平 成 1 9 年 度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業 ... - 素形材センター
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1.1.1 項参考文献<br />
1)経済産業省化学工業統計速報<strong>平</strong><strong>成</strong>19<strong>年</strong>12月分<br />
1.1.2 熱可塑性樹脂の高性能化<br />
(1)高耐熱化<br />
熱可塑性樹脂の歴史の初期に既にナイロン66(Ny66)が1941<strong>年</strong>に工業化され<br />
ている 1) 。Ny66はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から合<strong>成</strong>される。Ny66の融<br />
点は265℃であり現在でもエンジニアリングプラスチックと呼ばれる耐熱樹脂である。<br />
荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)はGF30wt%強化タイプで255℃前後である。<br />
その後、この耐熱性を超えるまでに30<strong>年</strong>余りの<strong>年</strong>月が必要であった。ポリアミドイミ<br />
ド(PAI)が1972<strong>年</strong>に開発され 2) 、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が1973<br />
<strong>年</strong>に工業化されている。PAIはGF30wt%強化タイプで荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)2<br />
82℃を示し、PPSはGF30wt%強化タイプで荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)260℃を<br />
示す。次いでポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が1980<strong>年</strong>に開発され、p-オキシ<br />
安息香酸の重縮合物の全芳香族ポリエステルが1979<strong>年</strong>に工業化された。PEEKはG<br />
F30wt%強化タイプで荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)315℃を示し、p-オキシ安息香酸とビ<br />
フェノールとフタル酸との共重縮合物の全芳香族ポリエステルはGF30wt%強化タイプ<br />
で荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)310℃を示す。後者の全芳香族ポリエステルは溶融時に液<br />
晶を形<strong>成</strong>する液晶ポリマー(LCP)である。そして、1985<strong>年</strong>前後にGF30wt%強<br />
化タイプで荷重たわみ温<strong>度</strong>(高荷重)349℃を示す全芳香族液晶ポリエステルが工業化<br />
されている。これらを図にしたものを図 1.1.2-1 に示す。<br />
荷重たわみ温<strong>度</strong>(℃)<br />
400<br />
350<br />
300<br />
250<br />
200<br />
150<br />
100<br />
50<br />
Ny66<br />
0<br />
1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990<br />
西暦(<strong>年</strong>)<br />
図 1.1.2-1 熱可塑性樹脂の耐熱性向上の変遷<br />
技術動向として耐熱性を上げるためにポリマー骨格に芳香環を導入すると共に芳香環同<br />
士の結合を比較的軟らかいアミド結合やエステル結合から硬いイミド結合やカルボニル結<br />
- 6 -<br />
PAI<br />
PPS<br />
PEEK<br />
LCP1<br />
LCP2