 音 楽 制 作 に 取 り 組 み、
ヒューレットは 耳 にするものからインスピレーションを 受 けて 架 空 バンド
のメンバーを 描 いていった。
彼 らではない 人 々の 手 から 生 まれたなら、ゴリラズはおそらく 短 命 のプ
ロジェクトに 終 わっただろう。だが、ヒューレットとアルバーンにとって、
それは 自 由 の 証 だった。バンド 名 を 冠 したデビューアルバムは 2001 年 3
写 真 : PAL HANSEN / GETTY IMAGES
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