Creative Professional Emulator X2リファレンスマニュアル

4 - マルチセットアップ / プリセットグローバル
プリセットグローバル
Just(純正律)系のチューニングについて
ウェルテンペラメント系や Just(純正律)系のチューニン
グは、平均律が使用される 20 世紀以前の鍵盤楽器に使用
されたチューニングです。現在一般的な平均律は、全ての
キーで演奏が出来るようにその名のとおりオクターブを
12 等分した音階ですが、ウェルテンペラメント系や Just
系のチューニングは、より純粋な和音のためにオクターブ
内の 12 音を個別にチューニングした音階です。Just(純
正律)系のチューニングにいたっては、純粋な和音が得ら
れる代わりに演奏できる和音が限定されます。もしそれ以
外の和音を演奏すると不協和音になってしまうからです。
プリセットを変更することでチューニングテーブルも変更
されるため、同じサウンドで異なるチューニングテーブル
を設定したプリセットを用意し、プログラムチェンジやコ
ンティニアスコントローラ(2 つのプリセットをリンクして、コントローラでこれ
らをクロスフェード)を使用して変更を行ってみて下さい。
Just C2、Just C Minor、Just C3 チューニングについて
これらの新しいチューニングテーブルは、これまでの E-MU 製品にも搭載されてい
た純正律「Just C」を発展させたチューニングです。その理論についてはこのマニュ
アル以上の量の説明が必要なため省きますが、詳しく知りたい方は図書館や本屋で
Hermann Helmholtz 氏の「On the Sensations of Tone」を探してみて下さい。
ではまず C メジャー /C マイナーキーでこれらのチューニングを演奏して、Just(純
正律)系のチューニングの特徴を感じ取って下さい。例えば「Just C」の C、Em、
F、G、Am コードは、平均律で演奏したのに比べ「ゆらぎ」の無い澄んだ響きに聞
こえると思います。しばらく演奏してから平均律にもどして演奏するとさらにその
違いがはっきりとわかるはずです。この「ゆらぎ」に気付くと、なぜ平均律を使い
はじめたのか疑問をもたれるかも知れません。その答えは D、Dm、Bb コードを弾
くとわかります。Just(純正律)系のチューニングは、音程間比率を C と G コード
がより澄んで聞こえるよう設定されているため、D コードなどはそのしわ寄せで不
協和音になってしまいます。これを改善して G コードが不協和音になる代わりに D、
Dm、Bb コードも弾けるようにしたのが「Just C3」です。このように純正律「Just
C」を拡張して、それぞれ異なるコード群をカバーしたのが「Just C2」「Just C
Minor」「Just C3」チューニングということになります。しかし全てのコードを澄ん
だ響きにチューニングする事ができません。この対策として生まれたのが、オク
ターブを 12 等分割することでコードの響きの偏りを平均化した現在の平均律です。
どのコードもゆらぎがあるものの、どのキーどのコードでも演奏する事が出来ます。
Just C
演奏可能なコード : C, E, F, G, A, Cm, C#m, Em, F#m, Gm, Am
Just C2
演奏可能なコード : C, E, F, G, A, B, C#m, D#m, Em, G#m, Am, Bm
Just C minor
演奏可能なコード : C, Db, D, Eb, G, Ab, Cm, Em, Fm, Gm
Just C3
演奏可能なコード : C, D, F, Bb, C#m, Dm, Em, F#m, G#m, Am
純正率について
「19-tone」を除いた全ての純正率では、ミドル C(MIDI ノート 60)を 12 音の中心
としたチューニングです。各鍵盤はミドル C(C2)を中心として上下に広がります。
例えば "22-Tone" チューニングを使用している場合、ミドル C の 1 オクターブ上の
鍵盤は A#3 になります。
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