16.11.2012 Views

2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会

2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会

2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会

SHOW MORE
SHOW LESS

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

142<br />

「銀塩写真感光材料におけるシアニン色素J会合体の形成と挙<br />

動」と題し,J 会合体の構造,ハロゲン化銀結晶表面におけ<br />

るシアニン色素の J 会合体の形成,シアニン色素 J 会合体中<br />

の励起子の挙動,シアニン色素の電子エネルギー準位と J 会<br />

合体形成の影響,励起色素からハロゲン化銀粒子への電子移<br />

動の効率および速度に及ぼす J 会合体形成の効果,J 会合体<br />

中の正孔の挙動と逆電子移動について解説し,これらの性質<br />

が写真感光材料に与える効果について考察した(日写誌,70,<br />

287).<br />

日本化学会第 88 春季年会(2008)において,色素 J 会合体<br />

に関する以下の報告がなされた.北村ら(千葉大)は,「ベイ<br />

エリア無置換ペリレンビスイミドからの J 会合体の創製と H<br />

会合体との相互変換」を報告した(日化春,5L4-29).平塚ら<br />

(群馬大)は,「非対称シアニン色素の固体表面上における J<br />

会合体薄膜形成と光物性」(日化春,4PC-042),「チアシアニ<br />

ン色素 J 会合体の成長と光物性」(日化春,4PC-052)を報告<br />

した.瀬川ら(東大)は,「1 次元ナノ構造体を用いた有機系<br />

太陽電池の光電特性」(日化春,2B4-31),「テトラキススル<br />

ホチエニルポルフィリン構造異性体の J 会合体形成と物性」<br />

(日化春,5L3-01),「異種水溶性ポルフィリン混合 J 会合体の<br />

形成と物性」(日化春,5L3-02)を報告した.松本ら(横国<br />

大)は,「ビスアゾメチン色素の結晶構造-2-」を報告した(日<br />

化春,2D3-09).水口ら(横国大)は,「ビスアゾメチン色素<br />

の厚膜蒸着膜で形成された J 会合体について」を報告した(日<br />

化春,1D3-34).佐藤ら(筑波大)は,「色素凝集体を担持し<br />

た銀ナノディスクの作製とその光吸収特性(2)粒子均一化<br />

の試み」を報告した(日化春,3L2-20).米澤ら(阪市大)は,<br />

「シアニン色素 J 凝集体・貴金属複合微粒子の作製とその吸<br />

収・発光特性」を報告した(日化春,4PC-030).尾崎ら(関<br />

学大)は,「表面増強ラマン散乱分光法によるチアシアニン色<br />

素分子の会合状態に関する研究」(日化春,2A5-01),「チア<br />

シアニン色素分子の表面増強ラマン散乱の励起波長依存性」<br />

(日化春,2A5-02)を報告した.<br />

3.2 フォトリソグラフィーで管理された自己組織化<br />

分子の自己組織化は簡便なナノ構造構築法として期待され<br />

ているが,意図したとおりのパターンを形成させるための「管<br />

理された自己組織化」法の開発が課題である.この観点から<br />

近年,フォトリソグラフィーをブロックコポリマーのミクロ<br />

相分離と組み合わせる新たなナノパターン形成法が検討され<br />

ている.<br />

G. S. W. Craig と P. F. Nealey(University of Wisconsin-Madison)<br />

は,フォトリソグラフィーで作成した物質パターンを有する<br />

基盤表面をブロック共重合体で被覆することにより,各ブ<br />

ロックと基盤表面パターンの親和性の違いを反映した,バル<br />

ク・ブロックポリマーの相分離パターンとは異なるミクロ層<br />

分離パターンを作る方法を解説している(Journal of Photopolymer<br />

Science and Technology(以下 JPST と略す),20,511).<br />

J. K. Bosworth(Cornell University)らは,フォトリソグラ<br />

フィーで作ったパターンサイズより小さいパターンの作成に<br />

成功した.酸化ケイ素基盤上にフォトリソグラフィーとプラ<br />

<strong>日本写真学会</strong>誌 71 巻 3 号(2008 年,平 20)<br />

ズマエッチングで深さ 30 nm の溝を作成し,ポリ(α メチル<br />

スチレン)– ブロック – ポリ(t-ブチルスチレン)の PEGMIA<br />

溶液をスピンコートした.THF 蒸気中でアニールすると円柱<br />

状のドメインが溝に平行に並び,アセトン蒸気中ではヘキサ<br />

ゴナル充填した円柱状のドメインが溝に垂直に並んだ.溶媒<br />

により配向を制御できることがわかった(JPSE,20,519).<br />

T. Yamaguchi と H. Yamaguchi(NTT)は,光リソグラフィー<br />

とブロック重合体の相分離を組み合わせて,フォトリソグラ<br />

フィーで作成したパターンより細かいサイズのパターンを基<br />

盤に転写した.シルセスキオキサンレジストのパターン<br />

(110 nm の溝)中に,溝に平行なラメラドメイン(周期 28 nm)<br />

のPMMA-PSのブロック重合体の相分離構造を3本作成した.<br />

PMMA ドメインのみを除去して PS マスクを残し,エッチン<br />

グして基盤に 幅 16 nm 程度のパターンを転写した.(JPST,<br />

20,767).<br />

3.3 光電変換用有機素材<br />

Aoyama(理研)らは,有機光電変換膜の表面にレリーフ状<br />

のグレーティングを形成することにより,光電変換効率が約<br />

3 倍に向上することを見出した.20 重量%の可溶性フラーレ<br />

ン(PCBM)を含む 3-ホルミル-9-ビニルカルバゾールを ITO<br />

上にジクロロメタンを用いてスピンコートし,532 nm の干渉<br />

露光による重合で表面レリーフ状のグレーティングを形成<br />

し,全面 UV 露光した後,アルミニウムを蒸着して光電変換<br />

素子を作成した(JPST,20,93).Arimura(産総研)らは,<br />

メソ位の置換基を介してピロールを連結したポルフィリンと<br />

β- シクロデキストリンとの 1:2錯体の水溶液を電解酸化し<br />

て,ITO 上に光電変換膜を形成した.β-シクロデキストリン<br />

錯体を用いることにより,ポルフィリン環の自己会合に基づ<br />

く非効率過程が解消し,光電流の量子収率が約 2 倍向上した<br />

(JPST,20,533).<br />

4. 画像評価・解析<br />

藤野 真(セイコーエプソン)<br />

像構造,階調・色再現が画像評価の基本であるが,近年こ<br />

れに加えて質感に関する取り組みが多く報告されてきてい<br />

る.また画像評価に関しては,画質という観点から更に進ん<br />

で,人が画像の良さをどのように認識するのかといった研究<br />

が始まってきている.<br />

4.1 像構造<br />

松井(群馬大学)は,ウィナースペクトル及び,協調視覚<br />

モデル応答に基づく画像ノイズ評価方法の基本性能の違いや<br />

その適用可能範囲を明確にするために比較検証を行った.そ<br />

の結果,強調視覚モデル法がウィナースペクトル法よりも主<br />

観的判断を広範囲に説明できるとの結果を得た(日画誌,<br />

46(6),432).稲垣(富士ゼロックス)らは,デジタルカラー<br />

プリンタの新たな粒状性予測モデルを提案した.同指標では,<br />

従前の報告は,それまでのモノクロの Visual Noise モデルを<br />

カラーに拡張したものであり,分解した画像の明度,彩度,<br />

色相成分に分解したカラー画像についてノイズの周波数スペ

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!