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JAEA-Review-2009-040.pdf:4.65MB - 日本原子力研究開発機構

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2009</strong>-040<br />

2.8.8 p-T 反応を利用した 1.2 及び 2.5MeV 単色中性子校正場の開発<br />

放射線標準施設棟では,中性子測定器のエネルギー特性試験を専門に行うための単色中性子校<br />

正場を 8keV から 19MeV のエネルギー範囲で整備している 1-3)。平成 20 年度までに新たにトリチ<br />

ウムターゲットに陽子ビームを入射することにより引き起こされる 3H(p,n) 3He 反応を利用し<br />

て,ISO 8529-1 4)に基づく 1.2 及び 2.5MeV の単色中性子校正場を開発した。開発にあたり,校<br />

正位置における中性子フルエンスを精度良く評価する必要がある。そこで,ポリエチレンコンバ<br />

ータ付半導体検出器(CH2-SSD 検出器)を新たに製作してフルエンスを測定・評価した。そして,<br />

中性子発生量の監視用に照射室内に設置されたモニタ検出器の計数と,フルエンスから計算した<br />

単位立体角あたりの中性子発生量との関係を導出した。これにより,1.2 及び 2.5MeV 単色中性子<br />

を用いた測定器のエネルギー特性試験が可能となった。<br />

製作した CH2-SSD 検出器の構造を図 2.8.8-1 に示す。ポリエチレンコンバータで反跳された<br />

陽子を半導体検出器で測定し,その計数を基に中性子フルエンスを評価する。検出器とコンバー<br />

タの間に設置したアパーチャにより,反跳陽子の検出器への幾何学的入射効率を決定している。<br />

同様の原理を利用した検出器は,一般に検出効率が小さく,校正位置における中性子フルエンス<br />

の精度良い測定には不十分であった。そこで,有感面積 3,000mm2 の大型半導体検出器を採用す<br />

ることにより,検出効率の向上を図り,十分な精度でのフルエンス測定を可能とした。<br />

検出効率を決定するために,国内の中性子標準場などでの利用実績がある NRESP-ANT コード<br />

に加えて新たに PHITS2.1.5 コードを利用した。両コードで得られた結果を比較し, PHITS2.1.5<br />

コードも利用可能であることを確認した。そして,検出効率の決定には実績がある NRESP-ANT<br />

を,不確かさ評価には複雑な形状の入力が可能な PHITS2.1.5 コードを利用した。<br />

コンバータの厚さは,反跳陽子の最大エネルギーでの飛程を考慮して,1.2MeV 及び 2.5MeV<br />

単色中性子に対してそれぞれ 50μm 及び 250μm とした。さらに,コンバータ有り・無しの二種<br />

類の測定を行い,それらを差し引くことによりコンバータで発生した反跳陽子のみの波高分布を<br />

得た。2.5MeV 単色中性子測定の波高分布の例を図 2.8.8-2 に示す。1,000keV 以上で実験と計算<br />

は良く一致していることから,計算及び測定の妥当性が確認された。計算で求められた検出効率<br />

と測定結果を利用してモニタ用検出器の計数に対する単位立体角あたりの中性子発生量を評価し<br />

た。図 2.8.8-3 に複数回の測定より評価した発生量を,表 2.8.8-1 に発生量の計算に関係する不<br />

確かさのバジェット表を示す。図には,モンテカルロ計算で感度を決定したボナー球型測定器を<br />

用いて測定した結果を併せて示す。両者の結果は不確かさの範囲内で一致しており,これにより<br />

結果の信頼性が確認された。ターゲットから 1m 離れた校正位置における 1.2 及び 2.5MeV 単色<br />

中性子の最大中性子フルエンス率は,それぞれ 1,000 cm-2 s-1 及び 2,000 cm-2 s-1 程度と評価され,<br />

中性子測定器の校正には十分であることが確認できた。<br />

参考文献<br />

1) Tanimura, Y. et al.: Radiat. Prot. Dosim., 110, 85 (2004).<br />

2) 谷村 嘉彦:<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> 2006-032, 131 (2006).<br />

3) Tanimura, Y. et al.: Radiat. Prot. Dosim., 126, 8 (2007).<br />

4) ISO: ISO 8529, Part 1 (2001).<br />

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(谷村 嘉彦)

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