San Diego Yu Yu, December 1, 2017

ス タ ッフ 閑 談
今 回 のテーマは「 家 」
▽ 父 が 亡 くなってから、いろいろな 書 類 が 日 本 の 兄 から 送 られてきた。 初 めて 見 る 先 祖 の 戸 籍 謄 本 には、「 慶 應 」や「 安 政 」といった、
歴 史 ドラマに 登 場 する 年 号 に 生 まれた 人 もいてびっくり 仰 天 した。 故 郷 、 福 島 県 の 会 津 柳 津 の 旧 家 には、 子 どものころ、 気 難 しそうな
まかな
祖 父 が 一 家 の 家 父 長 として 君 臨 し、 血 縁 親 族 、 賄 い 衆 など10 世 帯 以 上 の 家 族 が 暮 らしていた。 昔 はそんな「 家 制 度 」が 確 かにあった。
黒 光 りする 大 所 帯 の 家 で 繰 り 広 げられたであろう、 会 ったことのない 先 祖 さまの 人 生 に 思 いを 馳 せてみた。▽ 30 年 ほど 前 、 我 が 家 があ
るクレアモント 地 区 の 一 戸 建 ては $180,000 くらいで 購 入 できた。 日 本 では 到 底 無 理 な 話 だけど、 頑 張 れば
サンディエゴではマイホームが 持 てると 期 待 に 胸 を 膨 らませたことを 覚 えている。ところが 2017 年 、サンディ
エゴの 住 宅 価 格 は 過 去 最 高 を 記 録 。 先 日 、 近 所 の 家 が $650,000 で 売 却 された。どうみても 普 通 の 平 屋 の
一 軒 家 なのだ。 頭 金 10%をダウンしてローンを 組 むと、 必 要 年 収 は $100,000!? そんな 家 をローンを 組 んで
買 うことができる 人 がいることにも 驚 いた。 大 学 へ 行 くための 学 費 は 高 騰 を 続 け、アメリカの 若 者 ミレニアルズ
にとって、マイホームを 持 つのは 夢 のまた 夢 …。アメリカンドリームはますます 遠 いものになろうとしている。(NS)
▽ 23 年 前 に 解 体 された 私 の 生 家 は、 迷 路 のような 構 造 を 持 ち、 不 可 思 議 な 現 象 も 起 きたことから、 近 所 の 人 々から「 幽 霊 屋 敷 」と
呼 ばれた。 昭 和 初 期 に 祖 父 が 建 てた 家 は、 当 時 の 写 真 を 見 るとそれなりの 格 式 を 備 えていたが、その 後 、 無 計 画 で 乱 雑 な 増 築 が 繰 り
返 され、 異 様 なほど 不 自 然 な 内 部 構 造 を 呈 することになる。 一 階 と 二 階 の 間 に “ 中 二 階 ”が 作 られたが、 各 部 屋 を 結 ぶ 通 路 が 枝 葉 のよ
らん
うに 分 かれていて、そう 簡 単 に 戻 れない。 小 学 生 の 友 達 が 迷 子 になって、 突 然 、 家 族 団 欒 の 時 間 に 出 現 し、びっくりぎょうてんすることも!
最 上 階 まで 続 く 階 段 は 急 勾 配 で 長 く、 足 を 滑 らせようなら、 生 命 の 危 機 に 見 舞 われる。 夜 中 に 激 しく 家 が
揺 れて 窓 枠 が 落 ちるポルターガイスト (?) も 体 験 した。その 日 は 地 震 などなかったそうだ。 心 霊 現 象 か?
ひのき
いろり
▽ 中 学 時 代 の 恩 師 の 家 は 由 緒 ある 旧 家 で、 風 呂 は 檜 造 り 、 食 事 は 囲 炉 裏 を 囲 んで 舌 鼓 を 打 つ 鍋 料 理 と、
感 動 モノの 古 民 家 生 活 。だが、 居 間 で 寝 泊 まりしていた 私 は 深 夜 にとんでもない 光 景 を 見 てしまう。 寝 ぼ
けた 先 生 の 孫 が 囲 炉 裏 に 歩 み 寄 り、 放 尿 を 始 めたのだ! 翌 朝 、 何 も 知 らない 先 生 は 孫 と 一 緒 に、 炭 火 で
焼 いた 魚 を 旨 そうに 食 べていた。これぞ 日 本 の 美 しき 家 族 。 私 は 胃 の 調 子 が 悪 いと 告 げておいた。 (SS)
この 数 年 間 、お 金 になる 家 のビジネス「Airbnb」のような 民 泊 サービスをする 家 があちらこちらに 出 て
きた。Uptown に 暮 らしている 私 たちの 周 りの 家 は " もちろん " 恰 好 のエリアになっている! 昔 はよく 近
所 に 住 んでいる 人 々と 顔 合 わせをし、いろいろな 話 をして、お 互 いにヘルプしていたが、この2 年 間 で 状 況
が 全 然 変 わってきた! ホームレス 問 題 + レストラン / バー / クラブに 来 るマナー 知 らずの 客 の 問 題 がある
上 、 近 所 の 家 への 知 らない 人 の 出 入 りが 激 しく、 路 上 違 法 駐 車 が 増 え、パーティーの
騒 音 、 麻 薬 のにおい … 本 当 に 困 っている! そして、このような 家 が 増 えた 影 響 で、サ
ンディエゴの 賃 貸 と 住 宅 の 金 額 が 信 じられないほど、 史 上 最 高 値 に 上 がり 続 けている!!
Uptowm エリアからもう 少 し 静 かな 場 所 に 移 ろうと 考 えている 私 と 夫 は、この「Seller
Market」になっているマーケットで 家 を 探 すのは 本 当 に 大 チャレンジ! ストレス 度 が
上 がり 過 ぎないうちに、お 気 に 入 りの 家 が 見 つかることを 期 待 している。(S.C.C.N.)
ものごころ
物 心 がついた 時 に 住 んでいた 家 は、こぢんまりした 庭 の 付 いた 2 階 建 ての 家 だった。 外 観 は 和 風 でないのに、 中 に 入
ると、 廊 下 がなく、ふすまや 引 き 戸 で 区 切 られた 和 風 の 間 取 りだった。2 階 の 広 い 空 間 に 2 段 ベッドと 勉 強 机 が 置 いて
あり、 妹 とスペースを 共 有 していた。2 階 には 他 に 父 母 の 寝 室 と 父 の 部 屋 もあった。10 歳 頃 に 両 親 が 新 しく 家 を 建 てた。
新 しい 家 は、 自 分 専 用 の 部 屋 があると 聞 いて 嬉 しかったのを 憶 えている。 私 はベランダにアクセスできる 6 畳 の 部 屋 。4
学 年 下 の 妹 は 出 窓 の 付 いている 4 畳 半 の 部 屋 。 壁 紙 も 自 分 たちで 選 ばせてもらえた。 私 は 白 っ
ぽい 地 に 薄 い 赤 と 青 の 線 の 模 様 が 散 っている 壁 紙 を 選 び、 妹 はピンクのリボン 模 様 の 壁 紙 にし
た。リビングルームはベージュの 花 っぽい 模 様 の 壁 紙 を 母 が 選 んだ。20 歳 で 家 を 出 るまで 10
年 間 その 家 に 住 んだ。 今 は 母 が 1 人 で 犬 、ネコたちとその 家 に 住 んでいる。いろいろリモデル
されてかなり 変 わった。 妹 の 部 屋 はクローゼットを 取 り 除 いて 広 くして、ネコたちの 部 屋 になっ
ている。 私 の 部 屋 は 和 室 に 変 わった。 変 わったけれど、 私 にとっての 実 家 。 帰 ると 落 ち 着 く。(YA)
思 い 出 に 残 る 家 はいくつかある。そのうちの 一 つは 母 方 の 祖 父 の 家 。 耳 鼻 咽 喉 科 の 医 者 をしていた 祖 父 の 家 は、 東 京 世 田 谷 区 の 玉 電
つた
沿 いに 建 っていた。 戦 後 に 建 てられたその 家 は、いわゆる 医 院 併 用 住 宅 。 洋 館 スタイルで 外 壁 には 蔦 が 絡 まっていた。1 階 にある 診 療
所 スペースは 薄 暗 くて 威 圧 感 があった。TV のサスペンス 劇 場 の 産 婦 人 科 か、 何 かの 舞 台 にも 使 われたことがあるくらいだ。 子 供 のころ、
祖 父 の 家 に 遊 びに 行 くたび、まずここの 診 察 室 で 祖 父 が 私 たちの 耳 鼻 咽 喉 のチェックをしてくれるのが 習 慣 だった。 待 合 室 に 置 かれた、
振 り 子 式 の 柱 時 計 が 時 間 を 告 げるボーンボーンという 音 はいまだによく 覚 えている。 診 療 所 を 抜 ける 扉 を 開
けると、 祖 父 の 住 居 スペースが 広 がる。これが 子 供 の 私 たちには 探 検 心 をかき 立 てられる 造 りだった。 部
屋 の 奥 に 通 路 があり、その 奥 にまた 違 う 部 屋 があったり、2 階 に 上 がる 階 段 が 2 つあったり、 大 人 同 伴 で
ないと 入 れない 倉 庫 のような 部 屋 もあったり。ミステリアスで 怖 いながらも 魅 力 あふれる 家 だった。 祖 父 が
亡 くなり、その 家 も 取 り 壊 され、 今 はアパートと 叔 母 夫 婦 が 住 む 近 代 的 な 家 が 建 っている。でも、 祖 父 や 親
戚 たちとの 思 い 出 がたくさん 詰 まったその 家 は、これからも 私 の 記 憶 の 一 部 となって 残 っていくのだろう。(RN)
福 山 で 生 まれ18 歳 まで 育 つまでに 2 軒 の 家 に 住 んだ。 上 京 して1 年 下 宿 の 後 、 住 まいを4 回 変 えた。 最 後 は 世 田 谷 区 の 上 北 沢 で15 年 、
その 後 、サンディエゴに 移 り 住 んだ。 当 地 では 現 在 の 住 まいが 2 軒 目 。 人 生 で 合 計 9 軒 の 家 に 住 んでいる 計 算 になる。これが 多 いのか
少 ないのかは 知 らないけれど、 現 在 の 住 まいが 人 生 で 一 番 長 い 住 所 ということに、 驚 きを 隠 せないでいる。 離 婚 して 現 住 所 に 移 り 住 んだ
のが 17 年 も 前 。 引 っ 越 してきた 当 時 は、 誰 かを 見 つけて 彼 の 家 に 転 がり 込 む。まぁ、この 家 も 2、3 年 だろうとタカをくくっていたのが、
つい すみか
気 がつけば 17 年 。ああ、 恐 ろしい! この 調 子 でいけば、 終 の 棲 家 となってしまうのでは? ならもっと 快 適
に 住 めるように、と 思 い 切 って 夏 にキッチンと 床 全 体 のリモデルに 取 り 組 んだ。このビル 建 設 時 からの 台 所
だから 既 に 30 年 は 経 っている。カーペットは 引 っ 越 してきた 際 に 換 えた。 女 独 り 住 まいとは 言 うものの、
17 年 も 経 てば、あちこちのシミが 目 立 つ。 材 料 を 選 ぶ 際 、キッチンはキャビネットもカウンターも 白 にした。
床 は 一 番 明 るい 色 のウッドで 統 一 。 結 果 、 部 屋 は 大 分 広 く 見 えて、 快 適 、 快 適 。 家 が 気 持 ちよくなると、 気
分 も 軽 くなる。よーし、 今 度 はバスルームだぁ~と、 家 の 改 造 に 意 欲 を 燃 やしている 今 日 この 頃 である。(Belle)
生 まれ 育 った ( あ、 生 まれてない 笑 ) 愛 知 県 春 日 井 市 の 実 家 が、 区 画 整 理 で、 家 のある 場 所 に 公 園 を 設 計 するらしく、 東 南 側 100m
範 囲 に 移 動 命 令 が 出 ている。“たちのき~”・・うちの 周 りは 田 んぼだらけ、 下 水 がなく ( 汲 み 取 り 屋 さんが 来 る ← 実 話 ! 笑 )。 区 画 整 理 で
とうとう 汲 み 取 り 屋 さんともお 別 れ。ということで、 家 は 建 て 直 しなんだけどー。 新 築 の 家 のデザインをわたしがする、と 申 し 出 て、 土 間 、
かまち
おごそ
上 がり 框 、 中 庭 を 囲 んだ 部 屋 、 茶 室 付 き 和 室 二 間 続 きの 縁 側 付 き 平 屋 の、 城 下 町 の 商 家 の 御 屋 敷 のごとき 図 面 をお 母 さんに 厳 かに (?)
提 出 した。お 母 さん の 一 言 「あんた、 誰 が お 金 出 すの?」で、この 話 はそれ 以 上 、 誰 も 口 に 出 さなくなった 笑 。
わたしの 目 標 は、 平 屋 の 御 屋 敷 に 住 むことー。 頭 の 中 は 妄 想 の 家 のデザインでいっぱい。それは 今 に 始 まったこ
とでなく、 小 学 生 のときは、 勝 手 に 自 分 だけでモデルハウスを 見 に 行 ってた。 今 思 うと、 店 員 さんは 大 迷 惑 笑 。よー
し。 今 は 持 ち 家 がないわたしは、 他 人 の 家 で 家 の 良 さを 味 わうべく、くつろぎ、 時 間 を 過 ごし、ご 飯 も 食 べて ( ん? )、
風 呂 も 入 り ( んん? )、 寝 るよ ( ??? )。あ、わたし、 他 人 の 家 が 好 きでー、 初 めて 行 った 家 でも、 風 呂 入 って、
あやも なつき みほし
寝 ることができる 笑 。じゃあ、 商 家 の 御 屋 敷 、 建 てなくてもいいんじゃない ? 笑 。( りさ 子 と 彩 雲 と 那 月 と 満 星 が 姪 )
私 と 旦 那 が 2001 年 に 買 った 今 の 家 は、2 ベッドルーム/ 2 バスルーム、1008 sqft. のボロでちっこい 家 だ。
それから16 年 、 子 供 が 登 場 し、 人 数 が 4 人 になった。なので、とりあえずキッチンをリフォームし、ベッドルー
ムを 1 部 屋 増 築 し、なんとなく、SS サイズの 家 から S サイズの 家 になった。が、それでもちっこい 家 のくせに、
旦 那 の 趣 味 の“おもちゃ”が 多 い 家 で、 気 持 ちは SS サイズの 窮 屈 さを 感 じる。まず 裏 庭 には、 薪 ストーブの 暖 炉 、
薪 ストーブの 五 右 衛 門 風 呂 、 肉 や 魚 の 燻 製 機 、ブドウ 棚 、そして 堆 肥 を 作 るための
でっかい 容 器 。ガレージにはサーフボードが4 本 、スケートボードが … ( いくつか 数
もり
えたくない )、 釣 り 竿 が、うーん 何 本 あるのか? 銛 ( 魚 を 突 き 刺 して 取 る 道 具 ) 、チ ェー
ンソーなどの 工 具 たち。 家 の 中 にはギター、ウクレレ、ドラム、ビール 蒸 留 キット、で、
20 年 以 上 にわたる Surfing Magazine コレクション。 私 は 何 でも 捨 てる 派 、 旦 那 は
捨 てられない 派 。いつまでたっても、 私 の 家 は SS サイズから 抜 けられない、 涙 。(IE)
SAN DIEGO YU-YU DECEMBER 1, 2017 67