Jaguar Magazine 03/2017 – Japanese

FEELING
SUPERSONIC
コンコルドは 28 年 間 に 渡 って 音 より 速 く 飛 び、 時 差 を 超 えることで
時 計 に 逆 らい、 離 陸 した 時 刻 より 早 い 時 刻 に 目 的 地 に 着 陸 する
現 象 を 起 こした。 米 国 のスタートアップ 企 業 、ブーム・テクノロジーは
世 界 はもう 一 度 タイムトラベルをする 準 備 ができていると 言 う。
文 : Paul Entwistle
英
国 とフランスが 共 同 開 発 したコンコルドは1969 年 3 月 2 日 、
初 飛 行 を 記 念 した。 これまでに 製 造 された 民 間 航 空 機 で 最
も 美 しく、かつ 最 もパワフルだったコンコルドは、テクノロ
ジーとデザイン 両 方 の 覇 者 だった。 一 夜 にして 空 の 旅 に 革 命 をもたらし、
ヨーロッパ – 北 米 間 の 飛 行 時 間 を 半 分 に 短 縮 。 超 音 速 、すなわち 時 速
約 2,170キロ( 音 速 の2 倍 以 上 )の 巡 航 速 度 でほぼ 成 層 圏 の 高 度 を 航 行
する 能 力 を 備 え、1976 年 1 月 に 商 用 運 航 を 開 始 した。
コンコルドを 飛 ばすことには 莫 大 なコストが 伴 った。この 批 判 を 支 持
者 は 激 しく 否 定 し、コンコルド 運 用 の 最 後 の 数 ヵ 月 間 、ブリティッシュ・
エアウェイズは 実 は 所 有 するコンコルド 機 材 で 収 益 が 上 がっていたという
議 論 を 展 開 している。それにしても、コスト 意 識 が 高 まった 21 世 紀 初 頭
に 大 西 洋 を 横 断 する1 回 の 飛 行 で、 大 量 の 燃 料 を 消 費 する 航 空 機 は 環 境
に 配 慮 しているとも 呼 べず、128 席 という 点 からもまったく 採 算 が 合 わな
いものだった。
過 去 15 年 間 、 空 の 旅 に 超 音 速 という 選 択 肢 は 存 在 していない。 旅 客
機 がバスのように 身 近 になり、メーカーを 問 わずどれも 似 たような 形 状 に
見 える 時 代 に、パワーとエレガンスを 融 合 したコンコルドのような 独 特 な
機 体 は 空 から 消 えている。
だが、それはまもなく 変 わるかもしれない。コンコルドが2003 年 を
最 後 にエンジンを 止 めて 以 来 、 長 距 離 フライトの 乗 客 は 通 勤 のように 単
調 な 亜 音 速 飛 行 という 選 択 肢 に 追 いやられたままだ。ビジネスクラスや
ファーストクラスの 快 適 度 は 確 実 に 向 上 したが、 飛 行 時 間 は 相 変 わらず
THE JAGUAR 67