大学生における「居場所」と精神的健康に関する一研究 - 創価大学
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施場所は講義が行われた各教室であった。アンケートに回答していただく前に、調査の内容や趣旨を<br />
簡卖に説明し、無記名なので回答者が特定されないことや、アンケート調査の内容が講義の成績とは<br />
関係ないこと等も併せて説明した。調査への協力は強制ではないことも説明し、受講生に無理矢理ご<br />
協力いただくことは極力避けるよう心がけた。<br />
(4)調査内容<br />
【質問紙の構成】<br />
3.結果<br />
①フェイスシート(学年、年齢、性別、サークルに入っているか否か など)<br />
②自己認知する「居場所」に関する質問(「居場所」の有無、具体的な「居場所」など)<br />
③杉本・庄司 14 (2006)の「居場所」の心理的機能に関する尺度 (5件法)<br />
④清水・今栄 15 (1981)のSTAI日本語版の状態不安尺度 (4件法)<br />
⑤山本・松井・山成 16 (1982)の自尊感情尺度 (5件法)<br />
(1)因子分析<br />
杉本・庄司 17 (2006)の「居場所」の心理的機能に関する尺度を大学生において実施し、そのデー<br />
タを因子分析にかけた結果を示す。統計ソフトはSPSS15.0を用い、主因子法による因子分析を行っ<br />
た。固有値1.0以上の7因子を抽出し、プロマックス回転を行い、因子負荷量が0.4未満の項目を削除し<br />
て検討した結果、33項目が抽出された。その33項目で再度主因子法プロマックス回転をかけた結果を<br />
次頁の【表1】に示す。なお因子負荷量が低く削除された項目は、項目21「自分のものがある」(因子<br />
負荷量.383)と項目30「好きなものがある」(因子負荷量.379)の2項目であった。各因子について信<br />
頼性を確かめるために、クロンバックのα係数を算出した結果、第Ⅰ因子α=.92、第Ⅱ因子α=.87、<br />
第Ⅲ因子α=.86、第Ⅳ因子α=.87、第Ⅴ因子α=.84、第Ⅵ因子α=.76、第Ⅶ因子α=.86と軒並み<br />
高い値を示し、予備調査における各因子の信頼性は確かめられた。加えて、累積寄与率の値は、7因<br />
子合計で72.07(%)と高い値を示しており、7つの共通因子で全体の72.07%までを説明できたという<br />
結果が得られた。この点から、本尺度の説明率の高さが示唆された。<br />
先行研究の因子構造との違いについてだが、まず予備調査において抽出された7因子について説明する。<br />
第Ⅰ因子は、「悩みを聞いてくれる人がいる」や「自分は大切にされている」などの7項目からなる因子で、先<br />
行研究の第Ⅰ因子と全く同様の項目群となった。したがって、その名称も先行研究と同様「被受容感」と命<br />
名した。第Ⅱ因子は、「本当の自分でいられる」や「自分らしくいられる」などの5項目からなる因子で、先行<br />
研究においては10項目で構成されていた第Ⅱ因子「精神的安定」から分かれてできた因子と考えることが<br />
できる。先行研究の因子に比べ、“無理をせずその場に自分らしくいられること”という意味合いが前面に<br />
押し出された因子となったので、第Ⅱ因子は「自然体」と命名した。第Ⅲ因子は、「物思いにふける」や「自分<br />
のことについてよく考える」などの5項目からなる因子で、先行研究における第Ⅳ因子に「寝ることができ<br />
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