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2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会

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係は無くても,撮影を影で支えるものであり,特にデジタル<br />

時代になってからはありがたい向上である.<br />

今年目立って変わってきたのは,ソフトウエアや WEB サー<br />

ビスなどの分野.インターネットを使ってインタラクティブ<br />

に様々なコンテンツを展開する中で,「写真」と言うのが当た<br />

り前になり,ホームページやブログの中でも写真を用いるこ<br />

とが多くなってきた.<br />

それに伴い,その周辺の機器やサービスは著しい変化を遂<br />

げていると言える.<br />

ハードウエアの進歩も,そういったコンシューマー系が多<br />

かったように見受けられるのは少なくとも気のせいではない<br />

だろう.中でも特に目立ったのだは手ぶれ補正だろう.レン<br />

ズかセンサーをカウンター的にぶれさせる方法が主流であ<br />

る.これは撮影技術を支えるもので画像技術が進歩している<br />

とは言いがたいかもしれない.<br />

すこし『とっ散らかった』感のある画像技術関係の技術的<br />

進歩である.<br />

以下に,目立ったものを取り上げてみよう.<br />

13.2 ハードウエアについて<br />

残念ながら,この分野は目立ったものを発見することはで<br />

きなかった.PIE2008 でも探して回ってみたのだが,既存技<br />

術の焼き直しの感が強く,全体的に元気が無かった.<br />

個人的には様々期待するものが多いところなのだが,もう<br />

少し時間を待たないといけないようだ.<br />

なかでも,今年リリースされた DataColor の Spyder3(株式<br />

会社ソリューションシステムズ取扱)は,精度の高いカラー<br />

マネージメントを提供してくれるツールとして好評価であっ<br />

た.<br />

フィルター型のセンサーであるが,液晶環境でも CRT 環境<br />

でも高度なカラーマネージメントを提供し,プリントのキャ<br />

リブレーション精度も高い.何より価格もこなれているので,<br />

既存デジタルユーザーを影で支えるツールとして期待する.<br />

一般的には回折格子型の方が性能が高いと思われがちである<br />

が,その常識を覆している点でおもしろい.<br />

こういったツールはあまり表に出ることも無い上に,画像<br />

技術そのものではない.しかし,あえて取り上げたのは,前<br />

段述べたように画像技術も複雑化しており,包括して考える<br />

べきであろうと思うからだ.<br />

次に筆者が興味深いのが,EPSON の PX-G5300 だ.分類上<br />

はハイアマチュア機に入るであろう(MAXART では無いので<br />

個人的に判断)この機種は,キヤノン等でも似た方向性で出<br />

されているCMYK分色インク+アルファのインクを搭載して<br />

いるモデルだ.<br />

インクの数を増やして再現性を高めると言う方向性は,高<br />

精細印刷でもインクジェットでもおよそ再現性が問われるプ<br />

リント分野で盛んにおこなわれているものであるが,高精細<br />

印刷では複雑な印刷工程と高いコストで,かなしいかな一般<br />

的ではない.インクジェットプリンタでの再現性も,通常,<br />

CMYK に LC や LM と言ったカラー,または CMYK に RGB<br />

と言ったカラーの追加が一般的だ.そこに,インクのカラー<br />

<strong>2007</strong> <strong>年の写真の進歩</strong> 157<br />

を全面的に見直して,CMYK+R と言うところがおもしろい.<br />

CMY も一般的な CMY では無く,明るめのシアン,ブルーよ<br />

りのマゼンタやグリーンよりのイエローを採用してコンポ<br />

ジットによる色再現を徹底的に煮詰めているところで好感度<br />

が高い.<br />

普通,単純に RGB のインクを追加する.これらは可視光<br />

域を再現する際に足りなくなってしまうカラーを補う意味<br />

で,CMY の間を追加するのであるが,それぞれのインクの色<br />

的な重さやコンポジットにした時の再現と言うことを考える<br />

と,ただ追加しただけではあまり効果は期待できない.<br />

例えば,R は M と Y の掛け合わせで再現される.R を単純<br />

に追加すると,分解テーブルが複雑になるだけで,大きな再<br />

現性向上に寄与しない.<br />

似たようなことは B にも言え,単純追加しただけでは,ま<br />

たはうまく組み合わせないと,色再現が悪くなってしまう.<br />

事実,空の色が変な色再現になってしまうという例は散見す<br />

ることができ,色は奇麗であってもデータに対する忠実度が<br />

低いという再現性の低いものが横行するのだ.<br />

掛け合わせを考慮した組み合わせを用いてインクを採用し<br />

色再現をするという,この考え方はおそらく,反射原稿での<br />

色再現方法に波紋を投げ掛けるに違いない.<br />

そしてもうひとつ取り上げた理由は,印刷コストが低いと<br />

言うことだ.ハードウエアの価格も抑えた上にランニングコ<br />

ストも従来存在したあらゆるメーカーのプリントコストの中<br />

でもっとも安い.トナー型プリンタであってももう少し高い<br />

ランニングコストである.高くてうまいのもいいが,日々使<br />

うものは安くてうまいのに限る.<br />

ほか,個人的要望として頑張って欲しい画像技術の分野は,<br />

モニタ分野だ.来年はこの分野で新しい優れた製品を紹介で<br />

きることを期待したい.<br />

13.3 フォトサービス分野について<br />

youtube などのビデオストリーミング系の無料サービスが<br />

大変な数のユーザーを集めている.同時に,スチール系のフォ<br />

トブログももはや一般的だ.<br />

もう,どこそこがすごいと言うのを列挙してもすぐに情報<br />

が古くなってしまう為,あえてここでは取り上げない.Jpg<br />

ファイルを様々なデジタルカメラ,携帯やコンパクトデジカ<br />

メ,一眼レフなどで撮影し,文章をつけてアップしているの<br />

は,老若男女問わず,相当な数にのぼる.<br />

これらの画像周辺技術の進展は,インターネットの普及や<br />

デジタルカメラの一般化に伴い,相互干渉しながらスイッチ<br />

バック的に成長してきた分野で,あきらかにショット数は数<br />

年前の写真分野よりも向上している.<br />

余談であるが 2008 年 2 月に電通総研から発表された <strong>2007</strong><br />

年度の広告費という記事では,2006 年の記事の訂正があり,<br />

既にネットメディアの広告費が紙媒体を追い抜いていたとい<br />

うことである.<br />

この説明するまでもない歴然たる事実は,写真文化の未だ<br />

かつて無い高速の変貌を示唆するものである.何を言わんと<br />

しているかと言うと,文化の変貌はそれにまつわるあらゆる

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