生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理
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生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理<br />
窓 販 の 解 禁 によって 変 額 年 金 保 険 の 市 場 規 模 は 急 拡 大 していた。とこ<br />
ろが、ほとんどの 生 保 が 扱 った 変 額 年 金 保 険 は、 元 本 割 れのリスクを<br />
保 険 会 社 側 が 負 担 する「 最 低 保 証 付 き」の 商 品 であったため、その 資<br />
産 運 用 リスクをヘッジするために 再 保 険 を 利 用 する 生 保 が 数 多 く 登 場<br />
したと 言 われる。このように 考 えると、 他 の 条 件 を 所 与 とした 場 合 、<br />
年 金 商 品 が 有 するリスク 特 性 は 再 保 険 需 要 を 高 める 可 能 性 が 十 分 にあ<br />
ると 推 察 される。そこで、 本 論 文 では、 急 速 に 進 む 少 子 高 齢 化 を 背 景<br />
に 顧 客 ニーズと 商 品 設 計 の 多 様 化 が 進 む 年 金 商 品 に 注 目 し、 収 入 保 険<br />
料 ( 合 計 )に 占 める 年 金 商 品 ( 個 人 年 金 + 団 体 年 金 )のシェアをとし<br />
て ANNUITY 定 義 する。<br />
さて、5.5 節 で 述 べたように 会 社 形 態 、すなわち、 株 式 会 社 と 相 互<br />
会 社 の 相 違 は、 理 論 的 には 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 に 影 響 を 与 える 可 能<br />
性 が 示 唆 される。MUTUAL は、この 会 社 形 態 の 相 違 をコントロール<br />
するためのダミー 変 数 であり、 相 互 会 社 であれば1、 株 式 会 社 であれば<br />
0の 値 をとる。Harrington and Niehaus(2002)やAdams, Hardwick, and<br />
Zou(2008)らの 議 論 に 基 づけば、 MUTUAL の 符 号 条 件 はプラスとい<br />
うことになる。<br />
最 後 に、 既 存 研 究 で 用 いられてきた 要 因 以 外 で 生 保 会 社 の 再 保 険 需<br />
要 に 影 響 を 及 ぼしうる 要 因 を 検 討 しよう。 第 2 節 で 述 べたように、 生<br />
命 再 保 険 で 移 転 されるリスクには、 死 亡 率 等 の 保 険 事 故 率 以 外 にも、<br />
資 産 運 用 に 関 連 する 投 資 損 益 や 新 契 約 獲 得 のための 事 業 費 なども 含 ま<br />
れる。したがって、 資 産 運 用 リスクが 相 対 的 に 高 い 場 合 や、 新 契 約 費<br />
の 負 担 が 急 激 に 増 加 している 場 合 には、 他 の 条 件 を 所 与 として、 生 命<br />
再 保 険 に 対 する 需 要 は 高 くなると 予 想 される。そこで、 本 論 文 では、<br />
資 産 運 用 リスクの 代 理 変 数 として RSIVST (「 有 価 証 券 ( 合 計 ) 残 高<br />
に 占 める 株 式 と 外 国 証 券 の 残 高 合 計 の 比 率 」)を 用 いる。また、 新 契 約<br />
費 負 担 の 急 増 に 関 する 代 理 変 数 として『インシュアランス 生 命 保 険 統<br />
計 号 ( 経 営 効 率 一 覧 表 )』に 掲 載 されている 新 契 約 率 の 対 年 始 現 在<br />
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