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平 成 1 9 年 度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業 ... - 素形材センター

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7.2.1 熱可塑性樹脂複合材料原材料メーカー(TenCate 社)<br />

まず、TenCate 社では、すでに Airbus A340. A380 など多数の部品に採用されている積層<br />

ラミネート材の<strong>成</strong>形工場を見学し、さらに熱可塑性樹脂複合材料に対する今後の展開・開<br />

発方針を聞くことができた。同社の GF クロスセミプレグは Stork Fokker 社の J-ノーズ外板<br />

材料として、またそれを<strong>平</strong>板に<strong>成</strong>形した積層ラミネート材は Stork Fokker 社や DTC 社のリ<br />

ブ・スティフナー材料として供給されている。特に積層ラミネート材は、熱可塑樹脂コン<br />

ポジットの最大の特徴である二次加工(プレス<strong>成</strong>形、融着等)用の素材として、原材料メー<br />

カーが一次<strong>成</strong>形して供給するという、従来のコンポジット業界の構造を大きく変革する可<br />

能性をもった材料である。<br />

TenCate 社は現状の二次構造部材主体の利用状況から一次構造部材への展開を図るため、<br />

CFUD 材の供給と新規樹脂開発を進めている。CFUD 材は US Phoenixx TPC から供給され<br />

る予定。開発中の新規熱可塑樹脂は、価格や性能が PEEK と PPS の中間で、可使温<strong>度</strong>やタ<br />

フネスが PPS より高い PPS+(自社開発)との事。<br />

7.2.2 熱可塑性樹脂複合材料<strong>成</strong>形メーカー(Stork Fokker 社、DTC 社)<br />

次に、熱可塑性樹脂複合材料の<strong>成</strong>形・製造の様子を Stork Fokker 社と DTC 社にて調査し、<br />

実際にビジネス展開している立場から現状と将来方向に関する意見を聞いた。DTC 社は概<br />

して長さ1m以下のスティフナーなど単純な小部品、Stork Fokker 社は A380 の J-ノーズア<br />

ッシーのような大型・組み立て構造、の違いはあるものの、両者とも航空機部材を主とし<br />

て製造している。<br />

DTC 社は、主に TenCate 社から積層ラミネート材を購入し、社内ではプレス<strong>成</strong>形機によ<br />

るフォーミングのみを行っている。Stork Fokker 社は同様に TenCate 社の材料を用いている<br />

が、J-ノーズのリブ材は積層ラミネート材の曲げ加工、外板はセミプレグ材によるオート<br />

クレーブ<strong>成</strong>形と使い分けている。<br />

TenCate 社も含めた三社とも、見学した<strong>成</strong>形工場は温調・喚起がされているだけの、い<br />

わゆる組み立て工場程<strong>度</strong>の環境であり、従来のエポキシプリプレグの積層・材料保管品質<br />

とは大きく異なっていた。一方で、J-ノーズの組み立てラインは穴加工が無い溶接接合の<br />

ためか、むしろクリーンな作業環境に思えた。<br />

7.2.3 熱可塑性樹脂複合材料の大学研究機関(TUD、IVW)<br />

また、熱可塑コンポジットを精力的に研究している機関としてデルフト工業大学(TUD)<br />

と IVW を訪問し、将来に向けた研究の様子を確認した。TUD はオランダ最古の工業大学<br />

であり、現在最大にして最高の工業大学でもある。特に、訪問先の航空工学科はオランダ<br />

が航空機事業に力を入れていることもあり極めて大きい。同様に IVW はドイツを代表する<br />

カイザースラウルテン大学の研究機関であり、教育的研究と企業と結びついた研究とが並<br />

列的に実施されるべく、その資金の 65%を大学外から得て居り、やはりドイツ最大規模の<br />

研究施設と言える。<br />

両者ともに熱可塑性樹脂複合材料のプレス<strong>成</strong>形について長く研究してきた。その<strong>成</strong>果は<br />

織物材の<strong>成</strong>形として一定の<strong>成</strong>果を出し、今日の Stork Fokker 社や DTC 社のビジネスに繋が<br />

っている。一方、TUD は航空工学科でもありその用途が航空機構造に限られるのに対して、<br />

IVW は工業分野、特に自動車関連を目標にしていることから IVW では GMT など非連続繊<br />

維コンポジットや溶接技術にも力を入れている。<br />

最新の研究として、TUD はリアクションタイプ樹脂+VaRTM <strong>成</strong>形を目指し、IVW は自<br />

動化技術による UD 材の<strong>成</strong>形と三次元形状に適合した溶接を研究している。これらは共に<br />

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