生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理

生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理
の 保 険 需 要 あるいは 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 の 研 究 の 優 位 性 を 指 摘 している。
このように、 企 業 の 保 険 需 要 や 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 行 動 を 実 証 的 に 解 明 す
ることは、 一 般 的 なリスクマネジメント 動 機 に 関 する 理 論 的 フレームワーク
を 実 証 面 から 支 えるという 意 味 においても、 高 い 学 術 的 価 値 があると 言 えよ
う。
17) 実 際 、 彼 らは、その 論 文 のなかで 次 のように 述 べている。”Significant attention
has focused on the determinants of corporate insurance purchases. While this
analysis generally involves observable firm characteristics, its implications have been
untested. This is primarily due to the difficulty in obtaining data on corporate
insurance purchases. We examine one industry where data on insurance purchases
are systematically reported: the insurance industry.”
18)このほかにも、Hoerger, Sloan, and Hassan (1990)は、 十 分 に 分 散 化 されたポ
ートフォリオ 構 築 の 結 果 として、リスク 中 立 化 した 所 有 構 造 のもとでも、 期
待 倒 産 コストの 存 在 が 保 険 企 業 の 再 保 険 需 要 に 重 要 な 影 響 をもつことを、 理
論 モデルを 提 示 した 上 で 実 証 している。また、Garven and Lamm-Tennant (2003)
は、 財 務 レバレッジ、 投 資 リターンと 保 険 金 支 払 いコストとの 相 関 、 特 定 の
保 険 種 目 (ロングテイル)を 引 き 受 けている 程 度 、タックス・ベネフィット
といった 要 因 が 再 保 険 需 要 に 与 える 影 響 を 理 論 モデルで 示 し、そのうえで
1980 年 から1987 年 までの 米 国 の 損 保 業 のデータを 用 いて 実 証 的 に 検 討 してい
る。
5. 保 険 需 要 ・ 再 保 険 需 要 に 影 響 を 与 えうる 理 論 的 要 因
5.1. 財 務 健 全 性 の 確 保 と 過 少 投 資 問 題
生 保 会 社 を 含 む 企 業 は、 一 般 に、 財 務 上 の 困 難 (financial distress)
にしばしば 直 面 することがあり、 最 悪 の 場 合 、 破 綻 という 結 末 を 迎 え
る 可 能 性 もある。 例 えば、 破 たん 状 態 に 陥 った 場 合 、 原 則 として、 債
務 条 件 を 変 更 することによって 合 法 的 に 会 社 を 更 正 させるか、あるい
は 債 務 者 と 協 議 の 上 、 会 社 を 清 算 することになるので、いずれにせよ、
法 律 や 会 計 の 専 門 家 を 雇 用 するなど、 直 接 的 なコストがここに 生 じる。
他 方 、かりに 破 綻 に 至 らない 場 合 であっても、 企 業 が 財 務 上 の 困 難
に 直 面 した 場 合 にはさまざまな 追 加 的 コストが 生 じる。 別 の 表 現 を 用
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