生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理
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生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理<br />
なり、 生 保 が 損 保 の1.3 倍 の 市 場 規 模 を 有 していることが 分 かる。その<br />
結 果 、 元 受 保 険 料 に 対 する 出 再 保 険 料 の 比 率 ( 以 下 、「 再 保 険 / 元 受 比<br />
率 」)は、 損 保 が 約 9%もあるのに 対 して、 生 保 はたった2% 程 度 しか<br />
ないことになる。<br />
それではなぜ、 生 保 再 保 険 市 場 は、 損 保 再 保 険 市 場 と 比 べてその 規<br />
模 も 小 さく、「 再 保 険 / 元 受 比 率 」に 至 っては 極 めて 低 い 水 準 に 甘 んじ<br />
ているのだろうか。 一 般 に、 生 保 は 安 定 的 なビジネスであるため、 損<br />
保 と 比 べて 再 保 険 の 利 用 動 機 が 低 いといわれる(トーア 再 保 険 (2011),<br />
Swiss Re. (2010))。そもそも、 損 保 が 扱 う 保 険 種 目 は 極 めて 多 様 であ<br />
り、かつ、 大 規 模 自 然 災 害 等 の 巨 大 な 保 険 リスクにも 常 時 晒 されてい<br />
る。そのため、 損 保 では、 伝 統 的 に 保 険 引 受 能 力 を 補 完 するために 再<br />
保 険 が 大 いに 活 用 されてきた。<br />
これに 対 し、 伝 統 的 に 生 保 は 人 の 生 死 を 保 険 事 故 とする 定 額 保 険 が<br />
主 であり、かつ、 死 亡 率 は 一 般 に 安 定 している 場 合 が 多 い。そうであ<br />
るならば、 死 亡 率 のリスクが 異 常 に 高 くなる 状 況 、つまり、 予 想 より<br />
多 くの 人 々が 死 亡 するような 状 況 が 発 生 した 場 合 において、 生 保 が 再<br />
保 険 を 活 用 する 場 面 が 想 定 される。 例 えば、 世 界 中 を 巻 き 込 むような<br />
極 めて 大 きな 戦 災 や 新 型 の 大 型 感 染 症 の 発 生 などがそれにあたるかも<br />
しれない。しかしながら、 勿 論 、 程 度 差 の 問 題 かもしれないが、 損 保<br />
で 想 定 されているような 大 規 模 自 然 災 害 等 に 関 する 巨 大 リスクの 場 合<br />
と 比 べて、こうした 状 況 はあまり 想 定 されない。その 結 果 、 少 なくと<br />
も、 保 険 引 受 能 力 の 補 完 という 意 味 におけるマーケットニーズは 限 定<br />
的 であると 推 察 される。<br />
しかしながら、 今 後 、 生 保 再 保 険 市 場 が 拡 大 する 可 能 性 も 否 定 でき<br />
ない。トーア 再 保 険 (2011)によれば、 世 界 の 生 命 再 保 険 市 場 の 現 状 か<br />
ら 見 てその 潜 在 的 成 長 力 は 高 いという。トーア 再 保 険 (2011)の 見 積 も<br />
りによれば、「 仮 に 元 受 生 命 保 険 の 出 再 率 が1ポイント 増 加 した 場 合 の<br />
2008 年 の 生 命 再 保 険 市 場 規 模 を 試 算 すると、570 億 米 ドルから804 億 米<br />
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