生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理
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生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理<br />
6) 医 療 技 術 の 進 歩 が 民 間 医 療 保 険 商 品 や 保 険 会 社 のリスク 管 理 に 与 える 影 響<br />
については、 堀 田 (2006)の 第 6 章 および 第 8 章 に 詳 しい。そちらを 参 照 され<br />
たい。<br />
7)1995 年 、Reinsurance Group of America( 以 下 、RGA)が 米 国 の 生 命 再 保 険<br />
会 社 としては 初 めて 東 京 に 駐 在 員 事 務 所 を 開 設 している(『 日 経 金 融 新 聞 』<br />
1995 年 8 月 28 日 付 を 参 照 )。また1997 年 には、 東 亜 火 災 海 上 再 保 険 ( 現 、トー<br />
ア 再 保 険 )が 生 命 再 保 険 の 事 業 認 可 を 取 得 し、 従 来 の 損 害 保 険 の 再 保 険 業 務<br />
に 加 え、 生 保 の 再 保 険 引 き 受 けやシステム 処 理 などのサービスを 生 保 各 社 に<br />
提 供 することになった。 同 社 は、 翌 1998 年 には、 生 命 再 保 険 の 一 部 変 更 認 可<br />
を 取 得 し、 従 来 の 死 亡 保 険 の 引 き 受 けに 加 え、 障 害 給 付 や 入 院 給 付 などの 保<br />
険 契 約 の 引 き 受 けも 可 能 となった(『 日 本 経 済 新 聞 』1997 年 3 月 1 日 付 朝 刊 、<br />
1998 年 5 月 14 日 付 朝 刊 を 参 照 )。 当 時 のわが 国 生 保 業 界 では、 再 保 険 専 門 会 社<br />
をその 前 身 とする 協 栄 生 命 を 除 いて、 再 保 険 の 位 置 づけは 極 めて 小 さかった。<br />
その 一 方 で、この 時 期 は 改 正 保 険 業 法 の 施 行 に 加 え、 伝 統 的 な 死 亡 保 障 マー<br />
ケットが 飽 和 状 態 に 達 しつつあり、わが 国 生 命 保 険 各 社 には 顧 客 ニーズの 変<br />
化 を 的 確 に 捉 えた 商 品 開 発 等 、より 一 層 の 保 険 商 品 の 多 様 化 が 求 められてい<br />
た。このように 多 様 化 する 商 品 に 対 応 したリスク 管 理 手 法 として、 生 命 再 保<br />
険 の 活 用 が 期 待 されつつあったことが、RGAなどの 日 本 市 場 への 進 出 の 背 景 に<br />
あったのかもしれない。その 後 、RGAは2003 年 に 外 国 損 害 保 険 業 の 免 許 を 取 得<br />
し、 日 本 国 内 で 生 保 向 け 再 保 険 専 業 会 社 として 本 格 的 な 営 業 を 開 始 している<br />
(『 日 本 経 済 新 聞 』2003 年 11 月 19 日 付 夕 刊 を 参 照 )。<br />
8) 例 えば、『 日 経 金 融 新 聞 』(2005 年 2 月 7 日 付 )は、 当 時 の 状 況 について、<br />
以 下 のように 報 じている。「ハートフォード 生 命 は 再 保 険 と 増 資 の 組 み 合 わせ<br />
で 新 ルール 対 応 の 検 討 を 開 始 した。 当 初 は 米 国 の 親 会 社 を 引 受 先 に 約 400 億 円<br />
の 増 資 のみで 対 応 する 方 向 だったが、 再 保 険 と 組 み 合 わせると 増 資 額 は 約 100<br />
億 円 に 収 まるとしている。 再 保 険 と 組 み 合 わせた 方 が 資 本 効 率 が 上 がるため、<br />
今 後 再 保 険 を 軸 に 新 ルール 対 応 を 詰 めていく 方 針 だ。カナダ 系 のマニュライ<br />
フ 生 命 保 険 も 増 資 よりも、 再 保 険 を 活 用 する 方 針 。 同 社 は 新 ルール 導 入 に 伴<br />
い 約 1015%あるソルベンシーマージン 比 率 が100ポイント 程 度 低 下 する 見 通<br />
しで、グループの 再 保 険 会 社 を 引 受 先 に 同 比 率 の 低 下 を 防 ぐ。 通 常 、ソルベ<br />
ンシーマージン 比 率 を 維 持 する 上 では、 増 資 よりも 再 保 険 の 方 が 効 果 的 とさ<br />
れる。600%の 同 比 率 を 維 持 するには 増 資 では、 再 保 険 金 額 の3 倍 近 くの 資 金<br />
が 必 要 になるとされるためだ。このため 業 界 2 位 の 三 井 住 友 海 上 シティ 生 命<br />
保 険 や、 東 京 海 上 日 動 フィナンシャル 生 命 保 険 も 再 保 険 の 活 用 を 検 討 してい<br />
る。」<br />
9)たしかに、サブプライム・ローン 問 題 が 顕 在 化 しつつあった2007 年 度 (2008<br />
年 3 月 期 決 算 )には 一 旦 落 ち 込 みを 見 せた 後 、リーマンショックおよび 世 界<br />
保 険 大 手 のAmerican International Group( 以 下 、AIG)の 国 有 化 後 の2008 年<br />
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