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半 田 直 一 Naoichi HANDA<br />
斉 藤 和 彦 Kazuhiko SAITO<br />
天 沼 秀 章 Hideaki AMANUMA<br />
藤 谷 晃 Akira FUJITANI<br />
三 原 啓 輔 Keisuke MIHARA<br />
池 田 大 樹 Daiki IKEDA<br />
上 関 仁 護 Jingo UWAZEKI<br />
川 上 清 温 Kiyoharu KAWAKAMI<br />
従 来 , 運 転 台 の 機 器 配 置 は, 事 業 者 や 線 区 において 違 いが 発 生 する 部 位 であり, 車 種 ごとに 設 計 を 行 っていた.<br />
それを,モジュール 構 造 の 運 転 台 を 共 通 部 分 と 可 変 部 分 に 分 け, 共 通 部 分 は 1 度 の 設 計 で 流 用 を 可 能 とし, 可<br />
変 部 分 は 機 器 配 置 など, 客 先 の 仕 様 に 合 わせ 最 小 限 の 設 計 で 対 応 できる 構 造 とした. 本 稿 では 共 通 部 分 と 可 変<br />
部 分 の 導 入 により, 設 計 の 統 一 化 が 出 来 る 運 転 台 モジュールの 開 発 経 緯 について 紹 介 する.<br />
<br />
運 転 台 は, 運 転 台 ユニットとして 設 計 ・ 製 造 される.<br />
運 転 台 ユニットは,きせおよび 骨 組 に 機 器 を 取 り 付 けた<br />
大 型 部 品 である. 運 転 台 ユニットの 骨 組 はユニット 内 の<br />
機 器 配 置 にあわせて 設 計 されるため, 機 器 配 置 が 変 わる<br />
と 骨 組 も 変 える 必 要 がある.また, 乗 務 員 室 構 体 構 造 や<br />
貫 通 扉 の 有 無 も, 運 転 台 ユニット 外 形 に 大 きく 影 響 する.<br />
ユニット 骨 組 の 図 面 は 非 常 に 細 かい 図 面 であるため,<br />
乗 務 員 室 の 設 計 においても 設 計 時 間 の 掛 かる 面 倒 な 図 面<br />
の 一 つである.したがって 機 器 配 置 に 合 わせて,きせや<br />
骨 組 を 変 更 する 作 業 も 大 きな 設 計 ボリュームを 持 ってお<br />
り, 大 抵 の 場 合 は 新 しく 図 面 を 書 き 起 こさなくてはなら<br />
ない.これが 各 種 案 件 ごとに 毎 回 発 生 している.<br />
また, 機 器 配 置 が 決 まらないと,ユニットの 骨 組 が 確<br />
定 しないところも 問 題 の 一 つである. 骨 組 の 図 面 は 内 容<br />
が 細 かく 情 報 量 が 多 いため, 製 造 する 側 も 図 面 を 読 み,<br />
製 作 するのに 時 間 が 掛 かる.そのためユニット 骨 組 の 図<br />
面 は 早 い 段 階 で 仕 上 げたいというのが 設 計 ・ 製 造 の 思 い<br />
である.ところが 実 際 は 設 計 後 半 になって 機 器 の 外 形 や<br />
仕 様 が 変 わったり,スイッチ 類 の 追 加 が 必 要 になったり<br />
と 機 器 配 置 を 変 えなくてはならない 状 況 が 発 生 する. 機<br />
器 配 置 の 変 更 が 図 面 に 与 える 影 響 は 大 きく, 設 計 途 中 で<br />
の 機 器 の 追 加 や 配 置 の 変 更 は 設 計 の 大 きな 出 戻 りを 招 く<br />
ほか, 後 工 程 にも 影 響 を 与 えかねない.<br />
昨 今 の 鉄 道 ユーザが 求 める 車 両 は, 先 頭 形 状 における<br />
デザイン 性 が 重 要 視 されており,デザイン 確 定 から 乗 務<br />
員 室 構 体 構 造 が 確 定 するまで, 長 い 期 間 を 要 することも<br />
少 なくない.このことにより, 確 定 してから 運 転 台 設 計<br />
に 取 り 掛 かれる 時 間 は 少 なく, 設 計 者 は, 変 更 があるこ<br />
とを 前 提 に 運 転 台 設 計 を 進 めていかざるを 得 ない 状 況 に<br />
陥 っている.<br />
<br />
運 転 台 を 共 通 の 形 状 にすれば 設 計 の 手 間 は 大 きく 減 ら<br />
すことが 出 来 る.しかし 運 転 台 の 形 状 は 乗 務 員 室 に 合 せ<br />
て 最 適 化 されているため,どの 車 種 にも 搭 載 可 能 な 運 転<br />
台 の 形 状 となると 全 ての 運 転 台 の 論 理 積 を 取 ったよう<br />
な, 小 さい 運 転 台 になってしまう.しかも 運 転 台 の 形 状<br />
を 共 通 化 しても 機 器 配 置 が 変 わるたびに 図 面 を 書 き 起 こ<br />
さなくてはならない 問 題 は 解 決 しないままである. 製 造<br />
側 の 都 合 によりユーザの 意 向 を 反 映 できない 車 両 では,<br />
現 在 の 鉄 道 車 両 としては 成 立 しない.<br />
運 転 台 の 形 状 の 問 題 と 機 器 配 置 の 変 化 (=ユーザニー<br />
ズ)への 柔 軟 な 対 応 ,この2つの 問 題 をクリアする 必 要<br />
があった.<br />
課 題 を 克 服 するにあたっては 床 下 機 器 配 置 の 考 え 方 を<br />
参 考 にした.<br />
床 下 の 機 器 配 置 もまた 車 種 ごとに 異 なる.しかし, 機<br />
器 取 付 の 母 体 となる 床 下 の 骨 組 ( 台 枠 )の 設 計 は 機 器 配<br />
置 の 確 定 を 待 たずしてほぼ 完 了 する.ここに 着 目 した.<br />
なぜこのような 設 計 ができる 構 造 なのか.まず 床 下 の<br />
骨 組 は 取 り 付 けピッチがほぼ 決 まっており,それに 合 せ<br />
て 機 器 を 取 り 付 ける. 機 器 の 取 り 付 け 穴 ピッチと 骨 組 の<br />
ピッチが 合 わない 箇 所 は 取 付 金 を 作 成 し, 機 器 と 骨 組 の<br />
インタフェースをとる.これを 運 転 台 に 応 用 できないか<br />
と 考 えた.つまりベースとなる 運 転 台 には 取 り 付 け 用 の<br />
骨 を 設 け, 機 器 と 骨 組 のインタフェースとして 取 付 金 (モ<br />
ジュール)を 作 ることで 機 器 配 置 が 変 わってもモジュール<br />
の 変 更 のみで 対 応 できる 構 造 を 基 本 とした.このモジュ<br />
総 合 車 両 製 作 所 技 報<br />
第 5 号<br />
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