生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理

生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理
果 をもつ。しかしながら、5.1 節 で 述 べたように、 企 業 が 保 険 を 購 入 し
ておくことでこうした 期 待 倒 産 コストを 低 減 させることができるので、
その 結 果 、 保 険 を 購 入 していない 場 合 と 比 べて、 負 債 利 子 の 損 金 算 入
によるタックス・ベネフィットをより 多 く 享 受 することができるので
ある 24) 。
5.3. 保 険 会 社 によるサービス 価 値
企 業 は 保 険 会 社 から 保 険 を 購 入 することによって、 保 険 事 故 が 生 じ
た 場 合 の 保 険 金 の 請 求 権 以 外 にも、さまざまな 付 加 的 なサービスの 提
供 を 受 けている。なかでも、ロス・コントロール・サービスは 特 に 重
要 である。ロス・コントロールとは 期 待 損 失 額 を 軽 減 するために、 事
故 の 発 生 確 率 と 予 想 される 損 失 額 の 片 方 あるいは 両 方 に 働 きかけるさ
まざまな 活 動 をいう。これには、 保 険 事 故 発 生 前 の 各 種 コンサルティ
ングサービスもあれば、 保 険 事 故 発 生 後 に 損 失 額 の 拡 大 を 抑 制 するた
めの 諸 活 動 の 両 方 を 含 む。こうしたロス・コントロール 活 動 をすべて
自 前 で 常 時 行 うとしたら、 企 業 のコスト 負 担 は 少 なくない。ロス・コ
ントロール 活 動 に 関 して、 保 険 会 社 は 規 模 の 経 済 性 を 享 受 することが
できるのである。
要 約 すると、 保 険 加 入 にともなって 保 険 金 支 払 いとロス・コントロ
ール・サービスが 一 体 となって 提 供 されることにより、 企 業 はこれら
のサービスの 入 手 コストを 節 約 することができる。すなわち、このよ
うな 保 険 会 社 によるサービス 価 値 の 提 供 こそが、 企 業 が 保 険 を 購 入 す
ることを 説 明 する 理 由 の1つとなる。 勿 論 、 生 保 会 社 による 再 保 険 会
社 の 利 用 に 関 しても 同 様 のロジックが 働 く 可 能 性 がある。 例 えば、
Adams, Hardwick, and Zou(2008)は、 小 規 模 の 生 保 のほうが 再 保 険 需
要 が 大 きいと 予 測 する 理 論 的 根 拠 の1つとして、 再 保 険 会 社 によるサ
ービス 価 値 を 取 り 上 げている 25) 。
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