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2)国の法律による規制<br />
国の法律による規制の例として、ドイツ、韓国、オーストリアについて紹介する。<br />
①ドイツ<br />
ドイツでは、遺伝子検査の要件、遺伝子検査及び情報の利用、保険分野と雇用分野<br />
における遺伝情報に基づく差別の禁止について規定した「人の遺伝子検査に関する法<br />
律」が 2009 年 5 月に制定された 54 55 。適用範囲は、人(胚及び胎児を含む)の遺伝子<br />
解析、採取された遺伝子試料に対する医療や出自解明を目的とする遺伝子検査、並び<br />
に保険分野及び雇用分野における遺伝子検査である。<br />
検査の質の確保の観点から、医療目的での遺伝子検査は医師のみ実施が許されてい<br />
る。また、検査を実施するためには、本人の書面による同意が必要となる。医師は事<br />
前に遺伝子検査の目的等について本人に説明をする必要があり、同意能力がない者に<br />
はより厳格な制限が設けられている。<br />
出自解明のための遺伝子検査は、本人への事前説明と同意により実施することがで<br />
きる。医療目的とは異なり、検査は医師のほか、出自鑑定の専門家も含まれる。<br />
保険分野における遺伝子検査については、保険契約締結にあたって、保険者が被保<br />
険者に対して遺伝子検査の受診を求めることは原則禁止されている。ただし、イギリ<br />
スと同様、高額な生命保険、介護保険の場合は加入者の遺伝情報を求めることが可能<br />
とされている。<br />
雇用分野における遺伝子検査については、雇用に際し、使用者が被用者に対して遺<br />
伝子検査の受診を求めることを禁止しており、その他、昇進や解雇等に際して遺伝的<br />
特性を理由として被用者に不利益を生じさせてはならないと規定されている。<br />
②韓国<br />
韓国では 2003 年 12 月に、生命科学技術における生命倫理及び安全の確保と同技術<br />
を疾病治療等のために利用するための条件整備を目的として「生命倫理と安全に関す<br />
る法律」が制定された 56 57 58 (2012 年 2 月に全面改正が行われたが、遺伝子検査には大<br />
きな変更点はないようである 59 )。<br />
この法律には、遺伝子検査に関する規制が含まれており、遺伝子検査の許可や制限<br />
について審議するために大統領所属下に国家生命倫理委員会の設置、研究計画書の倫<br />
理的・科学的妥当性等を審議するために遺伝子検査実施機関に機関生命倫理委員会の<br />
設置、遺伝子検査の実施者の保健福祉省長官への届出と登録義務、科学的立証が不確<br />
54 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/24001/02400107.pdf<br />
55 年報医事法学 第 25 号(2010年8月刊)医事法トピックス ドイツの「人の遺伝子検査に関する法律」<br />
(甲斐克則)<br />
56 http://jusmec.org/japan/bioethics_kr20081206.pdf<br />
57 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/223/022310.pdf<br />
58 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/232/023208.pdf<br />
59 Clin. Eval (2012) 40, 1-14 Revision of Bioethics and Safety Act in South Korea<br />
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