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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

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心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 カウンセリングに 関 するガイドラインテロ 異 常 がHOS の 原 因 であったことは, 当 然 ながら,一 疾 患 の 原 因 解 明 にとどまらず 大 きなインパクトをもたらした 31) .TBX5が 前 肢 の 形 成 に 必 須 であること, 左 心 室 ,房 室 弁 , 心 房 中 隔 さらに 伝 導 系 中 枢 部 に 発 現 していることが 確 認 されている 32) .5 遺 伝 学 的 検 査 とカウンセリング的 確 な 臨 床 診 断 ,すなわち 母 指 ・ 橈 骨 側 病 変 と 心 疾 患の 合 併 および 家 族 集 積 のもとでは,TBX5 変 異 は70% 以上 に 検 出 され 33) , 浸 透 率 はほぼ100%である. 家 族 性 15%,de novo 変 異 85%である. 前 提 となるべき 的 確 な 臨床 診 断 について,Circulation 誌 に 掲 載 された 薬 指 短 縮 と心 房 中 隔 欠 損 症 合 併 症 例 へのコメントが 教 訓 的 である 34) .家 族 調 査 は 本 症 候 群 診 断 に 極 めて 重 要 であり, 母 指 低 形成 の 確 認 に X 線 診 断 が 必 要 との 記 述 もみられる.しかし, 生 命 予 後 が 良 好 である 本 症 候 群 では, 偏 見 をおそれ上 肢 や 指 の 異 常 は 隠 されることが 多 いので, 良 好 な 患 者- 医 師 関 係 が 成 立 し, 十 分 な 理 解 があって 初 めて 可 能 となる. 両 親 を 含 む 遺 伝 学 的 検 査 を 行 う 意 義 は 大 きい 35) .例 えば 発 端 者 がde novo 変 異 による 場 合 , 同 胞 の 発 症 可能 性 は 無 視 できる.4 Alagille 症 候 群 (ALGS1 MIM#118450)1 概 念フランスの 小 児 肝 臓 病 学 者 Daniel Alagilleが1975 年に 記 載 した, 肝 内 胆 汁 うっ 滞 に 心 疾 患 ( 肺 動 脈 弁 および末 梢 性 狭 窄 ), 眼 症 状 ( 後 部 胎 生 環 ), 椎 体 異 常 ( 蝶 形 椎体 ), 特 有 の 顔 貌 ( 広 い 額 , 窪 んだ 眼 ,とがった 顎 )を伴 う 症 候 群 である 36) .これら5 症 状 のうち3つ 以 上 を 認めたとき 臨 床 的 診 断 がなされ, 新 生 児 ・ 乳 児 期 の 閉 塞 性黄 疸 で 発 症 することが 多 い.Alagille 自 身 のreview80 例では,5/5が26 例 ,4/5が42 例 ,3/5が12 例 であった 37) .1997 年 にJAG1(20p12)の 変 異 が 証 明 され 38) , 多 くの施 設 から70~90% 以 上 の 患 者 で 遺 伝 子 変 異 が 検 出 された.JAG1はNOTCH1 のリガンドをコードしている.その 後 ,JAG1 変 異 陰 性 の 本 症 候 群 患 者 から,NOTCH2 変異 (1p13-p11)が 同 定 された. 高 度 な 腎 病 変 が 特 徴 的 である(ALGS2 #610205) 39) .JAG1 変 異 をもとに 見 直 された 臨 床 像 は, 表 現 度 の 幅が 著 しく 広 く,すなわち 家 系 内 で 同 じ 遺 伝 子 異 常 がありながらもほぼ 無 徴 候 から 重 症 まで 観 察 された.7 万 ~10万 出 生 に1 人 とされてきた 頻 度 は, 軽 症 例 を 含 めばさらに 多 いと 考 えるべきであろう. 肝 疾 患 が 中 核 をなす 症 候群 であり 典 型 例 の 診 断 は 容 易 だが, 心 病 変 のみで 家 族 内発 症 し 遺 伝 子 変 異 が 認 められる 例 も 報 告 されているので注 意 が 必 要 である 40) .2 心 血 管 病 変90% 前 後 になんらかの 心 血 管 病 変 を 伴 い, 肺 動 脈 末梢 性 狭 窄 症 が 特 徴 的 である.JAG1 変 異 陽 性 154 例 と 臨床 診 断 46 例 , 計 200 例 の 詳 細 な 報 告 では,94%(187 例 )に 心 血 管 病 変 があり, 肺 動 脈 末 梢 性 狭 窄 症 (70 例 ),ファロー 四 徴 症 (23 例 ), 肺 動 脈 弁 狭 窄 症 (15 例 ), 心 室中 隔 欠 損 症 (10 例 ), 心 房 中 隔 欠 損 症 (10 例 ), 大 動 脈縮 窄 症 (4 例 ), 大 動 脈 弁 狭 窄 症 (2 例 )であった 41) . 生命 予 後 に 影 響 する 疾 患 はファロー 四 徴 症 で, 肺 動 脈 高 度狭 窄 や 肺 動 脈 閉 鎖 例 がみられ, 適 切 な 外 科 治 療 が 予 後 を改 善 する. 肺 動 脈 末 梢 性 狭 窄 に 対 してバルーン 拡 張 法(cutting balloon,stent 併 用 )が 試 みられているが 42) , 慎重 に 適 用 を 考 慮 すべきである.なお,ファロー 四 徴 症230 例 の 遺 伝 子 分 析 では,JAG1 変 異 はわずか3 例 (1.3%)であった.その 他 に, 腹 部 大 動 脈 縮 窄 症 (Middle aorticsyndrome)や 43) , 腎 動 脈 狭 窄 , 多 発 性 腎 嚢 胞 や 腎 異 形 成 ,頭 蓋 内 血 管 病 変 ( 動 脈 瘤 ,Moyamoya)の 報 告 が 散 見 され, 全 身 に 及 ぶ 血 管 病 変 に 注 意 が 必 要 である 44) . 適 宜 ,血 圧 評 価 , 神 経 学 的 評 価 , 画 像 診 断 (MRA 等 )を 考 慮すべきである.3 生 命 予 後症 状 と 重 症 度 には 広 い 幅 があるので,1 例 ごとに 慎 重に 評 価 することが 重 要 で, 肝 疾 患 と 心 疾 患 の 重 症 度 判 定がポイントとなる. 特 に, 小 児 期 慢 性 肝 疾 患 として 重 要で 肝 移 植 の 対 象 となり 得 る. 小 児 臨 床 遺 伝 部 門 や 小 児 肝疾 患 専 門 部 門 から 報 告 された,324 例 の 長 期 予 後 ( 平 均観 察 期 間 約 10 年 )はかなり 厳 しいものであった. 肝 移植 施 行 28%(91 例 ), 死 亡 27%(88 例 ), 最 も 多 い 死 因は 肝 不 全 である. 新 生 児 期 の 胆 汁 うっ 滞 で 発 症 した 場 合は 特 に 予 後 不 良 であるが, 遅 発 性 発 症 もあり 得 る 45)⊖47) .肝 疾 患 と 心 疾 患 に 続 く 頭 蓋 内 出 血 も 注 目 すべきで, 約10%(22 例 )にみられた. 脳 動 脈 瘤 等 の 血 管 病 変 が 重要 で, 凝 固 障 害 による 出 血 傾 向 や 高 血 圧 も 増 悪 因 子 となる.さらに, 重 篤 な 肝 障 害 がなくても,あらゆる 臓 器 で好 発 する 出 血 に 注 意 が 必 要 である.4 原 因 と 遺 伝 カウンセリング常 染 色 体 優 性 遺 伝 である. 責 任 遺 伝 子 として,20p12に 局 在 するJAG1の 変 異 が 証 明 され,70~94%の 患 者で 遺 伝 子 変 異 が 検 出 される 38),40) .JAG1は 広 範 な 臓 器 で発 現 しているが, 発 生 過 程 では,JAG1 タンパクは 細 胞27

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