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国 内 と 海 外 の 溶 接 技 術 検 定 の 比 較 検 討<br />
<br />
ISO 規 格 では3mm 以 上 の 割 れは 認 めないとしている.<br />
また,1mmを 超 え,3mm 未 満 の 割 れの 合 計 が10mm 以 上<br />
でも 不 合 格 となる.<br />
JIS 規 格 では 同 じく3mm 以 上 の 割 れは 認 めていない.<br />
さらに3mm 未 満 の 割 れの 合 計 が7mm 以 上 ,ブローホール<br />
や 割 れの 個 数 が10 個 以 上 も 認 めないとなっている.この<br />
点 はJIS 規 格 のほうが 厳 しい.<br />
ISO 規 格 とJIS 規 格 を 比 べると,JIS 規 格 は 外 観 試 験 の<br />
合 格 基 準 がISO 規 格 よりもやや 低 いが, 曲 げ 試 験 はISO<br />
規 格 よりも 厳 しい. 両 方 を 総 合 的 に 判 断 すると 同 等 である.<br />
<br />
ISO 規 格 では 学 科 試 験 は 任 意 である. 資 格 認 証 を 規 定<br />
しているWES 規 格 では 学 科 試 験 を 要 求 しており, 正 解<br />
率 60% 以 上 を 合 格 としている.<br />
<br />
ISO 規 格 では 証 明 書 の 有 効 期 間 は6 ヶ 月 となっている.<br />
以 降 , 作 業 内 容 を 証 明 することによって 延 長 が 可 能 とな<br />
っている. 再 評 価 は, 以 下 の3 種 類 の 方 法 のいずれかで<br />
行 う.<br />
13 年 経 過 した 時 点 で 再 試 験 する<br />
22 年 ごとに 溶 接 部 の 放 射 線 透 過 試 験 または 超 音 波 試 験<br />
の 記 録 を 検 証 して,2 年 延 長 する<br />
3 溶 接 士 が 同 一 事 業 所 に 所 属 し,ISO・3834の 品 質 マネジ<br />
メントの 下 で 作 業 していて,その 溶 接 品 質 が 合 格 してい<br />
ることを 記 録 されている 場 合 は,さらに6 ヶ 月 延 長 する<br />
JIS 規 格 では 有 効 期 限 は12 ヶ 月 で, 証 明 によって 延 長<br />
が 可 能 である.また,3 年 経 過 した 時 点 で 再 試 験 を 受 ける.<br />
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溶 接 技 術 検 定 に 関 するJIS 規 格 とISO 規 格 において,<br />
その 内 容 が 異 なる 項 目 を 表 3に 示 す.それぞれの 規 格 の<br />
内 容 は, 大 きく 見 ればほぼ 同 等 と 考 えられるが,ISO 規<br />
格 は, 細 かいところまで 規 定 がなされている. 国 内 の<br />
JIS 規 格 についてはやや 大 らかといった 印 象 である. 現<br />
状 のJIS 規 格 による 検 定 を 合 格 できる 溶 接 士 であれば,<br />
ISO 規 格 によるものもクリアできると 思 われるが, 溶 接<br />
の 中 断 などの 溶 接 方 法 の 違 いや 外 観 試 験 の 基 準 の 違 いが<br />
あるため, 溶 接 士 に 対 して 十 分 な 教 育 が 必 要 である.<br />
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JIS 規 格 による 溶 接 技 術 検 定 とISO 規 格 によるものに<br />
ついて,その 内 容 について 比 較 検 討 を 行 った. 現 状 , 国<br />
内 はJIS 規 格 による 検 定 が 主 体 であるが, 日 本 溶 接 協 会<br />
ではISO 規 格 による 資 格 認 証 も 始 まったところである.<br />
しかしながら, 両 方 の 認 証 をとるには 費 用 面 での 負 担 も<br />
大 きく, 使 用 者 として 最 も 望 まれるのは,それらの 規 格<br />
の 統 一 である.これも 非 常 にハードルが 高 く, 難 しいこ<br />
とである. 今 後 の 海 外 展 開 を 考 慮 するとISO 規 格 による<br />
資 格 認 証 の 重 要 性 が 増 すと 考 えられるため,その 動 向 に<br />
ついて 引 き 続 き 注 視 していく.<br />
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(1)・ 日 本 工 業 標 準 調 査 会 標 準 部 会 :「 溶 接 技 術 検 定<br />
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制 度 に 関 する 報 告 書 ( 案 )」, 溶 接 技 術 専 門 委 員 会<br />
第 4 回 溶 接 技 術 検 定 小 委 員 会 配 付 資 料 ,(2009),<br />
日 本 工 業 標 準 調 査 会<br />
大 塚 陽 介<br />
技 術 士 ( 金 属 部 門 ),IWE<br />
生 産 本 部<br />
技 術 部 ( 接 合 技 術 センター) 主 査<br />
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項 目 国 内 海 外<br />
板 厚 の WES 規 格 で 目 安 となるものはあるが, 詳 細 には 試 験 した 板 厚 に 対 して, 明 確 な 承 認 範 囲 が 規 定<br />
承 認 範 囲 規 定 していない.<br />
されている.<br />
溶 接 姿 勢 の<br />
承 認 範 囲<br />
溶 接 条 件<br />
鉄 道 車 両 業 界 では, 取 得 している 溶 接 姿 勢 によ<br />
り 溶 接 士 を 級 別 に 分 け,それを 部 位 の 重 要 度 ( 溶<br />
接 等 級 )とリンクさせている. 実 際 の 作 業 姿 勢<br />
は 問 われない.<br />
溶 接 士 自 身 が 溶 接 条 件 を 考 えて 行 う. 溶 接 の 中<br />
断 は 必 要 ない.<br />
試 験 した 溶 接 姿 勢 により, 作 業 可 能 な 溶 接 姿 勢<br />
の 承 認 範 囲 が 決 まっている. 難 易 度 の 高 い 溶 接<br />
姿 勢 では,それより 低 いものも 認 証 される. 溶<br />
接 品 の 重 要 度 とはリンクしていない.<br />
用 意 されたWPSに 従 って 溶 接 を 行 う.また, 溶<br />
接 の 中 断 と 再 スタートが 必 要 である.<br />
学 科 試 験 必 須 であり, 合 格 点 は60 点 以 上 である. 学 科 試 験 は 任 意 である.<br />
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2016 年 12 月