生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理

生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理
力 の 向 上 を 目 的 とする 責 任 準 備 金 の 積 立 ルールが 改 正 され、 変 額 年 金
保 険 の 最 低 保 証 に 対 する 規 制 が 強 化 された。その 結 果 、 特 に、 変 額 年
金 保 険 に 特 化 している 一 部 の 生 保 会 社 は、 生 命 再 保 険 (リスク 移 転 )
や 増 資 (リスク 保 有 )による 大 規 模 な 対 応 に 迫 られることになった 8) 。
2003 年 度 以 降 は、 再 保 険 料 ( 合 計 額 )および「 再 保 険 レシオ」とも
に、2007 年 度 から2008 年 度 の 時 期 を 除 けば、 高 水 準 で 安 定 的 に 推 移 し
ている 9) 。 直 近 の2010 年 度 (2011 年 3 月 期 決 算 )では、 再 保 険 料 ( 合
計 )が9,820 億 円 、「 再 保 険 レシオ」が2.85%であり、90 年 代 前 半 と 比
べると 非 常 に 高 い 水 準 にある。このことから、わが 国 生 命 再 保 険 市 場
が 規 制 緩 和 後 の 約 15 年 間 でかなり 拡 大 してきたことがわかる。さらに、
欧 米 と 比 べた 場 合 のアジア・オセアニア 地 域 の 生 命 再 保 険 市 場 の 潜 在
的 成 長 力 という 観 点 からも、わが 国 の 生 命 再 保 険 市 場 に 対 する 世 界 の
再 保 険 プレイヤーの 関 心 は 高 いものと 推 察 される 10) 。
3.3. わが 国 の 生 命 再 保 険 の 利 用 実 態
前 節 では、90 年 代 後 半 以 降 の 生 保 会 社 の 商 品 戦 略 の 多 様 化 を 背 景 と
して、わが 国 生 命 再 保 険 の 市 場 規 模 が 拡 大 している 点 を 述 べた。それ
では、このような 生 保 再 保 険 の 利 用 拡 大 は、 全 ての 元 受 生 保 会 社 で 同
程 度 に 見 られる 現 象 なのだろうか。あるいは、 何 らかの 企 業 固 有 の 要
因 によって、 元 受 生 保 会 社 間 でその 利 用 の 程 度 に 大 きなばらつきがあ
るのだろうか。あるとしたら、どの 程 度 のばらつきが 観 察 されるのだ
ろうか。 本 節 ではこの 点 を 営 業 年 度 ごとの「 再 保 険 レシオ」(:= 再 保
険 料 / 収 入 保 険 料 ×100%)の 詳 細 を 見 ることから 検 討 したい。
表 2(A)は、2001 年 度 (2002 年 3 月 度 決 算 )から2010 年 度 (2011 年 3
月 度 決 算 )までの10 年 間 を 対 象 期 間 として、 国 内 で 営 業 する 元 受 生 命
保 険 会 社 の「 再 保 険 レシオ」の 最 大 値 と 最 小 値 に 関 して、その 営 業 年
度 ごとの 時 系 列 推 移 を 示 している。2001 年 度 以 降 のデータに 焦 点 を 絞
った 理 由 は、 第 1に、 生 保 再 保 険 市 場 が 拡 大 した 時 期 であること、 第
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