JAEA-Review-2009-040.pdf:4.65MB - 日本原子力研究開発機構
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2.3.1-5 TRACY 過渡出力運転後の FP ガス放出管理について<br />
(1) はじめに<br />
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)は,1994 年に核燃料サイクルや放射性廃棄物に関<br />
する安全性,処理処分等に関する研究を目的に建設された。本施設には,臨界事故時におけるウ<br />
ラン溶液燃料の挙動研究に資する過渡臨界実験装置(以下「TRACY」という。),及び円筒型や平<br />
板型の炉心タンクを用いて溶液燃料の臨界量測定等に資する定常臨界実験装置(以下「STACY」と<br />
いう。)が設置されている。<br />
TRACY は 1995 年に初臨界を達成し,これまで約 400 回の運転を実施してきた。運転に伴っ<br />
て生成された核分裂生成ガス(以下「FP ガス」という。)は,気体廃棄物処理設備で粒子状の放射<br />
性物質等が除去された後に排気筒から放出される。放出された FP ガスは,排気筒ガスモニタで濃<br />
度の測定が行われてきた。<br />
今回の調査では,運転に伴って生成される溶液燃料中の FP ガスの核種の割合を FP 核種崩壊デ<br />
ータファイルにより理論的に算出し,そこから得られた FP ガス放出量(理論値)と排気筒ガスモ<br />
ニタの濃度測定から求めた放出量(実測値)とを比較することによって,これまでの排気筒ガス<br />
モニタによる濃度の測定が適切であったかを検討したものである。<br />
(2) TRACY の概要及び FP ガスの放出<br />
TRACY は,ウラン濃縮度約 10%の硝酸ウラニル溶液を用いて定出力運転(最大過剰反応度:<br />
0.8$)及び過渡出力運転(最大過剰反応度:3$)の臨界超過(臨界事故)を模擬した実験を行<br />
える装置である。運転は,ダンプ槽から炉心タンクへ溶液燃料を給液し,調整トランジェント棒<br />
の引抜き及び溶液燃料の給液方法を変えることによって行われる。また,運転停止は,調整トラ<br />
ンジェント棒を挿入し,炉心タンクから溶液燃料をダンプ槽へ排液して行われる。<br />
TRACY 運転に伴って生成された FP ガスは,ベントガス送風機によりベント系内を循環させ,<br />
よう素吸着塔により吸着処理が行われる。運転終了後は,ベントガス送風機を停止させ,約 2 日<br />
以上系内を隔離し,短半減期核種を減衰させる。その後,隔離弁を解除し,気体廃棄物処理設備<br />
を経由して排気筒から放出される。図 2.3.1-1 に TRACY のベント系及び燃料給排液系を示す。<br />
隔離弁解除後は,ダンプ槽に貯蔵されている溶液燃料を分析するための燃料の攪拌(空気攪拌)<br />
及び溶液燃料の試料サンプリングが行われる。これら作業の内,FP ガスが最も多く排気筒から放<br />
出される作業は,溶液燃料の攪拌によるものである。図 2.3.1-2 に溶液燃料取扱作業工程におけ<br />
る排気筒ガスモニタの濃度変化を示す。<br />
よう素吸着塔<br />
調整トランジェント棒<br />
安全棒<br />
ベントガス送風機<br />
<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2009</strong>-040<br />
炉心タンク<br />
ベント系<br />
触針式液位計<br />
ベントガス<br />
コンデンサ<br />
燃料給液ポンプ 燃料排液弁<br />
ダンプ槽<br />
再結合器<br />
ベントガス<br />
希釈槽<br />
燃料給排液系<br />
隔離弁<br />
排気筒<br />
気体廃棄物処理設備<br />
図 2.3.1-1 TRACY のベント系及び燃料給排液系の概念図<br />
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排気筒ガスモニタ