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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

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心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 カウンセリングに 関 するガイドラインは 少 ない.それが 直 接 , 心 臓 血 管 疾 患 の 発 症 時 期 やその 症 候 , 治 療 や 予 防 の 可 能 性 , 経 過 および 予 後 等 を 示すものではない.たとえ 心 臓 血 管 疾 患 が 発 症 しない 場合 でも, 検 査 結 果 が 間 違 っていたことを 意 味 しているわけではない.(5) 遺 伝 子 変 異 陰 性 であっても, 将 来 心 臓 血 管 疾 患 を 発症 することはないとも,あるいは 通 常 より 心 臓 血 管 疾患 を 発 症 する 可 能 性 が 低 いとも, 同 一 家 系 内 にいわゆる 心 臓 血 管 疾 患 の 遺 伝 体 質 が 全 くないともいえず, 少なくとも 一 般 集 団 と 同 程 度 に 心 臓 血 管 疾 患 の 発 症 リスクを 有 している.(6) 遺 伝 学 的 検 査 の 結 果 は, 検 査 を 受 けた 人 の 子 どもにとっても 同 時 に 重 要 な 意 味 をもつ. 優 性 遺 伝 の 場 合 ,子 どもに 受 け 継 がれる 確 率 は 理 論 的 には50%である.また, 発 端 者 がde novo 変 異 個 体 である 可 能 性 も 考 えられるが,この 場 合 でも 子 どもに 受 け 継 がれる 確 率 は優 性 遺 伝 の 場 合 ,50%と 考 えてよい.(7) 遺 伝 学 的 検 査 を 受 けなくても, 従 来 の 方 法 でリスクを 評 価 することが 可 能 な 場 合 があり,それを 選 択 することもできる.(8) 同 一 家 系 内 の 複 数 名 が 遺 伝 学 的 検 査 を 行 い,それぞれが 異 なる 結 果 を 得 ることにより, 人 間 関 係 の 軋 轢 や心 理 的 葛 藤 が 生 じる 可 能 性 がある 等 , 検 査 結 果 の 如 何にかかわらず 家 族 内 にもたらされる 心 理 的 影 響 は 少なくない.(9) 遺 伝 子 変 異 が 陽 性 で,その 情 報 を 遺 伝 カウンセリング 担 当 者 が 他 の 家 族 構 成 員 にも 伝 える 必 要 がある 場合 ,まずクライエント 本 人 のみに 伝 え,クライエントから 他 の 家 族 構 成 員 に 遺 伝 カウンセリングをすすめてもらうようにすべきである.また, 被 検 者 と 必 ずしも 良 好 な 人 間 関 係 が 維 持 されていないと 思 われる 他の 家 族 構 成 員 に 関 しては, 伝 える 時 期 , 順 番 等 をクライエントの 希 望 に 沿 って 決 めカウンセリングを 行 う必 要 がある.(10) 同 一 家 系 内 で 遺 伝 学 的 検 査 を 受 けるのがたとえ1名 のみであっても,その 結 果 はもはやその 個 人 だけの問 題 ではなくなる.ある 特 定 の 個 人 の 希 望 によって 遺伝 学 的 検 査 が 行 われる 場 合 , 他 の 家 族 構 成 員 への 遺 伝情 報 開 示 は, 原 則 として 本 人 の 希 望 に 沿 って 行 われるが, 家 族 構 成 員 の「 知 らないでいる 権 利 」も 考 慮 されなくてはならない.Ⅱ 各 論1 染 色 体 異 常 ( 表 2)1 22q11.2 欠 失 症 候 群1 疾 患 概 念先 天 性 心 疾 患 , 特 徴 的 顔 貌 , 胸 腺 低 形 成 , 口 蓋 裂 ・ 鼻咽 腔 閉 鎖 不 全 , 低 カルシウム 血 症 , 精 神 発 達 遅 滞 を 主 徴とし,DiGeorge 症 候 群 ,velo-cardio-facial 症 候 群 ,および 円 錐 動 脈 幹 異 常 顔 貌 症 候 群 等 を 含 む 染 色 体 微 細 欠 失 症候 群 .2 診 断FISH 法 でTUPLE1/HIRA 遺 伝 子 を 含 むプローブを 用い,22q11.2 微 細 欠 失 を 証 明 する.3 発 生 頻 度4,000~5,000 人 に1 人 . 先 天 性 心 疾 患 では21トリソミーに 次 いで2 番 目 に 多 く, 円 錐 動 脈 幹 心 形 成 異 常 では最 も 頻 度 が 高 い 染 色 体 異 常 である.4 遺 伝 的 原 因22 番 染 色 体 長 腕 q11.2 領 域 のヘテロ 微 細 欠 失 に 起 因し, 欠 失 領 域 (1.5~3Mb)にある 遺 伝 子 のハプロ 不 全(haploinsufficiency)と 考 えられる. 染 色 体 FISH 分 析 により,95% 以 上 の 患 者 で22q11.2 領 域 の3Mb(typicallydeleted region ; TDR)または1.5Mb の 欠 失 が 認 められる.染 色 体 上 の 欠 失 領 域 の 両 端 にDNA 反 復 配 列 が 存 在 し,染 色 体 組 み 換 え 時 のミスマッチにより, 均 一 な 欠 失 が 高率 に 起 こると 推 測 されている. 欠 失 が 均 一 であるにもかかわらず, 臨 床 症 状 は 極 めて 多 様 で, 遺 伝 子 型 と 表 現 型に 相 関 は 認 められない.また, 同 一 の 欠 失 を 有 する, 表現 型 の 異 なる 一 卵 性 双 生 児 例 の 報 告 が 複 数 あり, 胎 内 環境 の 違 い( 血 流 の 差 等 )が 関 与 することを 示 唆 する.5 再 発 率どちらかの 親 に 欠 失 がある 場 合 , 再 発 率 は50%( 常染 色 体 優 性 遺 伝 ).多 くは 散 発 性 だが,10~20%は 家 族 性 ( 常 染 色 体 優13

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