生命保険会社の商品・販売戦略と 生命再保険によるリスク管理
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生 命 保 険 会 社 の 商 品 ・ 販 売 戦 略 と 生 命 再 保 険 によるリスク 管 理<br />
が 国 の 生 命 再 保 険 市 場 が 脚 光 を 浴 びつつあるといえる。それでは、 最<br />
近 の 生 命 再 保 険 の 需 要 拡 大 は、 全 ての 生 保 会 社 で 見 られる 現 象 なのだ<br />
ろうか。それとも、 何 らかの 企 業 固 有 の 要 因 によって、 生 保 会 社 間 で<br />
その 利 用 の 程 度 に 大 きなばらつきがある 現 象 なのだろうか。あるとし<br />
たら、 何 がその 重 要 な 決 定 要 因 なのだろうか。<br />
本 論 文 の 目 的 は、 生 保 再 保 険 市 場 が 特 に 活 性 化 し 始 めた2002 年 3 月<br />
期 (2001 年 度 )から2011 年 3 月 期 (2010 年 度 )までの10 年 間 を 対 象 に、<br />
個 別 企 業 レベルのデータを 詳 細 に 分 析 することによって、わが 国 生 保<br />
会 社 の 再 保 険 需 要 に 与 える 企 業 固 有 の 要 因 は 何 であるかという 問 題 に<br />
一 定 の 解 答 を 与 えることにある。<br />
実 証 分 析 の 結 果 、 以 下 の3 点 が 明 らかになった。 第 1に、 生 保 会 社<br />
の 商 品 構 成 が 再 保 険 需 要 に 重 要 な 影 響 を 与 えているということである。<br />
すなわち、 保 険 種 目 の 分 散 化 の 程 度 が 低 く、 年 金 商 品 の 取 り 扱 いのシ<br />
ェアが 大 きい 生 保 会 社 ほど、 出 再 に 対 して 積 極 的 であるという 点 であ<br />
る。 第 2に、 販 売 戦 略 を 強 化 し 新 契 約 高 を 急 激 に 拡 大 したことに 対 応<br />
して、 生 保 会 社 の 再 保 険 需 要 が 拡 大 している 可 能 性 である。 第 3に、<br />
ソルベンシーマージン 比 率 が 高 い 生 保 会 社 ほど、 再 保 険 購 入 に 消 極 的<br />
であることが 示 唆 された。これらの 結 果 は、 生 保 会 社 の 商 品 戦 略 ・ 販<br />
売 戦 略 と 再 保 険 利 用 によるリスク 管 理 戦 略 との 間 に 重 要 な 関 連 性 があ<br />
ることを 示 唆 している。<br />
本 論 文 の 構 成 は 以 下 のとおりである。 第 2 節 では、 生 命 再 保 険 の 機<br />
能 と 特 徴 について 簡 単 に 解 説 する。 第 3 節 では、 生 命 再 保 険 市 場 の 現<br />
状 を、 世 界 の 生 命 再 保 険 市 場 、わが 国 の 生 命 再 保 険 を 取 り 巻 く 環 境 変<br />
化 、およびわが 国 の 生 命 再 保 険 の 利 用 実 態 という3つの 観 点 から、 最<br />
新 のデータを 用 いた 考 察 を 行 う。 第 4 節 と 第 5 節 では、 生 命 再 保 険 お<br />
よび 保 険 会 社 の 再 保 険 需 要 行 動 に 関 する 国 内 外 の 既 存 研 究 を 要 約 する<br />
とともに、 再 保 険 需 要 に 影 響 を 与 えうる 要 因 について、 保 険 会 社 を 含<br />
む 企 業 一 般 のリスク 管 理 に 関 する 理 論 的 フレームワークに 基 づいて 議<br />
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