生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理
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生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理<br />
きいほど、 当 該 損 保 会 社 の 再 保 険 需 要 は 小 さいということを 発 見 して<br />
いる 18) 。さらに、Cole and McCullough(2006)は、 保 険 会 社 固 有 の 要 因<br />
に 加 えて、 再 保 険 会 社 側 の 要 因 が 個 々の 保 険 企 業 の 再 保 険 需 要 にどの<br />
ような 影 響 を 与 えるかについても、1993 年 から2000 年 までの 米 国 の 損<br />
保 業 のデータを 用 いて 実 証 的 に 検 討 している。<br />
最 近 では、 会 社 形 態 や 系 列 組 織 といった 要 因 が、 保 険 会 社 の 再 保 険<br />
需 要 に 追 加 的 な 影 響 を 及 ぼしているかどうかという 議 論 も 盛 んである。<br />
例 えば、Wang, Chang, Lai, and Tzeng(2008)は 米 国 損 保 を 対 象 に、 株<br />
式 会 社 化 が 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 に 与 える 影 響 を 検 証 している。また、<br />
柳 瀬 (2010)やYanase(2010)は、わが 国 損 保 会 社 を 対 象 に、 系 列 あるい<br />
は 企 業 集 団 という 要 因 が 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 に 与 える 追 加 的 影 響 を<br />
実 証 的 に 検 討 している。<br />
なお、 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 に 関 する 実 証 研 究 の 多 くは、 損 保 再 保<br />
険 を 対 象 に 活 発 な 議 論 が 蓄 積 されてきたが、 最 近 では 少 しづつではあ<br />
るが、Adams, Hardwick, and Zou(2008)を 初 めとして、 生 命 再 保 険 の<br />
分 野 にも 同 様 の 議 論 が 拡 張 されつつある。いずれにせよ、 保 険 会 社 の<br />
再 保 険 需 要 に 関 する 研 究 は、 企 業 の 保 険 需 要 のアプリケーションとし<br />
て 発 展 してきており、 以 下 で 論 じる 本 論 文 の 実 証 分 析 においても、こ<br />
うした 既 存 研 究 のフレームワークを 踏 襲 する。<br />
注 11)なお、わが 国 損 保 会 社 の 再 保 険 需 要 に 関 しては、 柳 瀬 (2010)および<br />
Yanase(2010)が1960 年 代 から2000 年 代 までの 期 間 の 個 別 企 業 レベルのデータ<br />
を 用 いた 実 証 的 検 討 を 行 っている。また、 類 似 のテーマとして、Yamori(1999)<br />
は 企 業 の 保 険 需 要 に 関 する 実 証 的 検 討 を 行 っている。しかしながら、 研 究 テ<br />
ーマの 重 要 性 に 比 して、わが 国 の 再 保 険 および 保 険 需 要 に 関 する 実 証 的 研 究<br />
の 蓄 積 は 極 めて 不 十 分 である。より 一 層 の 実 証 的 証 拠 の 蓄 積 のためには、 一<br />
般 事 業 会 社 の 保 険 料 や 保 険 会 社 の 再 保 険 料 に 関 する 情 報 開 示 が 不 可 欠 であり、<br />
今 後 のディスクロージャーの 進 展 に 期 待 したい。<br />
12) 生 保 会 社 固 有 の 再 保 険 需 要 の 決 定 要 因 が 明 らかになれば、さらに 一 歩 進 ん<br />
で、 資 本 要 件 規 制 (ソルベンシーマージン 規 制 )が 生 保 会 社 の 再 保 険 需 要 に<br />
及 ぼす 影 響 についても 議 論 が 可 能 となる。なぜなら、 資 本 要 件 規 制 が 厳 格 化<br />
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