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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

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心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 カウンセリングに 関 するガイドラインとるCPVT がしられており,calsequestrinをコードするCASQ2(1p11-p13)が 原 因 遺 伝 子 と 考 えられている 205) .8 先 天 性 洞 不 全 症 候 群洞 不 全 症 候 群 は,なんらかの 基 礎 心 疾 患 をもち 高 齢 者に 好 発 する 傾 向 があるが,まれに 胎 児 , 新 生 児 , 小 児 で基 礎 心 疾 患 のない 洞 不 全 症 候 群 が 認 められる.Bensonらにより, 常 染 色 体 劣 性 遺 伝 の 本 症 にSCN5A 変 異 が 認められると 報 告 された(SSS1) 206) . 常 染 色 体 優 性 遺 伝 性(SSS2)の 本 症 も 知 られているが, 原 因 遺 伝 子 はまだ 同定 されていない.9 遺 伝 性 不 整 脈 のオーバーラップ 症 候 群 168),207)-209)Brugada 症 候 群 および,LQT3の 原 因 遺 伝 子 である 心筋 ナトリウムチャンネルSCN5A は, 心 筋 の 脱 分 極 から再 分 極 に 至 る 全 過 程 に 関 与 しており,SCN5A の 異 常 によってもたらされる 遺 伝 性 の 不 整 脈 疾 患 に 複 数 の 疾 患 が重 複 する 病 態 が 知 られている 210) .こうしたことから,Na channelopathyという 概 念 が 提 唱 されている 211),212) .LQT3である 遺 伝 性 QT 延 長 症 候 群 では, 表 現 型 がgainof function でもたらされるのに 対 して, 遺 伝 性 の 特 発 性心 室 細 動 である Brugada 症 候 群 は,loss of functionによってもたらされると 考 えられている.His-Purkinje 系 の刺 激 伝 導 系 に 異 常 がおこり,QRS 幅 の 増 大 , 左 右 両 脚のブロックを 呈 しさらには 完 全 房 室 ブロックに 至 るPCCD( 進 行 性 伝 導 障 害 :progressive cardicac conductiondisease)も,SCN5A のloss of functionによる 表 現 型 と考 え ら れ て い る 213) . ま た 先 天 性 の 洞 不 全 症 候 群 もSCN5A 変 異 で 発 症 すると 報 告 されている 206) . 遺 伝 性 不整 脈 の 原 因 遺 伝 子 変 異 は, 浸 透 性 が 低 く, 不 全 型 を 呈 することがあると 予 想 される.Prioriらが 報 告 した 例 168) では,SCN5A 変 異 で 安 静 時 心 電 図 でQTc 延 長 を 示 しながら,flecainide 負 荷 試 験 でQTc が 短 縮 すると 同 時 に, 右側 胸 部 誘 導 でJ 点 の 上 昇 を 伴 うBrugada 型 の 心 電 図 変 化を 示 した. 遺 伝 子 診 断 の 普 及 により,こうした 遺 伝 子 型- 表 現 型 の 関 連 が 詳 細 に 検 討 され, 遺 伝 性 不 整 脈 におけるイオンチャンネル 遺 伝 子 異 常 の 役 割 が 明 らかになることが 期 待 される.9 家 族 性 高 血 圧Yale 大 学 のLifton,Utah 大 学 のLalouelらの 遺 伝 子 解析 から, 遺 伝 性 ・ 家 族 性 の 高 血 圧 症 は, 腎 尿 細 管 におけるNa トランスポーターに 関 連 するタンパクをコードする 遺 伝 子 の 異 常 によってもたらされることが 示 唆 されている 214) .なかでも, 遠 位 尿 細 管 に 発 現 しているアミロライド 感 受 性 上 皮 性 ナトリウムチャンネルを 介 するNaの 再 吸 収 異 常 は, 代 表 的 な 遺 伝 性 ・ 家 族 性 高 血 圧 症 であるLiddle 症 候 群 ,Apparent Mineralcorticoid Excess(AME),グルココルチコイド 奏 効 性 アルドステロン 症 (GRA)の 病 態 を 理 解 する 上 で, 鍵 となる.アミロライド 感 受 性上 皮 性 ナトリウムチャンネルは, 代 表 的 な 二 次 性 高 血 圧である 原 発 性 アルドステロン 症 ,クッシング 症 候 群 において 自 律 的 に 分 泌 されるアルドステロン, 糖 質 コルチコイドの 遠 位 尿 細 管 ~ 集 合 管 での 標 的 分 子 としても 重 要 である.1Liddle 症 候 群Liddle 症 候 群 は,1963 年 にLiddleによって 報 告 された,遺 伝 性 高 血 圧 症 である. 高 血 圧 , 低 カリウム 血 症 , 代 謝性 アルカローシスを 呈 し, 常 染 色 体 優 性 遺 伝 の 形 式 をとる. 原 発 性 アルドステロン 症 に 近 似 しているが, 血 清 アルドステロン 値 は 抑 制 されている.アルドステロン 拮 抗剤 であるスピロノラクトンは 無 効 であるが,トリアムテレンが 有 効 であることから,アミロライド 感 受 性 上 皮 性ナトリウムチャンネル 自 身 の 異 常 であると 考 えられていた.1995 年 にはLiftonらのグループにより,アミロライド 感 受 性 上 皮 性 ナトリウムチャンネルのβ,γサブユニットのC 端 の 共 通 部 分 (PY モチーフ)に 変 異 があることが 報 告 された 215),216) .PY モチーフは.アミロライド感 受 性 上 皮 性 ナトリウムチャンネルの 細 胞 内 への 取 り 込みに 重 要 な,ユビキチン 化 酵 素 であるNedd4Lが 結 合 する 部 位 である.この 変 異 の 結 果 ,Nedd4Lとの 結 合 が 阻害 され,アミロライド 感 受 性 上 皮 性 ナトリウムチャンネルの 細 胞 表 面 での 発 現 が 亢 進 しNa 再 吸 収 量 が 増 加 することが 発 症 のメカニズムであると 考 えられている 217) .2Apparent Mineralcorticoid Excess(AME)Apparent Mineralcorticoid Excess(AME)は, 常 染 色体 劣 性 遺 伝 をとり, 高 血 圧 , 低 カリウム 血 症 , 低 レニン,代 謝 性 アルカローシスを 呈 し,スピロノラクトンが 有 効でありながら,mineralcorticoidの 過 剰 を 認 めない 症 例を 総 称 している.Mineralcorticoid 受 容 体 は,コルチゾール( 糖 質 コルチコイド)とアルドステロン( 鉱 質 コルチコイド)との 親 和 性 には 差 がない.しかし,アルドステ ロ ン の 主 作 用 部 で あ る 皮 質 部 集 合 管 で は,11βhydoroxysteroid dehydrogenase(typeⅡ)がコルチゾールをコルチゾンに 変 化 させて 不 活 性 化 することで,アルドステロン 優 位 の 反 応 性 が 保 たれる. 本 症 では,11βhydoroxysteroid dehydrogenase(typeⅡ) 活 性 の 低 下 があり,コルチゾールの 不 活 性 化 が 障 害 されており, 高 血39

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