生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理

生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理
が 大 きいため 保 有 限 度 額 は 高 く( 中 略 ) 大 部 分 の 契 約 については、 元 受
会 社 自 体 で 保 有 することができる…」( 川 部 , 1970, p5)と 述 べている。
このように、 理 論 的 にも 実 務 的 にも、 規 模 と 再 保 険 需 要 の 関 係 は 代 替
的 であり、 故 に、 ASSET の 符 号 条 件 はマイナスということになる。
さて、これまで、 財 務 上 の 困 難 に 陥 る 可 能 性 を 軽 減 ( 会 社 の 健 全 性
を 確 保 )するために、 保 険 会 社 は 再 保 険 を 購 入 する 可 能 性 があること
を 繰 り 返 し 述 べてきた。つまり、 財 務 健 全 性 が 相 対 的 に 低 い 保 険 会 社
ほど 再 保 険 購 入 のインセンティブも 強 いと 予 想 されるのである。とこ
ろで、 既 存 研 究 では 期 待 倒 産 コストの 大 きさ 代 理 する 追 加 的 な 指 標 と
して、 会 社 の 財 務 健 全 性 に 関 する 諸 変 数 を 用 いることが 多 く、 例 えば、
一 般 事 業 会 社 の 場 合 によく 用 いられるのは 財 務 レバレッジである。し
かしながら、 保 険 会 社 の 財 務 健 全 性 としては、 通 常 の 財 務 レバレッジ
よりも、ソルベンシーマージン 比 率 や 危 険 準 備 金 の 積 立 水 準 といった
保 険 財 務 特 有 の 指 標 ほうが 適 切 であると 思 われる。そこで、 本 論 文 で
は、「ソルベンシーマージン 比 率 の 自 然 対 数 値 ( SOLVEN )」および
「 危 険 準 備 金 / 責 任 準 備 金 (CTRV )」の2つを 説 明 変 数 として 定 義
する。なお、 保 険 会 社 の 健 全 性 の 指 標 としてのソルベンシーマージン
比 率 については 改 めて 説 明 は 不 要 であろう。そこで、CTRV につい
て 以 下 、 簡 単 に 述 べておく。
そもそも、 危 険 準 備 金 とは、 将 来 の 保 険 金 支 払 いなどを 確 実 に 行 う
ため、 保 険 リスクや 予 定 利 率 リスク、あるいは 最 低 保 証 リスク 等 に 対
応 して 積 み 立 てることが 義 務 付 けられる 項 目 であり、 生 保 会 社 の 貸 借
対 照 表 上 の 負 債 ( 責 任 準 備 金 )に 含 まれている 30) 。ここで、 引 き 受 け
た 保 険 契 約 のエクスポージャー( 責 任 準 備 金 )に 対 して、どの 程 度 危
険 準 備 金 が 保 有 されているかという 指 標 もまた、 保 険 会 社 の 財 務 健 全
性 の 指 標 の1つとして 考 慮 に 値 するし、そうであるならば、 生 保 会 社
の 再 保 険 需 要 にも 影 響 を 及 ぼしうる 変 数 として 候 補 に 挙 げるべきであ
ろう。 以 上 まとめると、 本 論 文 で 採 用 する 保 険 会 社 の 財 務 健 全 性 を 示
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