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JAEA-Review-2009-040.pdf:4.65MB - 日本原子力研究開発機構

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2009</strong>-040<br />

2.8.4 環境試料中の放射性ストロンチウム分析におけるイオン交換法適用の検討<br />

(1) はじめに<br />

環境試料中の放射性 Sr の分析において,文部科学省放射能測定法シリーズ(以下「マニュアル」<br />

という。)には,試料中に多量に含まれる Ca を分離する方法として,発煙硝酸法及びイオン交換<br />

法について定められている 1)。これまで環境放射線管理課では,発煙硝酸法を用いて分析を行って<br />

きたが,イオン交換法は発煙硝酸法に比べて操作が簡便で安全性が高いことから,イオン交換法<br />

への移行を考えている。イオン交換法においては,試料中の Ca 含有量に応じてカラムのサイズを<br />

変えて分離を行うことで,作業時間やコストの削減が期待でき,また溶離液に用いる有害なメタ<br />

ノールの使用量及び有機廃液量も削減できる。そこで,試料(Ca 含有量)に応じた最適なカラム<br />

サイズ及び溶離条件を検討した。<br />

(2) 実験方法<br />

(a) 環境試料中 Ca 含有量の定量:環境試料を電気炉内 450℃で 48 時間加熱することで灰化し<br />

た試料(灰試料)1g を酸分解した後,ICP-AES を用いて Ca 含有量を測定した。<br />

(b) 環境試料中の Sr 分析:環境試料の灰試料 1kg 生相当を酸分解し,試料中の妨害元素を除く<br />

処理をした後,イオン交換(樹脂:Dowex50W-X8 100-200 メッシュ)を行った。カラムサ<br />

イズは試料中 Ca 含有量に応じて 3 種類(3.0cmφ×26cm,2.0cmφ×19cm,1.5cmφ×11.5cm)<br />

から選択した。溶離液 A〔CH3COONH4(15.4w/v%):MeOH=1:1〕で Ca を分離した後,<br />

溶離液 B〔CH3COONH4(15.4w/v%)〕で Sr を回収し,溶出液中の Ca 及び Sr 含有量を<br />

ICP-AES にて測定した。<br />

(3) 結果及び考察<br />

試料中 Ca 含有量,カラムサイズ及び溶離液量を検討した結果を表 2.8.4-1 に示す。シラス(全<br />

体)については,試料中 Ca 含有量が約 1g 以上であったため,マニュアルに提示された手法で十<br />

分に Ca を分離できることが分かった。ほうれん草及びカレイ(筋肉)については,Ca 含有量が<br />

最大でも 1g 未満であったため,2.0cmφ×19cm のカラムを用いて検討したところ,溶離液 A 量が<br />

350mL の時に,Sr 回収率を減らすことなく,Ca を十分に分離できることが分かった。また,精<br />

米では Ca 含有量が約 40mg であっため,更に小さいカラム(1.5cmφ×11.5cm)を用いて検討し<br />

たところ,溶離液 A 量は 180mL が最適条件であることが分かった。今回の検討の結果,ほうれ<br />

ん草・カレイについては,マニュアルに提示された分析法に比べ,樹脂量及び溶離液 A 量(メタ<br />

ノール量)をそれぞれ1/3程度まで減らすことができた。更に,精米については,樹脂量を1/<br />

9,溶離液 A 量を1/6以下に減らすことができた。このように,試料中の Ca 含有量に応じてカ<br />

ラムを選択することで,樹脂量や溶離液量を大幅に減らすことができ,また,作業時間の短縮に<br />

もつながることが分かった。<br />

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