平 成 1 9 年 度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業 ... - 素形材センター
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6.2自動車<br />
本項では、熱可塑性樹脂複合材料が自動車に適用された事例を紹介する。特に、エクス<br />
テリア・インテリアならびに採用された理由について記す。<br />
6.2.1 自動車における熱可塑性』樹脂利用の概況<br />
自動車においては、量産性が重視されることから<strong>成</strong>形性に優れている熱可塑性樹脂の利<br />
用が顕著である。しかしながら、自動車は1000円/kg程<strong>度</strong>の商品であることから、高<br />
価な炭素繊維の利用は自動車において進んでいるとは言いがたい。コストを強く意識され<br />
る車種には、炭素繊維を適用することが難しい。その意味では、強化繊維としては炭素繊<br />
維ではなく、ガラス繊維を適用した事例は数多く見ることができる。<br />
また、上記理由から自動車会社において熱可塑部品が採用されるメリットは、最終的に<br />
コストメリットが得られるところに限られている。ライフサイクルでのコスト構造につい<br />
て、自動車は航空機のそれと違う。自動車ユーザーの自動車軽量化への要望が高くない。<br />
そのため、自動車会社側も、軽量化への意識がそれほど高くない。さらに、航空機と違っ<br />
て、構造的に最適化できる余地が大きい。<br />
また、車における熱可塑性樹脂複合材料位置づけは、航空機の熱硬化性樹脂複合材料を熱<br />
可塑性樹脂に置き換えたものと違い、熱可塑性樹脂の強<strong>度</strong>向上を目的として、繊維を混入<br />
したというほうが近い。このような背景の下、自動車部品への適用事例を紹介したい。<br />
6.2.2 エクステリアへの応用<br />
自動車エクステリア部品の樹脂化されたものの中で、最も大きい部品がフロントバンパ<br />
ーである。フロントバンパーが樹脂化された要因は衝突保護と軽量化によるところが大き<br />
い。しかし、現在のところ、日本車の樹脂バンパーはゴム変性ポリプロピレンが使われて<br />
いることがほとんどである。図 6.2.2-1 に示した事例は、日本車ではない。熱可塑性繊維強<br />
化プラスチックが採用されるか、非強化熱可塑性プラスチックが採用されるかの基準は定<br />
かではないが、対人用の衝突安全にあるものと考えられる。<br />
図 6.2.2-1 フロントバンパーの適用事例 1)<br />
自動車のエクステリアとしては、ディフューザーがある。2007 <strong>年</strong>に発売された日産GT<br />
-Rでは、その一部に熱硬化性樹脂複合材料が採用されている。大判面を<strong>成</strong>形することか<br />
ら熱可塑性樹脂複合材料が採用されたケースもあったものの、GT-Rでは逆にその一部<br />
に熱可塑性樹脂単品を採用している部分もある。単なる樹脂部品に取って代わる可能性が<br />
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