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吉 澤 正 皓 Masaaki YOSHIZAWA<br />
マグネシウム 合 金 は, 既 存 の 実 用 金 属 の 中 でも 軽 量 かつ 高 強 度 である. 現 在 の 高 速 鉄 道 車 両 にはアルミニウ<br />
ム 合 金 が 使 用 されている. 将 来 においてアルミニウム 合 金 よりも 軽 量 であるマグネシウム 合 金 を 鉄 道 車 両 構 体<br />
に 用 いるための 研 究 が 各 所 で 行 われている. 鉄 道 車 両 製 造 には 溶 接 が 必 須 技 術 である.アーク 溶 接 , 抵 抗 スポッ<br />
ト 溶 接 が 鉄 道 車 両 製 造 における 溶 接 方 法 の 主 流 である.このほかに 近 年 ではレーザ 溶 接 や FSW も 広 く 使 用 さ<br />
れている. 当 解 説 ではマグネシウム 合 金 のレーザ 溶 接 について 解 説 する.<br />
<br />
当 社 の 製 造 する 鉄 道 車 両 の 大 半 はステンレス 鋼 製 であ<br />
る.これは 主 に 通 勤 車 両 として 使 用 されている. 対 して<br />
<strong>特</strong> 急 車 や 新 幹 線 車 両 においては 軽 量 なアルミニウム 合 金<br />
が 使 用 されている.<br />
車 体 が 軽 量 であることは 鉄 道 車 両 において 重 要 な 開 発<br />
目 標 の 一 つである. 近 年 ,アルミニウム 合 金 より 軽 量 な<br />
マグネシウム 合 金 を 鉄 道 車 両 用 の 材 料 として 使 用 する 動<br />
きがある.マグネシウム 合 金 は 密 度 がアルミニウム 合 金<br />
の 約 2/3であり, 大 幅 な 軽 量 化 が 見 込 まれる.<br />
マグネシウム 合 金 はアルミニウム 合 金 同 様 に 圧 延 材 ,<br />
押 出 形 材 の 製 作 が 可 能 である. 現 在 ,アルミニウム 合 金<br />
製 車 両 はダブルスキン 押 出 形 材 を 溶 接 により 組 み 立 てて<br />
いる.マグネシウム 合 金 製 車 両 についてはさまざまな 構<br />
造 を 検 討 中 である.<br />
マグネシウム 合 金 の 溶 接 については 種 々の 方 法 が 検 討<br />
されている. 具 体 的 にはアルミニウム 合 金 製 車 両 の 主 な<br />
溶 接 法 であるMIG 溶 接 ,TIG 溶 接 ,このほかにFSW,レ<br />
ーザ 溶 接 等 である.<br />
種 々の 溶 接 法 の 中 でレーザ 溶 接 には 施 工 上 の 利 点 とし<br />
て 低 ひずみ, 高 速 溶 接 がある.これらをマグネシウム 合<br />
金 製 車 両 の 製 造 で 実 現 するため,マグネシウム 合 金 の 溶<br />
接 性 の 確 認 実 験 を 実 施 した.この 結 果 を「マグネシウム<br />
合 金 のレーザ 溶 接 技 術 」として 解 説 する.<br />
<br />
鉄 道 車 両 構 体 を 構 成 する 材 料 の 熱 物 性 を 表 1に 示 す.<br />
ただし, 合 金 の 種 類 によって 物 性 値 が 異 なるため, 主 な<br />
構 成 元 素 で 示 した.<br />
表 1よりアルミニウムとマグネシウムでは,ほぼ 同 じ<br />
融 点 , 比 熱 であることがわかる.ただし,マグネシウム<br />
の 熱 伝 導 率 はアルミニウムの 約 2/3 程 度 である.マグネ<br />
シウムと 鉄 では 融 点 , 比 熱 , 熱 伝 導 率 に2 倍 以 上 の 差 が<br />
ある.マグネシウムは 熱 物 性 としてはアルミニウムに 近<br />
い 性 質 がある.<br />
<br />
材 融 点 点 比 熱 熱 伝 導 率 ・<br />
質 材 ・ ()・ 融 点 ()・ 点 (J/kg・)・ 比 熱 (W/m・)・ 熱 伝 導 率 ・<br />
Fe・ 質 ・ ()・ 1536・ ()・ 2860・ (J/kg・)・ 456・ (W/m・)・ 78・<br />
Al・<br />
Fe・ 1536・<br />
660・ 2520・<br />
2860・<br />
917・<br />
456・<br />
238・<br />
78・<br />
Mg・<br />
Al・<br />
649・<br />
660・<br />
1090・<br />
2520・<br />
1038・<br />
917・<br />
156・<br />
238・<br />
Mg・ 649・ 1090・ 1038・ 156・<br />
レーザ 溶 接 では 表 1の 熱 物 性 に 加 えて, 材 料 固 有 のレ<br />
ーザ 波 長 に 対 する 吸 収 率 という 性 質 が 重 要 である.これ<br />
は,レーザを 材 料 に 照 射 したとき,どれだけのエネルギ<br />
が 吸 収 されるかを 示 すものである.ここではYAGレー<br />
ザやファイバレーザ, 半 導 体 レーザの 波 長 に 近 い<br />
1000nm 付 近 のデータを 表 2に 示 した.<br />
表 2より,たとえば 鉄 の 場 合 は 吸 収 率 が 約 40%である<br />
から, 投 入 したレーザのエネルギの 約 40%が 熱 となり 加<br />
工 に 寄 与 する. 三 種 の 金 属 を 比 較 するとマグネシウムは<br />
鉄 とアルミの 中 間 に 位 置 する 吸 収 率 を 有 していることが<br />
わかる.<br />
材 質 ・ Fe・ Al・ Mg・<br />
<br />
吸 材 収 質 ・率 ・ 約 Fe・ 40%・ 約 Al・ 10%・ 約 Mg・ 25%・<br />
吸 収 率 ・ 約 40%・ 約 10%・ 約 25%・<br />
総 合 車 両 製 作 所 技 報<br />
第 5 号<br />
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