生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理

生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理
受 業 務 量 に 比 較 して 余 りにも 僅 かである。その 理 由 としては、 各 元 受
会 社 ともに 経 営 規 模 が 大 きいため 保 有 限 度 額 は 高 く、しかも 社 会 組 織
や 税 制 の 関 係 で、 日 本 では 外 国 で 見 られる20 億 円 あるいは30 億 円 とい
った 巨 額 の 生 命 保 険 はありえないからである。 大 部 分 の 契 約 について
は、 元 受 会 社 自 体 で 保 有 することができるので 大 きな 再 保 険 業 務 量 は
期 待 できない。 第 二 に、 協 栄 生 命 の 再 保 険 部 門 は、 全 元 受 会 社 の 共 同
出 資 によって 設 立 された 旧 協 栄 の 延 長 として、 伝 統 的 に 同 社 内 におい
て 元 受 部 門 とは 切 り 離 されており、 各 元 受 会 社 に 対 する 再 保 険 サービ
ス 機 関 としての 役 割 を 果 たしている。 再 保 険 の 配 当 については、 死 差
益 の 殆 んど 全 てが 元 受 会 社 に 還 元 されているので、 元 受 会 社 の 計 算 か
らみても、 死 差 配 当 率 が 高 々30% 位 に 過 ぎない 外 国 の 営 利 的 な 再 保 険
会 社 の 食 い 込 む 余 地 はない。」( 川 部 , 1970, p.5)
このように、 戦 前 の 協 栄 生 命 再 保 険 の 営 業 開 始 以 降 、 確 かにわが 国
の 生 命 再 保 険 は 一 定 の 役 割 は 果 たしつつも、その 市 場 規 模 という 点 で
は、 欧 米 を 中 心 とする 他 の 保 険 先 進 国 と 比 べるとまだまだ 未 発 達 な 状
態 にあったと 推 察 される。
ところが、1990 年 代 後 半 以 降 、わが 国 生 命 再 保 険 市 場 に 大 きな 変 化
が 生 じている。 特 にその 傾 向 は21 世 紀 以 降 より 顕 著 に 見 られる。 図 1
は、1989 年 度 (1990 年 3 月 度 決 算 )から2010 年 度 (2011 年 3 月 度 決 算 )
までの22 年 間 における、 国 内 で 営 業 する 元 受 生 命 保 険 会 社 ( 全 社 )の
再 保 険 料 の 合 計 額 の 時 系 列 推 移 を、 図 2は、 同 期 間 ・ 同 対 象 で 計 算 し
た 収 入 保 険 料 に 対 する 再 保 険 料 の 比 率 ( 以 下 、「 再 保 険 レシオ」)の 時
系 列 推 移 を、それぞれ 示 している。これらの 図 を 見 れば 明 らかだが、
1996 年 度 (1997 年 3 月 度 決 算 )までは 再 保 険 料 ( 合 計 額 )、「 再 保 険 レ
シオ」ともにほぼ 安 定 的 に 推 移 しているが、1997 年 度 (1998 年 3 月 度
決 算 )にはそれぞれ 前 年 度 の 約 3 倍 に 急 上 昇 している。その 後 、 財 務
再 保 険 取 引 に 絡 む 巨 額 損 失 を 原 因 とする 損 保 会 社 の 経 営 破 たんが 生 じ
た2001 年 度 (2002 年 3 月 度 決 算 )には、 再 保 険 料 、「 再 保 険 レシオ」と
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