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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

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循 環 器 病 の 診 断 と 治 療 に 関 するガイドライン(2010 年 度 合 同 研 究 班 報 告 )た 場 合 に 考 慮 される. 保 険 点 数 は4,000 点 である.なお,疾 患 によっては, 遺 伝 子 疾 患 の 検 査 に,DNA シークエンス 法 ,PCR 法 だけでなく, 酵 素 活 性 測 定 法 が 含まれる.対 象 15 疾 患 :デュシェンヌ 型 筋 ジストロフィー,ベッカー 型 筋 ジストロフィー, 福 山 型 筋 ジストロフィー, 栄 養 障 害 型 表 皮 水 疱 症 , 家 族 性 アミロイドーシス, 先 天 性 QT 延 長 症 候 群 , 脊 髄 性 筋 委 縮 症 , 中枢 神 経 白 質 形 成 異 常 症 ,ムコ 多 糖 症 Ⅰ 型 ,ムコ 多 糖症 Ⅱ 型 ,ゴーシェ 病 ,ファブリ 病 ,ポンペ 病 ,ハンチントン 舞 踏 病 , 球 脊 髄 性 筋 委 縮 症 .(2) 上 記 15 疾 患 について 遺 伝 子 疾 患 の 検 査 を 実 施 し,その 結 果 について 患 者 またはその 家 族 に 対 し 遺 伝 カウンセリングを 行 った 場 合 には, 患 者 1 人 につき 月 1 回に 限 り500 点 が 加 算 される.3心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 カウンセリング1 心 臓 血 管 疾 患 と 遺 伝 カウンセリング 担 当 者心 臓 血 管 疾 患 の 遺 伝 カウンセリングは, 遺 伝 学 ・ 心 臓病 学 ・ 疫 学 の 十 分 な 知 識 と 経 験 をもち,カウンセリング一 般 の 基 礎 的 技 術 を 身 につけた, 習 熟 したカウンセリング 担 当 者 によって 行 われることが 望 ましい.カウンセリング 担 当 者 は 必 ずしも 医 師 である 必 要 はないが, 当 該 心臓 血 管 疾 患 の 診 療 に 習 熟 した 専 門 医 との 十 分 な 連 携 が 不可 欠 である.2 遺 伝 学 的 情 報 の 重 要 性遺 伝 カウンセリングは, 当 該 疾 患 に 関 する 最 新 の 遺 伝学 的 情 報 を 被 検 者 の 家 系 に 即 して 過 不 足 なく 正 確 に 伝え,これらに 対 するクライエントの 適 切 な 理 解 を 促 進 することからはじめなければならない. 遺 伝 のしくみをはじめとして, 適 切 な 遺 伝 学 的 情 報 を 十 分 かつ 理 解 可 能 な形 で 提 供 すること 自 体 が,クライエントの 心 理 的 支 援 になることを 認 識 しなくてはならない.3 遺 伝 に 対 する 認 識我 が 国 では,「 遺 伝 」という 言 葉 を「 特 別 な 遺 伝 病 」と 誤 って 結 びつけてしまう 傾 向 が 強 いため, 遺 伝 カウンセリングに 際 しては,ほとんどのクライエントに 知 識 の偏 りや 認 識 のゆがみが 存 在 することを 十 分 に 認 識 しておかなければならない. 遺 伝 に 関 するクライエントの 知 識やイメージを 確 認 し, 必 要 な 是 正 を 行 うとともに, 遺 伝のしくみ 一 般 に 関 する 内 容 と, 被 検 者 の 当 該 疾 患 特 有 の病 態 およびその 遺 伝 情 報 とが 混 同 されないよう, 配 慮 が必 要 である.4 心 臓 血 管 疾 患 に 対 する 認 識遺 伝 カウンセリングに 際 しては, 家 族 性 心 臓 血 管 疾 患そのものを 否 定 的 に 捉 える 傾 向 が 強 い,という 現 実 を 十分 に 認 識 しなければならない. 特 にクライエントは 過 去において, 家 系 内 の 罹 患 者 に 接 している 場 合 が 少 なくなく,その 体 験 のみに 基 づく 知 識 の 偏 りや 知 識 のゆがみが存 在 することが 十 分 に 考 えられる. 予 防 ・ 治 療 方 法 やケアのあり 方 が 改 善 されている 状 況 等 , 当 該 心 臓 血 管 疾 患に 関 する 最 新 の 医 療 情 報 について, 十 分 にかつ 理 解 可 能な 形 で 提 供 すること 自 体 が,クライエントの 心 理 的 支 援になることを 認 識 しなくてはならない.5 心 臓 血 管 疾 患 の 遺 伝 学 的 検 査 の 意 味心 臓 血 管 疾 患 の 遺 伝 学 的 検 査 および 診 断 は, 様 々な 理由 で, 被 検 者 の 理 解 を 得 にくい 側 面 を 有 している. 検 査を 受 けるか 否 かの 意 思 決 定 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすにもかかわらず, 誤 解 されやすいと 思 われる 点 を 以 下 に 示 した.これらについて,クライエントが 十 分 理 解 しているかどうかを 慎 重 に 確 認 しつつ, 遺 伝 カウンセリングを 進 める必 要 がある.(1) 遺 伝 学 的 検 査 の 適 用 となる 心 臓 血 管 疾 患 をもつ 家 系は 決 して 多 くない. 現 段 階 においては, 同 一 家 系 内 において 特 定 の 心 臓 血 管 疾 患 の 明 らかな 集 積 を 認 める 場合 でも,その 心 臓 血 管 疾 患 の 原 因 遺 伝 子 が 特 定 されているとは 限 らず,また, 原 因 遺 伝 子 が 同 定 されていても 遺 伝 学 的 検 査 による 診 断 が 実 施 できるとは 限 らない.しかし 今 後 は,こうした 検 査 の 適 用 となる 心 臓 血管 疾 患 の 範 囲 は 広 がると 予 想 される.(2) 発 症 していない 健 康 な 個 人 に 遺 伝 学 的 検 査 を 行 うにあたっては,まず, 同 一 家 系 内 で 心 臓 血 管 疾 患 を 発 症している 血 縁 者 から 検 査 を 行 い, 遺 伝 子 変 異 を 確 認 することが 必 要 である. 発 症 していない 健 康 な 個 人 の 遺伝 学 的 検 査 の 結 果 だけを 得 ても 解 釈 は 困 難 である.(3) 心 臓 血 管 疾 患 の 遺 伝 学 的 検 査 は,いわゆる 心 臓 血 管疾 患 の 検 診 とは 違 うものであり,それだけで 心 臓 血 管疾 患 に 罹 っているかどうかを 判 断 できるものではない.(4) 遺 伝 子 変 異 陽 性 の 結 果 は, 特 定 の 心 臓 血 管 疾 患 を 発症 する 可 能 性 が 高 いということを 意 味 するものであり, 必 ずしもすぐに 発 症 するわけではなく,また, 将来 必 ず 発 症 するということでもない. 家 族 性 心 臓 血 管疾 患 の 多 くは 浸 透 率 が 高 いが,100% 近 くになること12

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