2007 年の写真の進歩 - 日本写真学会
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132<br />
135,120,シートが用意されている.この他 RETRO400 を詰<br />
めたレンズ付フィルム,リキッドタイプ黒白フィルム用現像<br />
液 RHS ハイスピード,RLS ロースピードも用意.日本では<br />
<strong>2007</strong> 年 4 月 5 日より駒村商会が取り扱っている.<br />
オーストラリアの UNVERKAEUFLICH handles GmbH 社<br />
は,ポラロイド社・スコットランド工場へ依頼してセピア調<br />
のタイプ 80 フィルム「ポラロイドチョコレートフィルム」を<br />
製造,4 月 25 日から国内販売代理店エー・パワー社が発売し<br />
た.<br />
DNP フォトマーケティングは,ISO100/200/400 のカラーネ<br />
ガフィルム「センチュリアフィルム」24 枚撮りと 36 枚撮り<br />
を 5 月下旬に発売した.DNP は 76 年 10 月にカラーペーパー<br />
の生産事業所 DNP アイ・エス・エム小田原を設立し DNP セ<br />
ンチュリアペーパーを生産していたが,それに引き続くもの.<br />
富士フイルムは,タングステンタイプ映画用ネガフィルム<br />
の新ラインナップとして「エテルナ・ビビッド 160」,世界初<br />
の映画用デジタルフィルムレコーダー専用フィルム「エテル<br />
ナ-RD1」,映画上映用マスターやアーカイブ用に向けた<br />
デュープフィルム「エテルナ-CI」を 6 月に発売.<br />
富士フイルムは,4 月に復活販売した「フジクロームベル<br />
ビア 50 プロフェッショナル」に 135 サイズを追加で 12 月 16<br />
日から発売.<br />
〈銀塩フィルムカメラ〉<br />
富士フイルムは,200612 月に発売したクラッセ W と同じ<br />
ボディに 38 mm F2.8 レンズを搭載した「クラッセ S」を価格<br />
93,450 円で 4 月下旬に発売.プログラム AE の他絞り優先 AE,<br />
独立した露出補正ダイヤルを備える.<br />
ケンコーは,大型ファインダーに 32 ~ 60 mm F3.5-8.5 ズー<br />
ムレンズを搭載した固定焦点式ストロボ内蔵 35 ミリコンパ<br />
クト「Z60D ビッグファインダー」を推定 1 万円で 5 月下旬<br />
に発売.<br />
ケンコーは,ニコン F,ヤシカ / コンタックス,ペンタッ<br />
クス K の各マウントに対応したマニュアル 35 mm 一眼レフ<br />
「Kenko」を中国からの OEM で 8 月に発売.各モデルとも露<br />
出は SPD による TTL 測光,最高シャッター速度は 1/2000 秒<br />
だが,ニコン F マウント機のみ 1/4000 秒機も用意されてい<br />
る.価格は推定約 2.5 万円.<br />
エー・パワー社は,ポラロイドの T-80,富士フォトラマレ<br />
ギュラーサイズの両方に対応したインスタントピンホールカ<br />
メラ「Pinhole 100」を 4 月 25 日に富士 FP-100C1 本付きを<br />
16,800 円で発売した.<br />
②デジタルイメージング関連<br />
新製品の分野で最も多いのはデジタルカメラの分野だ.コ<br />
ンパクト,一眼レフともに大きな進歩は高画素化だ.いずれ<br />
も,高級・普及機を問わず,800 ~ 1000 万画素超えが標準と<br />
なってきた.このうちコンパクトカメラにおいては,手ぶれ<br />
補正機能組み込み,顔認識 AE・AF,高感度化が各社ともこ<br />
こ数年の技術をさらに推し進めている.またこれらの技術を<br />
さらに発展させて,笑ったときの顔の変化を認識してシャッ<br />
ターを切る,赤目現象を自動的に補正するなどの応用技術が<br />
<strong>日本写真学会</strong>誌 71 巻 3 号(2008 年,平 20)<br />
でてきており,顔認識も当初 3 ~ 4 人程度であったのが最大<br />
15 人まで認識という機種も登場している.<br />
一方で,高感度化はコンパクトカメラの分野でも,<br />
ISO1600・3200・10000 などという機種が登場している.実用<br />
的に許容できる画質か,それともそのような感度設定で撮影<br />
できるという範囲にとどまるのか,などその評価はむずかし<br />
い.この高感度化は,一眼レフでも同様で,ニコン D3 では,<br />
標準的画質が ISO6400 で撮影できるというものだが,拡張感<br />
度では ISO25600 相当という数値での撮影も可能というわけ<br />
で,銀塩フィルム時代には未知の分野であった低輝度シーン<br />
の撮影が,手ぶれ補正レンズとの組み合わせで,さらに暗所<br />
での手持ち撮影が可能となるなど新しい写真表現分野の拡大<br />
を見せている.<br />
コンパクト,一眼レフとも高画素化と高感度化という一方<br />
で相反する技術を両立させようとしているところが興味ある<br />
点だ.限られた面積で高画素化・高感度化を図るには,イメー<br />
ジャーの大型化,すなわち画素ピッチの確保が必要となるの<br />
だが,コンパクトデジタルカメラの 1,000 万画素超えの 1/1.7<br />
型 CCD の画素ピッチは 2 μm を割っており,フルサイズ一眼<br />
レフのニコン D3 の場合には 8.4 μm となっている.<br />
このほか,この時期のカメラに導入された技術で深く潜行<br />
して進んでいるのが,コンパクトカメラでの光学ローパス<br />
フィルターの省略である.これも高画素化と大きく絡んでお<br />
り,高画素化によりモアレ除去の必要がなくなり,さらには<br />
レンズ性能の向上,低コスト化などに関連するであろうこと<br />
が考えられる.同じようにコンパクトカメラでやはり潜行し<br />
て進んでいるのが,レンズの歪曲補正や色収差補正をカメラ<br />
内の画像処理で行っているものだ.特にワイド側にズームレ<br />
ンジを広げたカメラにいくつか見ることができるが,いずれ<br />
もカタログデータレベルではあまり公表されていない.<br />
唯一,一眼レフでニコンの D300 と D3 はカメラ内で交換レ<br />
ンズの倍率色収差を補正する処理を行っていることを明らか<br />
にしている.この結果,過去に発売されたレンズをも含めて<br />
デジタルで大伸ばしすると目障りであった倍率色収差(パー<br />
プルフリンジ)が目に付かなくなるなど,レンズ性能(ユー<br />
ザーレベルで知れる)がレンズ単体でなく,カメラボディに<br />
よって大きく変化するであろうことを示し,これからのデジ<br />
タルカメラのあり方の 1 つを示したものとして注目される.<br />
このレンズの諸収差補正に関しては,キヤノンがカメラに<br />
バンドルした RAW 現像ソフト Digital Photo Professional で,<br />
ほとんどの自社レンズで RAW データ撮影した画像に限り,周<br />
辺光量低下,歪曲収差,倍率色収差,色にじみなどを補正で<br />
きるようにした.<br />
コンパクトデジタルカメラでの歪曲補正は,もともと撮影<br />
前画像を液晶モニターで見ているから可能なことで,一眼レ<br />
フカメラでは優秀な光学ファインダーを搭載していることも<br />
あり,ファインダー像と撮影後のプレビュー画像の直線性が<br />
異なるのでは問題となる.今後は,液晶ビューファインダー<br />
を搭載した一眼型カメラ,さらにはライブビュー画面を PC<br />
の大型モニター画面で遠隔で操作観察するようなスタジオ撮