2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会
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が,<strong>2007</strong> 年 4 月より経済産業省化学工業統計は,写真フィル<br />
ム計,印刷・業務用フィルム,印画紙計以外の品目データが<br />
非開示になった.これは,生産規模,生産企業の縮小により<br />
その細目の公開が不要となることからだ.このため総出荷は,<br />
経済産業省化学工業統計に基づいたフォトマーケット社の推<br />
計データを掲載している.<br />
表 4 の輸出の状況,表 5 の輸入の状況は,財務省貿易統計<br />
に基づく推計によるもので,例年と変化はない.<br />
品目別に見てみると,前年まで X 線用フィルムは前年比を<br />
総出荷・輸出ともわずかながら上回っていたのが,<strong>2007</strong> 年度<br />
では総出荷は微量ながら 1%下回っている.今後数年の動向<br />
を継続的に見ないと明確にはいえないが,医師による医用画<br />
像診断が最終的にレントゲンフィルムによる目視という形態<br />
がわずかながら変化してきたのだろうか.<br />
その点において,印刷・業務用フィルムは,総出荷で前年<br />
比 100%,輸出で 111%,輸入で 124%というのが興味深い.<br />
昨今の印刷技術の進歩から,刷版を必要としないオンデマン<br />
ド印刷や製版フィルムを必要としない CTP(Computer To<br />
Plate)印刷が流行りつつあるものの,まだまだ受け入れられ<br />
ないことに合わせ,印刷現場での手間から,従来校正時の修<br />
正が文字単位,行単位,写真図版単位,ブロック単位であっ<br />
たのが,ページ単位で行うのを原則とするなどの傾向から,<br />
結果としてフィルムの需要は過去と変わらない状態を示して<br />
いるのではないかと考える.<br />
同様に映画用フィルムは,総出荷,輸出,輸入ともいずれ<br />
も前年比を上回っている.この増加はここ数年来の動向だが,<br />
シネマコンプレックス方式によるスクリーン数の増加とも考<br />
えられるが,一方でデジタル化が進むなかでフィルムの消費<br />
が増大するのは,作品をデジタル化することにより,不法に<br />
データがコピーされることを防止する著作権保護のために<br />
も,フィルムでの配給が望ましいと考えられている.<br />
いずれにしても,白黒フィルム,カラーフィルムとも総出<br />
荷,輸出,輸入とも前年比を上回っているのは注目点である.<br />
印画紙では,カラー印画紙が前年比で落ち込んでいるが,<br />
インクジェットプリントの普及などを考慮すれば,健闘して<br />
いると見ていいだろう.<br />
一方で,白黒印画紙は,総出荷で 147%,輸出で 286%と<br />
大幅な伸びを見せている反面,輸入は 74%と大きく落ち込ん<br />
<strong>日本写真学会</strong>誌 71 巻 3 号(2008 年,平 20)<br />
表 2 「<strong>2007</strong> 年写真の進歩」で引用した主な学会等の催しおよびその略号<br />
<strong>日本写真学会</strong>主催のもの 日写春 : <strong>日本写真学会</strong>年次大会研究発表講演会(5/24 ~ 5/25),千葉大<br />
光機能 : 光機能性材料セミナー(6/28),東工大<br />
サマーセミナー : サマーセミナー(8/30 ~ 8/31),湘南国際村センター<br />
画像保存 : 画像保存セミナー(11/2),東京都写真美術館ホール<br />
カメラ技術 : カメラ技術セミナー(11/16),発明会館<br />
日写秋 : <strong>日本写真学会</strong>秋季研究報告会(12/5),キャンパスプラザ京都<br />
デジタル : デジタル写真基礎講座(2/14 ~ 2/15),東京工芸大<br />
関連学協会との連絡協力<br />
によるもの<br />
画像 4 学会 : 画像 4 学会合同研究会(日本印刷学会,日本画像学会,画像電子学会と共催)<br />
(12/7),日本印刷会館<br />
光学五学会 : 第 41 回光学五学会関西支部連合講演会(1/26),大阪市立大<br />
表 3 総出荷の状況(経済産業省化学工業統計に基づくフォトマー<br />
ケット社推計)<br />
品目<br />
平成 19 年数量<br />
(千 m 2 )<br />
前年比<br />
(%)<br />
平成 19 年金額<br />
(百万円)<br />
X 線用フィルム 127,353 99 92,530<br />
印刷・業務用フィルム 94,722 100 39,940<br />
白黒フィルム計 222,075 103 132,470<br />
映画用フィルム 40,084 126 21,503<br />
ロールフィルム 31,401 102 42,426<br />
その他フィルム 3,170 97 10,707<br />
カラーフィルム計 74,655 113 74,636<br />
フィルム計 296,730 105 207,106<br />
白黒印画紙計 5,272 147 5,167<br />
カラー印画紙計 282,832 96 50,769<br />
印画紙計 288,104 97 55,936<br />
写真感光材料計 584,834 101 263,042<br />
(注)化学工業統計は平成 19 年 4 月より写真フィルム計,印刷・業<br />
務用フィルム,印画紙計以外の品目データが非開示となったため,市<br />
場情報を元に推計.ロールフィルムにはレンズ付フィルムを含む.<br />
(写真感光材料工業会提供)<br />
でいる.これは,コダック,アグファの撤退による結果,輸<br />
入先も限られてきたことになるのだろう.結果として,日本<br />
を含む世界市場で日本製品の需要が増大したのだろうか.<br />
②カメラ・フォトプリンター生産実績<br />
表 6 には <strong>2007</strong> 年銀塩カメラ / カメラ用交換レンズ生産出荷<br />
実績表,表 7 には <strong>2007</strong> デジタルスチルカメラ生産出荷実績<br />
表,表 8 には <strong>2007</strong> 年 A4 未満フォトプリンター出荷実績表を<br />
示す.<br />
いずれも,カメラ映像機器工業会(CIPA)統計資料からの<br />
抜粋引用である.この統計データは,CIPA 加盟各社のうち統<br />
計参加メンバー(企業)が提出する月毎の出荷実績に基づい<br />
て算出されているが,一部には外国企業が日本市場に向けた<br />
ものも統計資料には加わっているが,基本的には日本企業の<br />
生産・出荷の実績であり,世界規模ではさらに大きな数が見<br />
込まれる.<br />
表 6 は,フィルムカメラならびに交換レンズの生産出荷実<br />
績であるが,過去には「スチルカメラ等生産出荷実績表」と