You also want an ePaper? Increase the reach of your titles
YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.
アメリカの 税 務 百 科<br />
Tax & Accounting<br />
財 務 諸 表 のプレパレーションについて<br />
ながの<br />
永<br />
野 文<br />
よしなが<br />
久 米 国 公 認 会 計 士<br />
2014 年 10 月 に AICPA ( 米 国 公 認 会 計<br />
コンピレーションの 基 準 を 明 確 化 するととも<br />
コンピレーション 及 びプレパレーションの 比 較<br />
士 協 会 ) より Statement for Accounting<br />
and Review Services (SSARS) No. 21,<br />
“Statements on Standards for Accounting<br />
and Review Services: Clarification and<br />
Recodification”( 会 計 及 びレビューサービス:<br />
明 確 化 及 び 再 編 成 )の 基 準 書 が 公 表 された。<br />
旧 来 から SSARS には、 監 査 (Audit) より 保<br />
に、 新 しくプレパレーションという 区 分 を 設<br />
けることとなった。<br />
財 務 諸 表 のプレパレーションについて<br />
財 務 諸 表 のプレパレーションとは、 監 査 、<br />
レビューまたはコンピレーション 業 務 以 外 で<br />
会 計 事 務 所 がクライアントの 財 務 諸 表 を 作 成<br />
契 約 書 の 要 否<br />
会 計 事 務 所 とクライアントの 間 の 独 立 性 の 要 否<br />
独 立 性 が 失 われている 場 合 の 開 示 の 必 要 性<br />
レポートの 要 否<br />
財 務 諸 表 の 外 部 第 三 者 へ 提 出 の 可 否<br />
財 務 諸 表 の 注 意 事 項 を 省 略 の 可 否<br />
コンピレーション<br />
必 要<br />
必 要 注 1<br />
必 要<br />
必 要<br />
可<br />
可<br />
プレパレーション<br />
必 要<br />
不 要<br />
N/A<br />
不 要 注 2<br />
可<br />
可<br />
証 水 準 が 低 いレビュー 及 び 財 務 諸 表 の 調 製<br />
( コンピレーション ) に 関 して、どのような 手<br />
することをいう。 具 体 的 には、 会 計 事 務 所 が<br />
クライアントのために 財 務 諸 表 を 作 成 はする<br />
注 1: 独 立 性 は 求 められるが、 独 立 性 がない 場 合 はレポートにその 旨 を 言 及 することで 業 務 受 託 は 可 能<br />
注 2: 財 務 諸 表 の 各 ページには 会 計 事 務 所 の 保 証 がない 旨 を 注 釈<br />
続 きを 実 施 すべきかが 規 定 されていた。 今 回<br />
ものの、 監 査 、レビューまたはコンピレーショ<br />
の 改 訂 では、レビュー、コンピレーションに<br />
ンの 保 証 または 証 明 水 準 が 不 要 な 場 合 に 対<br />
加 えて、 財 務 諸 表 の 作 成 ( プレパレーション )<br />
応 するサービスであるといえる。このため、<br />
言 を 各 ページに 入 れることが 義 務 付 けられ<br />
諸 表 の 注 記 事 項 が 省 略 可 能 なことも 変 更 が<br />
という 概 念 が 導 入 された。 今 回 は、 財 務 諸<br />
大 きな 特 徴 として、プレパレーションによる<br />
た。<br />
ない。<br />
表 のコンピレーション 及 び 新 概 念 であるプレ<br />
パレーションの 特 徴 について 概 説 したい。<br />
財 務 諸 表 には 会 計 事 務 所 のレポートは 求 め<br />
られない。<br />
通 常 、 財 務 諸 表 には 注 記 事 項 の 開 示 も 必<br />
要 とされるが、このプレパレーションによる<br />
適 用 開 始 時 期<br />
背 景<br />
この 場 合 のレポートとは、 会 計 事 務 所 が 監<br />
査 等 を 行 った 財 務 諸 表 に 関 して 一 定 レベルの<br />
財 務 諸 表 では 注 記 事 項 の 有 無 は 問 われな<br />
い。また、 保 証 も 証 明 もしないため、 会 計<br />
この SSARS No.21 は、<strong>2015</strong> 年 12 月 15 日<br />
以 降 終 了 する 事 業 年 度 の 財 務 諸 表 から 適 用<br />
1978 年 に SSARS No.1, “Compilation and<br />
保 証 または 証 明 を 行 う 文 書 である。 保 証 また<br />
事 務 所 とクライアントの 間 の 独 立 性 も 問 われ<br />
開 始 となる。つまり <strong>2015</strong> 年 度 より 適 用 対 象<br />
Review of Financial Statements”が 発 行 され<br />
は 証 明 を 付 けないことが 特 徴 なので、 第 三 者<br />
ない。 一 方 、 監 査 等 の 業 務 と 同 じように、こ<br />
となるが、 早 期 適 用 も 認 められている。<br />
た 当 初 は 誰 が 財 務 諸 表 を 作 成 したかの 判 断<br />
は 容 易 に 行 えた。しかし 近 年 、クラウド・コ<br />
への 提 出 が 想 定 されている 財 務 諸 表 であった<br />
としても、プレパレーションによる 財 務 諸 表<br />
のプレパレーションサービスにおいてもクラ<br />
イアントとの 契 約 書 の 作 成 は 義 務 化 された。<br />
まとめ<br />
ンピューティングやソフトウェアの 進 歩 によ<br />
り 会 計 事 務 所 、 会 社 または 双 方 により 財 務<br />
にはこのレポートは 含 まれないこととなる。<br />
なお、プレパレーションによる 財 務 諸 表 の<br />
変 更 点 等 について<br />
米 国 進 出 企 業 の 記 帳 業 務 を 会 計 事 務 所 に<br />
委 託 しており、かつコンピレーションによる<br />
24 SAN DIEGO YU-YU FEBRUARY 16, <strong>2015</strong><br />
諸 表 が 作 成 されるようになってきており、 誰 ユーザーに 対 して 注 意 を 喚 起 するため、 監 査 、<br />
が 財 務 諸 表 の 作 成 を 行 っているかという 判 レビューが 行 われていないということを 明 確<br />
断 が 難 しくなっている。このようなことから にする「 会 計 事 務 所 の 保 証 はない」という 文<br />
永 野 文 久<br />
永 野 ・ 森 田 公 認 会 計 士 事 務 所<br />
昭 和 17 年 生 まれ、 昭 和 41 年 東 京 大 学 卒<br />
同 年 三 和 銀 行 入 社<br />
昭 和 58 年 米 国 公 認 会 計 士<br />
財 務 諸 表 のコンピレーションには 必 ずレ<br />
ポートが 必 要 となる。マネジメント 使 用 に 限<br />
定 した 財 務 諸 表 は、 従 来 あったように、コ<br />
ンピレーションを 行 った 上 で、そのレポート<br />
上 でマネジメント 限 定 使 用 に 触 れるような<br />
形 は 採 用 できなくなる。そのような 場 合 、 財<br />
務 諸 表 はプレパレーションとして 作 成 される<br />
ことになる。なお、 従 来 どおり、 契 約 書 は<br />
必 要 であり、 会 計 事 務 所 とクライアントとの<br />
間 の 独 立 性 も 保 つ 必 要 がある。また、 財 務<br />
財 務 諸 表 を 必 要 としていないような 場 合 、 保<br />
証 、 証 明 がないプレパレーションによる 財 務<br />
諸 表 を 会 計 事 務 所 に 依 頼 することが 可 能 と<br />
なった。<br />
企 業 は 、 監 査 、レビュー 、コンピレ ー ション、<br />
そしてプレパレーションから 自 身 のニーズに<br />
合 った 保 証 レベルのサービスを 選 択 すること<br />
になる。 財 務 諸 表 のユーザーも 決 算 書 を 読<br />
む 上 で、これらの 違 いがどのような 意 味 を 持<br />
つのか 関 心 を 持 ちたい。