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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

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心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 カウンセリングに 関 するガイドライン必 要 である.5 守 秘 義 務(1) 遺 伝 カウンセリング 担 当 者 は 被 検 者 (あるいはクライエント)に 情 報 のすべてを 伝 えなければならない.情 報 の 適 切 な 提 示 は 自 由 選 択 の 前 提 条 件 であると 同 時に, 遺 伝 カウンセリングを 行 う 者 と 受 ける 者 との 自 由な 交 流 と 信 頼 関 係 にとって 必 要 不 可 欠 となる.近 年 行 われている 出 生 前 診 断 についても,クライエント( 多 くの 場 合 , 妊 婦 ,あるいは 妊 婦 とその 配 偶 者 )に 胎 児 に 関 する 情 報 を 正 確 に 伝 える 必 要 がある.(2) 検 査 結 果 は 正 常 な 結 果 を 含 めて, 遅 れることなく 被検 者 に 伝 えられるべきである.(3) 健 康 状 態 に 直 接 関 係 しない 検 査 結 果 , 例 えば 配 偶 者が 子 どもの 実 父 でない 事 実 は, 開 示 しなくてもよい.(4) 被 検 者 やその 血 縁 者 が, 検 査 結 果 を 含 めて 遺 伝 情 報を 知 りたくないと 希 望 した 場 合 は,その 意 思 が 尊 重 されるべきである.ただし, 治 療 可 能 な 新 生 児 , 小 児 の場 合 はこの 限 りではない.(5) 心 理 的 もしくは 社 会 的 に 重 大 な 危 険 をもたらす 可 能性 のある 情 報 については, 情 報 開 示 を 保 留 してもよい.遺 伝 カウンセリング 担 当 者 は, 情 報 開 示 の 一 般 的 義 務の 範 囲 内 で, 被 検 者 (あるいはクライエント)に 情 報を 伝 える 時 期 について 判 断 しなければならない.(6) 子 どもを 望 む 夫 婦 には,パートナーの 遺 伝 情 報 を 互いに 共 有 することをすすめるべきである.(7) 被 検 者 の 親 族 に 対 しても 遺 伝 カウンセリングを 行 うことが 有 用 と 判 断 される 場 合 , 遺 伝 カウンセリング 担当 者 は, 被 検 者 から 親 族 に 遺 伝 カウンセリングをすすめるように 話 すべきである.(8) 特 に 重 大 な 遺 伝 的 負 荷 を 回 避 できる 場 合 には, 親 族に 遺 伝 情 報 を 提 供 すべきである.そうすればその 親 族は 自 身 の 遺 伝 的 リスクを 知 ることができる.(9) 保 因 者 検 査 , 発 症 前 検 査 , 易 罹 患 性 検 査 , 出 生 前 検査 の 結 果 は, 雇 用 主 , 生 命 保 険 会 社 , 学 校 , 政 府 機 関に 漏 洩 されてはならない. 遺 伝 的 体 質 による 不 利 益 または 利 益 を 受 けてはならない.(10) 患 者 名 簿 は(いかなるものであっても) 守 秘 義 務の 厳 重 な 規 範 に 従 って 守 られるべきである.2 遺 伝 カウンセリングの 体 制1 遺 伝 カウンセリングの 構 成遺 伝 カウンセリングは, 疾 患 の 診 療 経 験 の 豊 富 な 専 門医 と 遺 伝 カウンセリングに 習 熟 した 者 が,チームとなって 行 うことが 推 奨 される. 遺 伝 カウンセリングに 習 熟 した 者 とは, 臨 床 遺 伝 専 門 医 や 認 定 遺 伝 カウンセラー,あるいはそれと 同 様 な 資 質 を 有 する 者 のことである. 臨 床遺 伝 専 門 医 が 当 該 疾 患 の 診 療 経 験 に 乏 しい 場 合 は, 必 ず当 該 疾 患 の 専 門 医 と 連 携 して 相 互 に 連 絡 を 取 り 合 いながら 行 う 必 要 がある. 遺 伝 カウンセリングは,クライエントが 心 理 的 にリラックスできる 環 境 で 行 うことが 望 ましい. 一 般 の 診 察 室 で 行 う 場 合 は, 外 部 の 物 音 が 気 になるような 環 境 は 避 け, 人 の 往 来 が 見 えないような 配 慮 も 必要 である.2 検 査 前 遺 伝 カウンセリングが 必 要 な 場 合遺 伝 学 的 検 査 を 行 う 場 合 には, 検 査 をオーダーする 医師 (この 場 合 , 多 くは 主 治 医 であり 循 環 器 を 専 門 とする医 師 と 想 定 される)は, 検 査 の 意 義 等 について 十 分 に 説明 し,インフォームド・コンセントを 得 てから 行 う 必 要がある. 検 査 前 に 遺 伝 カウンセリングをすることは 必 須ではないが,インフォームド・コンセントを 取 得 する 過程 で, 被 検 者 から 希 望 があれば 検 査 前 遺 伝 カウンセリングの 機 会 を 提 供 する.3 検 査 結 果 の 診 断 への 活 用 と 遺 伝 カウンセリングの 必 要 性疾 患 の 診 断 を 目 的 とした 遺 伝 学 的 検 査 においては, 遺伝 学 的 検 査 の 結 果 は, 臨 床 診 断 の 判 断 材 料 の1つとなる.遺 伝 学 的 検 査 のみで 診 断 が 行 われることはない. 主 治 医は, 被 験 者 に 対 しては, 検 査 の 結 果 を 一 連 の 診 断 プロセスの 流 れの 中 でわかりやすく 説 明 する 必 要 がある. 本 人の 診 断 に 続 き, 家 族 に 波 及 する 問 題 ( 家 族 の 保 因 者 診 断等 )がある 場 合 は, 遺 伝 カウンセリングの 機 会 を 提 供 する.4 記 録 等 の 管 理遺 伝 学 的 検 査 の 結 果 については,チーム 医 療 の 観 点 から 原 則 として, 一 般 の 診 療 録 に 記 載 することを 原 則 とする.しかし, 個 人 情 報 保 護 の 観 点 から, 遺 伝 カウンセリングの 内 容 に 関 する 記 録 は, 一 般 の 診 療 録 とは 切 り 離 して 別 に 保 管 する 等 の 慎 重 な 対 応 が 必 要 である. 特 に, 電子 カルテを 採 用 している 医 療 施 設 においては, 遺 伝 関 連の 個 人 情 報 が 漏 洩 されることのないように 十 分 に 配 慮 する 必 要 がある.遺 伝 カウンセリングは, 基 本 的 には 自 由 診 療 の 中 で 行われる. 例 外 的 に, 保 険 診 療 の 範 囲 内 で 実 施 可 能 な 遺 伝カウンセリングは, 以 下 の 条 件 を 満 たす 場 合 に 限 られる(2011 年 5 月 現 在 ).(1) 以 下 の15 疾 患 について, 遺 伝 子 疾 患 の 検 査 を 行 っ11

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