平 成 1 9 年 度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業 ... - 素形材センター
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6.3 その他<br />
6.3.1 航空エンジン・ガスタービン<br />
航空機体分野では、FRP を用いることで軽量化が可能となることで、機体の高性能化や<br />
燃料消費率の低下が実現されている。軽量化は機体に限らず、航空ジェットエンジンにお<br />
いても要求される.したがって、樹脂基複合材料の利用が望まれるがジェットエンジンは<br />
部位によって使用温<strong>度</strong>が大きく異なるので、部位によって材料に要求される耐熱温<strong>度</strong>が異<br />
なる 1) 。ジェットエンジンの構造は図 6.3.1-1 に示されるようにファン、圧縮機、燃焼機、<br />
タービンの 4 つに区分される。各部位における環境温<strong>度</strong>および材料温<strong>度</strong>は異なっており、<br />
FRP の耐熱温<strong>度</strong>の制限のため適用部位はファン部分が中心ということになる。ファン部分<br />
の部品にはノーズコーン、ファンケースパネルライナー、インナーフェアリング、インレ<br />
ット・エクジットガイドベーンとプラットフォーム、DEC(Digital Electric Control)ケース<br />
などがある。<br />
実際に適用された場合にはファン部分はバードストライクに代表される異物飛び込み損<br />
傷(Foreign Object Damage;FOD)が問題となるため、耐衝撃性が非常に重要な要素となる。<br />
また、作動液や燃料、洗浄液にさらされることも考えられるので耐環境性も要求される。<br />
図 6.3.1-1 航空エンジン(GE90)の基本構造 1)<br />
現在までにジェットエンジンに樹脂基複合材料を適用した例としてはインターナショナ<br />
ルエアロエンジンズの V2500 が挙げられる。V2500 は米・英・日・独・伊の 5 カ国により<br />
共同開発された中型民間航空機搭載用ターボファンエンジンである。図 6.3.1-2 に示すよう<br />
に V2500 ではノーズコーン、パネルライナー、プラットフォーム、フェアリングが熱硬化<br />
性樹脂複合材料で製造されている。また、上に挙げた以外にも、ロールスロイス社製エン<br />
ジンのトレントシリーズでもノーズコーンなどが熱硬化性樹脂複合材料で製造されており、<br />
複合材料の利用は着実に拡大している。<br />
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