抗 体 の 性 状抗 体 の 性 状4. パーオキシダーゼ 標 識 試 薬(1) パーオキシダーゼ 標 識 抗 体性 状パーオキシダーゼ 標 識 抗 体 は、クロマトグラフィーにより 精 製 されたポリクローナル 抗 体 のイムノグロブリン 分 画 やアフィニティー 精 製 された 抗 体 と、 高 い 特 異 活性 を 有 する 西 洋 ワサビのパーオキシダーゼ (HRP) から 作 製 されています。 標 識 の方 法 は、ダコ 社 で 開 発 された 特 別 な 方 法 で、Avrameas と Ternynck の 報 告 ( 文献 1)による 2 段 階 グルタールアルデヒド 法 を 基 礎 としています。その 反 応 は 非 常に 特 異 的 で、 十 分 な 量 の 結 合 と、しかも 高 い 活 性 を 有 する 標 識 抗 体 が 得 られます。得 られる 標 識 抗 体 の 分 子 量 は、およそ 20 万 から 24 万 です。特 異 性抗 体 の 特 異 性 は 交 差 免 疫 電 気 泳 動 法 により 確 認 し、 時 に ELISA 法 によっても検 討 しています。適 用パーオキシダーゼ 標 識 抗 体 は、 光 学 顕 微 鏡 や 電 子 顕 微 鏡 における 免 疫 組 織 細胞 化 学 染 色 法 , ELISA 法 , ウェスタンブロッティング 法 , 免 疫 沈 降 法 などの 方 法 に特 に 有 用 です。 希 釈 倍 率 は、それぞれの 方 法 別 に 各 施 設 で 設 定 すべきですが、 免疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 では 20〜200 倍 、ELISA 法 では 500〜2,000 倍 、ウェスタンブロッティング 法 や 免 疫 沈 降 法 などの 方 法 には 100〜1,000 倍 の 希 釈 をお 勧めいたします。染 色 用 基 質 と 色 原 体光 学 顕 微 鏡 や 電 子 顕 微 鏡 における 免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 に 3, 3'-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド (DAB) が 有 用 です。イミダゾールと 重 金 属 塩とを 組 み 合 わせた DAB を 使 用 することによって、 増 強 した 染 色 性 が 得 られます( 文 献 2, 3)。アガロースゲルでの 免 疫 沈 降 法 においての 最 も 感 度 の 高 い 染 色は、3 -アミノ- 9 -エチルカルバゾール (AEC) です( 文 献 5, 6)。ウエスタンブロッティング 法 にはテトラメチルベンジジン (TMB)( 文 献 4)など が 有 用 です。DAB( 文 献 7), TMB( 文 献 4), AEC はストック 溶 液 として 保 存 できる 利 点 があり、操 作 を 簡 便 化 させることができます。 過 酸 化 水 素 は 使 用 する 直 前 まで 加 えないで下 さい。なお、DAB は 発 癌 物 質 として、American National Institute for OccupationalSafety and Health により 記 載 されておりますが、 実 際 には、 非 常 に 高 いレベルでの 実 験 での 結 果 であり、オスのラットおよびマウスにおいて、4〜8g/kg の 投 与 で始 めて 影 響 が 認 められる 程 度 で、メスのラットおよびマウスにおいては 全 く 影 響が 認 められておりません( 文 献 8)。ELISA 法 においては 非 常 に 感 度 の 良 い 発 色 基 質 であるオルトフェニレンジアミン (OPD) の 使 用 が 勧 められます( 文 献 9)。DAB と OPD は 錠 剤 になったものが 発 売 されていますのでご 利 用 下 さい。さらに 高 感 度 な 発 色 を 望 む 場 合 は、テトラメチルベンジジン (TMB) の 使 用 をお 勧 めします( 文 献 10)。 調 製 不 要 の TMB 試 薬 (Code No. S1599) が 発 売 されています。溶 液安 定 剤 を 加 えた 形 で 溶 解 しています。安 定 性 及 び 保 存 法2 〜 8 ℃ で 保 存 して 下 さい。文 献1. Avrameas S. Ternynck T. Peroxidase labelled antibody and Fabconjugates with enhanced intracellular penetration. Immunochemistry1971; 8: 1175-9.2. Trojanowski JQ. Obrocka MA, Lee VMY. A comparison of eightdifferent chromogen protocols for the demonstration of immunoreactiveneurofilaments or glial filaments in rat cerebellum using the peroxidaseantiperoxidasemethod and monoclonal antibodies. J HistochemCytochem 1983; 31: 1217-23.3. S c o p s i L . L a r s s o n L I . I n c re a s e d s e n s i t i v i t y i n p e rox i d a s eimmunocytochemistry. A comparative study of a number of peroxidasevisualization methods employing a model system. Histochemistry 1986;84: 221-30.4. McKimm-Breschkin JL. The use of tetramethylbenzidine for solid phaseimmunoassays. J Immunol Methods 1990;135:277-80.5. Graham RC. Lundholm U. Karnovsky MJ. Cytochemical demonstrationof peroxidase activity with 3-amino-9-ethylcarbazole. J. HistochemCytochem 1965; 13: 150-2.6. Broe MK, Ingild A. Amplification of immunoprecipitates in agarose gelsby horseradish peroxidase-labelled antibody. Scand J Immunol 1983;17: 255-8.7. Pelliniemi LJ, Dym M, Karnovsky MJ. Peroxidase histochemistry usingdiaminobenzidine tetrahydrochloride stored as a frozen solution. JHistochem Cytochem 1980; 28: 191-2.8. Weisburger EK, Russfield AB. Homburger F, et al. Testing of twenty-oneenvironmental aromatic amines or derivatives for long-term toxicity orcarcinogenicity. J Environ Pathol Toxicol 1978; 2: 325-56.9. Sørensen CH. Secretory IgA enzyme immunoassay. Application of amodel for computation of the standard curve. Scand J Clin Lab Invest1982; 42; 577-83.10. Bos, E.S., van der Doelen, A.A., Lan Rooy N., Schuurs, A.H.W.M. 3,3', 5, 5'-Tetramethylbenzidine as an ames test negative chromogen forhorseradish peroxidase in enzyme immunoassay. J. Immunoassay 2 :187-204 (1981)(2) パーオキシダーゼ 標 識 ストレプトアビジン性 状パーオキシダーゼ 標 識 ストレプトアビジンは Streptomyces avidinii から 精 製したストレプトアビジンに 高 い 特 異 活 性 を 有 する 西 洋 ワサビのパーオキシダーゼ(HRP) を Avrameas と Ternynck の 報 告 による 2 段 階 グルタルアルデヒド 法 を改 良 したダコ 社 独 自 の 方 法 により 結 合 し、 精 製 しています。適 用パーオキシダーゼ 標 識 ストレプトアビジンは 免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 , ウェスタンブロッティング 法 , ELISA 法 , 核 酸 プローブを 使 った in situ hybridization 法など 各 種 の 方 法 での 高 感 度 な 検 出 に 適 しています。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む TBS (pH 7.2) に 溶 解 されています。保 存 法2 〜 8 ℃ で 保 存 して 下 さい。(3) パーオキシダーゼ 標 識 StreptABComplex性 状パーオキシダーゼ 標 識 StreptABComplex はストレプトアビジンとパーオキシダーゼ 標 識 ビオチンの 複 合 体 (Complex) で、 複 合 体 を 形 成 するストレプトアビジンの 量 とパーオキシダーゼ 標 識 ビオチンの 量 の 比 率 は、ビオチン 標 識 抗 体 との 機能 的 な 結 合 部 位 が 十 分 に 残 存 するように 厳 密 に 検 討 されています。適 用パーオキシダーゼ 標 識 StreptABComplex は 免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 , ウェスタンブロッティング 法 , ELISA 法 , 核 酸 プローブを 使 った in situ Hybridization 法など 各 種 の 方 法 での 高 感 度 な 検 出 に 適 しています。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む PBS (pH 7.2) に 溶 解 しています。保 存 法2 〜 8 ℃ で 保 存 して 下 さい。(4) PAP 複 合 体性 状PAP 複 合 体 は 高 い 反 応 性 を 示 し、 光 学 顕 微 鏡 をはじめ 電 子 顕 微 鏡 を 使 用 した広 範 な 免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 に 利 用 できます。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む 酢 酸 緩 衝 液 (pH 6.6) に 溶 解 しています。保 存 法2 〜 8 ℃で 保 存 して 下 さい。参 考 文 献Taylor CR, An immunohistological study of follicular lymphoma, reticulumcell sarcoma and Hodgkin′s disease. Europ J Cancer 1976; 12: 61-75.130i : 体 外 診 断 用 医 薬 品 。 体 外 診 断 用 医 薬 品 名 につきましては (11) ページをご 参 照 ください。d : 医 薬 用 外 毒 物g : 医 薬 用 外 劇 物
抗 体 の 性 状5. FITC 標 識 試 薬(1) FITC 標 識 抗 体性 状FITC 標 識 抗 体 は、 免 疫 蛍 光 抗 体 法 の 標 準 化 における 国 際 カンファレンスで 提示 された 厳 重 な 要 求 にあうように 作 製 しています。クロマトグラフィーにより 精 製 されたポリクローナル 抗 体 のイムノグロブリン 分画 や 精 製 モノクローナル 抗 体 に、FITC を 標 識 しています。 標 識 後 、 未 反 応 の FITCは Sephadex G25を 用 いたゲル 濾 過 で 完 全 に 除 去 しています。さらにイオン 交 換クロマトグラフィーにより、より 高 い 精 製 が 行 われており、この 過 程 で、 未 標 識 抗体 と 4 モル 以 上 の FITC が 結 合 した 分 子 を 除 去 しています。このように FITC 標識 抗 体 は 最 適 に 標 識 された 抗 体 分 子 からなり、 使 用 前 に 組 織 粉 未 で 吸 収 操 作 は必 要 としません。FITC とタンパク 質 との 結 合 比 は、A495nm と A278nm の 吸 光度 の 差 により 測 定 しており、 全 ての 製 品 において、0.65±0.05 であり、F/P 比 に 換算 しておよそ 2.3 です。特 異 性抗 体 の 特 異 性 は、 標 識 する 前 に 交 差 免 疫 電 気 泳 動 法 と ELISA 法 により 確 認 しています。モノクローナル 抗 体 の 特 異 性 は、ウェスタンブロッティング 法 により 確認 しています。 標 識 後 の 特 異 性 は、 直 接 免 疫 蛍 光 抗 体 法 あるいは 間 接 免 疫 蛍 光 抗体 法 により 確 認 しています。希 釈 倍 数希 釈 倍 数 は、 使 用 する 顕 微 鏡 の 型 や 使 用 条 件 、また 組 織 の 種 類 によっても 異 なりますので、 各 施 設 で 設 定 して 下 さい。溶 液FITC 標 識 のポリクローナル 抗 体 は、15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む PBS(pH 7.2) に 溶 解 しています。FITC 標 識 のモノクローナル 抗 体 は、15mmol/L アジ化 ナトリウムを 含 む TBS (pH 7.2) に 溶 解 しており、1 %ウシ 血 清 アルブミンにより 安 定 化 しています。安 定 性 及 び 保 存 法2 〜 8℃ で 暗 所 に 保 存 して 下 さい。 顆 粒 状 の 非 特 異 反 応 が 認 められる 場 合 は、0.22μm セルロースアセテートなどのメンブレンフィルターを 通 すことにより 元 の高 い 特 異 性 を 得 ることができます。 希 釈 した 状 態 での 保 存 は 避 けて 下 さい。蛍 光 の 消 失検 鏡 中 に FITC の 蛍 光 が 明 らかに 消 失 していきますが、 封 入 剤 に 種 々の 化 学 物質 を 添 加 することによりある 程 度 防 ぐことができます。その 物 質 や 封 入 剤 の 形 状などについては、 文 献 1, 2 を 参 照 して 下 さい。文 献1. Krenik KD, Kephart GM, Offord KP, Dunette SL, Gleich GJ, Comparisonof antifading agents used in immunofluorescence. J Immunol Methods1989; 117: 91-7.2. Valnes K. Brandtzaeg P. Retardation of immunofluorescence fadingduring microscopy. J Histochem Cytochem 1985; 33: 755-61.(2) FITC 標 識 ストレプトアビジン性 状FITC 標 識 ストレプトアビジンは Streptomyces avidinii から 精 製 したストレプトアビジンに FITC を 標 識 しています。適 用FITC 標 識 ストレプトアビジンは 免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 およびフローサイトメリーでの 高 感 度 な 検 出 に 適 しています。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む TBS (pH7.2) に 溶 解 しています。安 定 性 及 び 保 存 法2 〜 8 ℃ の 暗 所 に 保 存 して 下 さい。 顆 粒 状 の 非 特 異 反 応 が 認 められる 場 合は、0.22μm セルロースアセテートなどのメンブレンフィルターを 通 すことにより元 の 高 い 特 異 性 を 得 ることができます。 希 釈 した 状 態 での 保 存 は 避 けて 下 さい。蛍 光 の 消 失検 鏡 中 に FITC の 蛍 光 が 明 らかに 消 失 していきますが、 封 入 剤 に 種 々の 化 学 物質 を 添 加 することにより 防 ぐことができます。その 物 質 や 封 入 剤 の 形 状 などについては、 文 献 1, 2 を 参 照 して 下 さい。文 献1. Krenik KD, Kephart GM, Offord KP, Dunette SL, Gleich GJ, Comparisonof antifading agents used in immunofluorescence. J Immunol Methods1989; 117: 91-7.2. Valnes K, Brandtzaeg P. Retardation of immunofluorescence fadingduring microscopy. J Histochem Cytochem 1985; 33: 755-61.6. ローダミン 標 識 抗 体性 状クロマトグラフィーにより 精 製 されたポリクローナル 抗 体 のイムノグロブリン 分 画 に、テトラメチルローダミンイソチオシネートアイソマー R (TRITC) をMcKinney と Spillane が 報 告 した 方 法 により 標 識 しています( 文 献 1)。 標 識後 、 未 反 応 の TRITC はゲルろ 過 で 完 全 に 除 去 しています。さらに、イオン 交 換 クロマトグラフィーによって 未 標 識 と 過 標 識 の 抗 体 分 子 を 除 去 しています。ローダミンと 蛋 白 質 との 結 合 比 は、A554nm と A278nm の 吸 光 度 の 差 により 測 定 しており、 全 ての 製 品 において、0.40±0.05 です。適 用ローダミン 標 識 抗 体 は、FITC 標 識 と 組 み 合 わせた 二 重 染 色 に 有 用 です。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む PBS (pH7.2) に 溶 解 しています。安 定 性 及 び 保 存 法2 〜 8 ℃ の 暗 所 で 保 存 して 下 さい。 希 釈 した 状 態 での 保 存 は 避 けて 下 さい。文 献1. McKinney RM, Spillane JT. An approach to quantitation in rhodamineisothiocyanate labeling. Ann NY Acad Sci 1975; 254: 55-64.7. ビオチン 標 識 抗 体性 状Bayer と Wilchek が 報 告 した 方 法 に 従 って 標 識 しています( 文 献 1)。アフィニティー 精 製 抗 体 やその F(ab')2 分 画 と、アミノカプロン 酸 をスペーサーとしたビオチンが 共 有 結 合 しています。 遊 離 のビオチンは 透 析 またはゲルろ 過 により 除 去 しています。 最 適 な 比 率 で 結 合 したビオチン 標 識 抗 体 は、 非 特 異 反 応 が 少 なく 高 い特 異 性 を 有 します。適 用ビオチン 標 識 抗 体 は、StreptABComplex, ストレプトアビジンと 組 み 合 わせた免 疫 組 織 細 胞 化 学 染 色 法 に 有 用 です。これらの 実 際 例 は、 文 献 2, 3, 4 に 記 載 されています。この 抗 体 は、ウェスタンブロッティング 法 , ELISA 法 にも 適 しています。 希 釈 倍 率 は、それぞれの 方 法 別 に 各 施 設 で 設 定 すべきですが、 免 疫 組 織 細 胞化 学 染 色 法 では 200〜800 倍 、ウェスタンブロッティング 法 では 1,000〜4,000倍 、ELISA 法 では 5,000〜20,000 倍 希 釈 を 目 安 としています。また、フローサイトメトリーでは 10 6 個 の 細 胞 に 対 して 10μLの 抗 体 の 使 用 をお 勧 めします。溶 液15mmol/L アジ 化 ナトリウムを 含 む PBS (pH 7.2) に 溶 解 しています。保 存 法2 〜 8℃ で 保 存 して 下 さい。文 献1. Bayer E, Wilchek M. The use of the avidin-biotin complex as a tool inmolecular biology. Methods Biochem Anal 1980; 26: 1-45.2. Myhre MJ, Isaacson PG. Primar y B - cell gastric lymphoma-areassessment of its histogenesis. J Pathol 1987; 152: 1-11.3. Leathem AJ, Brooks SA. Predictive value of lectin binding on breastcancerrecurrence and survival. Lancet 1987; i: 1054-6.4. Miettinen M, Partanen S. Fräki O, Kivilaakso E. Papillary cystic tumorof the pancreas. An analysis of cellular differentiation by electronmicroscopy and immunohistochemistry. Am J Surg Pathol 1987; 11: 855-65.抗 体 の 性 状商 品 管 理 課 ( 在 庫 確 認 ・ 発 送 関 連 ) TEL : 03-5802-2583 FAX : 03-5802-2584131