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大学生における「居場所」と精神的健康に関する一研究 - 創価大学

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各「居場所」に特有の心理的機能を探るについてだが、本研究では「居場所」の分類として杉本・<br />

庄司 28 (2006)を参考に以下の3つの分類を行った。1つ目は「自分1人の居場所」、2つ目は「家族の<br />

いる居場所」、3つ目は「家族以外の人のいる居場所」である。これらの3つは同じ「居場所」という<br />

大きな枠組みでは一括りにされるが、どの場所が「居場所」となっているのかによって、そこで得ら<br />

れるものは異なってくると考えられる。そこで本研究では、「居場所」を上記の3つに分類した上で、<br />

それぞれの「居場所」がどのような特有の心理的機能をもっているかということを探求したい。同じ<br />

「居場所」があるという状態の被調査者であっても、選んだ「居場所」の種類によって、各人が受け<br />

る心理的な影響が異なってくるのではないかという問題も、この部分の分析によって明らかにする。<br />

最後に「居場所」がないと回答した被調査者が「居場所」であって欲しいと思う場所の特徴を探る<br />

についてだが、実際に心理的援助をすることを考えた場合、まず「居場所」がない状態の人々から援<br />

助することを考えるのが第一である。本研究では、「居場所」があると回答した被調査者においては「居<br />

場所」の心理的機能と精神的健康の関連性を見るが、それだけでは「居場所」がないと回答した人々<br />

の実態把握ができない。そこで、本研究においては、「居場所」がないと回答した人々に対しても、「居<br />

場所であって欲しいと望む場所」や「その場所に望む心理的機能」を回答してもらうことによって、<br />

「居場所」がない人々が“どのような場所”を「居場所」に望む傾向があるのか、“その望む「居場所」<br />

にいかなる心理的機能を求めているのか”ということを探ることも目的の1つとしたい。これにより、<br />

「居場所」がない状態の人々に、心理的援助をする際の1つの手がかりを見出したい。<br />

2.方法<br />

大学生を対象として、予備調査から因子構造を確定させた大学生版の「居場所」の心理的機能尺度、<br />

“抑うつ感”を測定する福田・小林(1983) 29 日本語版SDS、“アイデンティティの確立”を測定す<br />

る下山 30 (1992)“アイデンティティ尺度”の3つ尺度を掲載した質問紙調査を実施した。以下被調査<br />

者、調査の実施方法、各質問紙の構成について概説する。<br />

(1)被調査者<br />

被調査者は私立A大学の学生1年~4年生計228名である。回答者の内訳は、男性83名、女性145名。<br />

学年の内訳は、1年生45名、2年生79名、3年生88名、4年生16名である。<br />

(2)調査期日<br />

2007年9月25日~10月4日<br />

(3)調査方法<br />

講義終了後の時間で受講生にアンケート調査へのご協力をいただいた。実施時間は15分程度で、実<br />

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