2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会

滑面無光沢の「月光ブラックラベル」を 11 月 5 日に発売.サ
イズは 6 切,4 切,A3+ の 3 種.
富士フイルムは,デジタルミニラボの新シリーズとしてフ
ロンティア 700 シリーズとして「フロンティア 700/710/720/
750/760/770/790」の 7 機種を 11 月 30 日に発売した.新シリー
ズは 2 種類のフィルムスキャナーと 7 種類のプリンター部を
フレキシブルに組み合わせできる拡張性を特徴とし,サイズ
の異なる 4 種のペーパーをスムーズに切り替えられるペー
パーマガジンにも対応.処理能力は 7000 の毎時 L 判 790 枚
から,7900 の毎時 2,500 枚まで.システム参考価格は,フロ
ンティア 710 が 1,639.5 万円,750 が 2,039.5 万円.
1.3 企業・団体・人の動き
富士フイルムグループは,2 月 13 日,富士フイルムホール
ディングス並びに事業会社である富士フイルム,富士ゼロッ
クスの 3 社の本社機能を東京・六本木の東京ミッドタウンの
「ミッドタウン・ウエスト」に集結した.また 3 月 30 日には
“写真文化の情報発信基地”として,写真ギャラリー,ショー
ルーム,写真博物館,イベントスペースを集約した複合施設
「フジフイルムスクエア」を開設した.
コダックと販売代理店の加賀ハイテックは,国内での処理
設備の維持が困難になったことを理由に,3 月でのコダク
ローム 64,コダクローム 64 プロフェッショナルの在庫払底
に伴い販売を終了し,12 月 20 日の受付分をもって国内での
現像処理を終了した.以後は米国での処理となる.
ペンタックスは,4 月 18 日に映像をキーワードにした総合
コミュニケーションスペースとして「ペンタックススクエア」
を東京西新宿の新宿センタービルに開設した.ギャラリー,
ショールーム,サービスセンター,会員制フォトカルチャー
クラブなどが設置されている.
日本カメラ博物館は,理研感光紙に始まるリコーの「リコー
フレックスから GR デジタルまで」展を 3 月 13 日から 6 月
24 日まで開催.
カメラ雑誌 11 誌の新製品担当者で構成するカメラ記者ク
ラブは「カメラグランプリ 2007 にペンタックス K10 を選考」,
6 月 1 日写真の日に贈呈式を行った.選考は記者クラブ員 11
名,雑誌代表者 11 名,外部委託選考委員 20 名,特別選考委
員 8 名の総計 50 名の記名投票により行われた.
カメラ映像機器工業会は,5 月 30 日に,代表理事会長にキ
ヤノン株式会社の内田恒二氏,代表理事副会長にカシオ計算
機株式会社の樫尾幸雄氏を選任した.
日本写真映像用品工業会は,5 月 30 日に,会長にベルボン
株式会社の中谷幸一郎氏,副会長に株式会社ケンコーの大堀
歡二氏とハクバ写真産業の南英幸氏が選任された.
ニコンは,1959 年のニコン F 発売以来,一眼レフ用のニッ
コールレンズの累計生産本数が 4,000 万本を突破したと 7 月
30 日に発表.
ニコンは,ニコン D2Xs と交換レンズアクセサリーなどが
アメリカ宇宙局 NASA からスペースシャトルの記録撮影用に
受注したと 8 月 22 日に発表.
富士フイルムは,デジタルカメラ生産を中国工場(蘇州市)
2007 年の写真の進歩 137
へ全面化.また CCD 前工程を東芝に生産委託し,独自の特
長あるスーパー CCD ハニカムのさらなる高性能化・高機能
化を迅速に進める.またデジタルカメラ生産の全面移管など
に伴い,宮城県黒川郡大和町の富士フイルムフォトニックス
を 2008 年 8 月に解散する.なお CCD 前工程生産の外部委託
に伴い,宮城県仙台市泉区の土地,建物は村田製作所に売却
すると 9 月 19 日に発表した.
富士フイルムスクエアは,2007 年がルミエール兄弟により
発明された世界初のカラー写真「オートクローム乾板」が発
売されてから 100 年目にあたることなどから「写真初期・乾
板からフィルムへ小型カメラ時代が始まった」展を 9 月 27 日
から開催.
また,写真がもつ記録性,保存性の価値を再発見してもら
おうと,公開写真講座「ダゲレオタイプ(銀板写真)の魅力
再発見」を 12 月 8 日行い,古写真技術研究家の安藤義路氏
が担当し,現代に精密復刻したフォクトレンダー大砲カメラ
での撮影結果を紹介.
日本カメラ博物館は,10 月 23 日~ 2 月 17 日まで 1981 年
発表のマビカから最新のデジタルカメラまでを特別展示した
「デジタルカメラヒストリー」展を行った.1981 年発表のマビ
カを収蔵しているのは,米国スミソニアン博物館と当館のみ.
キヤノンとリサイクル・アシスト社との間で争われていた
特許侵害訴訟に関して,11 月 8 日,最高裁第一小法廷判決
は,加工や部材の交換がされ,特許製品が新たに製造された
と認められるときは,特許権を行使することができるという
キヤノンの主張をほぼ全面的に認め,リサイクル・アシスト
社の輸入・販売するキヤノン製インクジェットプリンター用
の再生カートリッジは,キヤノンの特許を侵害していると判
断した.
セイコーエプソンは,インクジェットプリンター用インク
カートリッジのリサイクル販売を行なうエコリカ対してイン
クカートリッジに関する特許を侵害されたとして販売差し止
めなどを求めていた請求について,最高裁第二小法廷はエプ
ソンの上告を退ける決定を 11 月 9 日した.
日本カメラ財団は 2007 年度の歴史的カメラとして,リコー
キャプリオ GX100,オリンパス E-410,ニコン D300,キヤノ
ン EOS1-DsMarkIII,ニコン D3 の 5 機種を選定.歴史的カメ
ラ選考委員は,中立的立場にある専門家,学識経験者等で構
成され,2007 年の間に発売されたすべてのフィルムカメラ,
デジタルカメラを対象としている.
1.4 終わりに
本稿を執筆するにあたり,写真感光材料の統計資料は写真
感光材料工業会のご厚意により提供いただき,カメラ・交換
レンズ・フォトプリンター等の統計資料は,カメラ映像機器
工業会が公表する資料を引用させていただいた.
その他,製品および企業情報は,月刊「写真工業」並びに
週刊「カメラタイムズ」の記事から引用した.これらはいず
れも,各社が発するニュースレリーズの範囲を超えるもので
はないため,引用元はあえて記していない.詳しくは各社ホー
ムページのニュースレリーズを参照いただきたい.