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大学生における「居場所」と精神的健康に関する一研究 - 創価大学

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⑦「提供されているサービスは文化的な違いが考慮されておらず、自分たちはサービスの対象外だ」<br />

と認識している<br />

⑧「自分はサービスを受ける価値がない」と思っている<br />

これらの指摘を考慮に入れて、本研究における大学生の援助を考える際に、特に重要と思われる援<br />

助対象群のポイントを大きく以下の3点に絞り考察をする<br />

(1)サービスを利用する気持ちはあるが、卖にサービスの存在を知らないだけの人<br />

(2)サービスを利用する気持ちはあるが、実際に活用するエネルギーやスキルがない人<br />

(3)サービスに対して、意図的な拒絶反応や拒否反応を示す人<br />

上記の(1)から(3)の援助対象者の特性を考慮し、彼らに対する「アウトリーチ」的な援助につ<br />

いて考えると、最低限以下のポイントが見出せる。<br />

(ⅰ)新学期に“メンタルサポートガイダンス”を開き(原則強制参加)、そこで大学側が提供してい<br />

る“援助資源”について詳説する。それと同時に、援助対象群をSDS等の尺度を用いてスクリー<br />

ニングする。この際に“メンタルサポート”を受けることに対してどのような意見や考え方をも<br />

っているのかも尋ねておくと良い。<br />

(ⅱ)“メンタルサポートガイダンス”の際に、やや講義的な要素も取り入れ、メンタルヘルスの維持<br />

に関する情報や、心理的援助についての情報などを心理教育的に享受することも予防的施策とし<br />

て効果が期待される。<br />

(ⅲ)クラスなどの「居場所」をある程度制度として用意し、最低限学生が人間関係を持てる機会を<br />

保証する。その上で、リクリエーションや話し合いを通して、そのクラス内で仲良く付き合える<br />

友達を探せるよう配慮する。それに加えクラス担任は、受容的態度を基本として、各学生に信頼<br />

される存在としてあるよう努める。クラス担任は、いざという時に学生と大学をつなぐ架け橋の<br />

役割を果たす。<br />

(ⅳ)援助の必要性がある学生に対しては、対人関係能力を育成するような実践的なトレーニング<br />

や、メンタルヘルスに関する詳しい講座などを設け、そこに参加してもらう。このとき既に大学<br />

から足が遠のいている学生に対しては、担任に橋渡しをしてもらう。<br />

(ⅴ)意図的に“援助資源”を拒否する学生に対しては、直接的な働きかけによってコンタクトを適<br />

度に取ることを心がけるのと同時に、クラスの友達などの非公式的な交流を通してまずは人間関<br />

係の形成を試みる。これらの試みを並行して行う必要がある。また、彼らのニーズにできるだけ<br />

添うような「居場所」候補を設けておくことで、彼らが社会参加できる可能性を尐しでも高めて<br />

おきたい。<br />

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