13.07.2015 Views

心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウ ... - 日本循環器学会

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

心 臓 血 管 疾 患 における 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 カウンセリングに 関 するガイドライン現 し, 妊 娠 率 も 非 モザイク 型 Turner 症 候 群 よりは 高 いとされている.6 ) 出 生 前 診 断胎 児 超 音 波 異 常 : 妊 娠 10~14 週 の 超 音 波 検 査 で 項 部透 明 層 拡 大 を 認 めたら,18トリソミー,45,X,21トリソミーが 疑 われ, 羊 水 染 色 体 検 査 がすすめられる. 馬 蹄 腎 ・左 側 心 形 成 異 常 を 認 めた 場 合 にも 45,Xが 疑 われる.7 ) 原 因 遺 伝 子X・Y 短 腕 末 端 の 相 同 な2.3Mb に 及 ぶPAR1の 末 端近 くにあるSHOX,Y 染 色 体 特 異 的 成 長 遺 伝 子 GCY が 低身 長 に 関 係 する.その 他 ,PARのリンパ 管 形 成 遺 伝 子 ( 未同 定 )が 想 定 される.8 ) 症 状 ・ 予 後 ・ 管 理・ 出 生 後 は 以 下 の 症 状 から 疑 われ, 染 色 体 検 査 により 診断 される.(1) 新 生 児 のTurner 徴 候 : 足 背 ・ 手 背 の 浮 腫 , 翼 状 頸 ,大 動 脈 縮 窄 .(2) 低 身 長 : 小 学 校 入 学 時 に 身 長 100cm 以 下 .Tuner 症候 群 では 出 生 時 に-1SD, 入 学 時 に-2SD~-2.5SD, 思春 期 に-3.5SD~-4.0SD, 成 人 で-2.5SD~-3.5SD.(3) 無 月 経 : 一 次 性 無 月 経 が 大 部 分 だが, 二 次 性 のこともある.・ 症 状 の 特 徴 , 管 理 は 以 下 の 通 り.(1) 低 身 長 :SHOX,GCY 欠 失 , 染 色 体 不 均 衡 により 生じる. 成 長 ホルモンが 有 効 .(2) 外 表 奇 形 : 中 手 骨 短 縮 , 外 反 肘 , 翼 状 頸 , 楯 状 胸 等 .(3) 性 腺 異 形 成 : 減 数 分 裂 時 の 相 同 染 色 体 対 合 不 全 により 説 明 される.ホルモン 療 法 が 有 効 . 思 春 期 年 齢 からのエストロゲン 製 剤 の 経 口 投 与 により 二 次 性 徴 を 誘 発し,その 後 Kaufmann 療 法 による 月 経 誘 導 を 行 う.・ 先 天 性 心 疾 患 (15~40%)大 動 脈 縮 窄 , 大 動 脈 二 尖 弁 , 大 動 脈 弁 狭 窄 , 大 動 脈 弁閉 鎖 不 全 , 左 心 低 形 成 症 候 群 等 の 左 心 系 の 異 常 が 多 い.流 産 児 の 75 % が 左 心 系 病 変 によるものであるとの 報 告もある.特 徴 的 かつ 注 意 すべきものは, 大 動 脈 瘤 , 大 動 脈 拡 張等 の 大 動 脈 基 部 の 異 常 . 大 動 脈 縮 窄 , 大 動 脈 弁 狭 窄 に 関連 して 発 症 することが 多 い. 若 年 から 高 血 圧 を 合 併 する例 が 多 い. 解 離 性 大 動 脈 瘤 の 危 険 があり,10 代 での 死亡 例 もある. 病 理 組 織 学 的 には,Marfan 症 候 群 と 同 様 ,中 膜 壊 死 の 所 見 を 呈 する 症 例 が 多 い.大 動 脈 縮 窄 に 対 するバルーン 拡 張 術 は, 大 動 脈 解 離 の危 険 性 から 控 えたほうがよい.・ 腎 臓 疾 患 (25~40%)馬 蹄 腎 が 最 も 多 い.その 他 , 重 複 腎 盂 ・ 尿 管 , 回 転 異常 , 無 形 成 腎 , 異 所 性 腎 , 尿 管 膀 胱 接 合 部 の 狭 窄 等 がある. 膀 胱 尿 管 逆 流 現 象 , 尿 路 感 染 症 に 対 する 治 療 が 必 要な 場 合 がある.5 染 色 体 異 常 症 の 検 査 に 関 するガイドライン1 発 症 者 を 対 象 とする 染 色 体 検 査染 色 体 検 査 は, 通 常 , 発 症 者 の 確 定 診 断 を 目 的 として行 われる. 結 果 的 にその 情 報 が, 両 親 および 血 縁 者 に 影響 を 与 える 可 能 性 があることについて, 検 査 前 に 十 分 説明 し, 理 解 を 得 なければならない.2 保 因 者 の 判 定 を 目 的 とする 染 色 体 検 査(1) 染 色 体 検 査 は, 染 色 体 異 常 症 に 罹 患 した 児 を 妊 娠 ,分 娩 した 既 往 を 有 する 場 合 , 両 親 のいずれかが 保 因 者であるかどうかを 明 らかにし, 将 来 , 子 孫 が 染 色 体 異常 症 に 罹 患 する 可 能 性 を 予 測 するための 保 因 者 検 査 として 行 われることがある.(2) 両 親 が 均 衡 型 転 座 保 因 者 でない 場 合 , 次 子 の 再 発 率は 無 視 できる 程 度 に 低 いと 考 えられるが, 性 腺 モザイクの 可 能 性 を 考 慮 すると, 一 般 集 団 と 全 く 同 等 とはいいきれない.(3) 保 因 者 検 査 を 行 うにあたっては, 被 検 者 に 対 して,その 検 査 が 本 人 の 健 康 管 理 に 直 接 役 立 つ 情 報 を 得 ることを 目 的 とするのではなく, 将 来 の 生 殖 行 動 に 役 立 つ可 能 性 のある 情 報 を 得 るために 行 われることを 十 分に 説 明 し, 理 解 を 得 なければならない.(4) 保 因 者 検 査 を 行 う 場 合 には, 担 当 医 師 および 関 係 者は, 診 断 の 結 果 明 らかになる 遺 伝 的 特 徴 に 基 づいて,被 検 者 およびその 血 縁 者 や 家 族 が 差 別 を 受 ける 可 能性 について 十 分 に 配 慮 しなければならない.3 出 生 前 染 色 体 検 査 および 診 断(1) 出 生 前 検 査 および 診 断 として 染 色 体 検 査 を 行 うにあたっては, 倫 理 的 および 社 会 的 問 題 を 包 含 していることに 留 意 しなければならず, 特 に 以 下 の 点 に 注 意 して実 施 しなければならない.ⅰ) 胎 児 が 罹 患 児 である 可 能 性 (リスク), 検 査 法 の診 断 限 界 ( 特 に 低 頻 度 のモザイクは 診 断 できないことがある), 母 体 ・ 胎 児 に 対 する 危 険 性 , 副 作 用 等について 検 査 前 によく 説 明 し, 十 分 な 遺 伝 カウンセリングを 行 うこと.23

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!