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においても、基礎的臨床データを自社に持った上で遺伝子検査ビジネスに応用している事
業者も存在する。
例えば、DTC 遺伝子検査における簡便性は、一般消費者が自分の健康に意識を向け、生活
改善に役立てることにより、国民の健康維持増進のための有用なツールになり得る。既に
今回の実態調査で、医療機関では、受検者の動機付けや、彼らとのコミュニケーションツ
ールとして有効であると評価する結果も出ている。
その一方で、曖昧な科学的根拠に基づいた興味本位の遺伝子検査ビジネスが存在してい
る可能性も高い。また、消費者を惑わしかねない不適切な表現による勧誘を行っている事
例も見受けられるのは上記の懸念にも記載したとおりである。
こうした状況をみると、遺伝子検査ツールの発展とそれを利用した科学的根拠の集積が
ますます進むと考えられる現在、消費者に有益なビジネスとして適切な事業者により、マ
ーケットが拡大することが期待される。その上で国、学会、事業者団体には遺伝子検査ビ
ジネスに関わる者が正しい道を歩んでいくための指標を整備することが求められる。
4.今後の対応に向けて
今回の調査結果から、近年の遺伝子検査ビジネスに関して、将来重大な問題の兆しは捉
えられた。いつ問題が生じてもおかしくないような状況にあると言える。しかしながら、
直ちに法制化して事業者の経済的権利を束縛するといった対応が必要な重大な事象が生じ
ているとは考えられない。
また、遺伝子検査ビジネスは適切に実施されれば国民の健康維持・増進において一定の
役割を果たせる可能性も示され、正しくビジネスを育成することの重要性も明確になった。
そこで今年度調査のアウトプットとして、事業者が遵守すべき事項、更に消費者が知っ
ておくべき事項について整理し、注意喚起を促すと同時に、必要な際には法制化、ガイド
ライン化が可能な状況に準備をしておくこととしたい。
次節に、NPO 法人個人遺伝情報取扱協議会の自主基準をベースに、各国の規制で取上げら
れている事項から必要と思われる項目を補足した「事業者が遵守すべき事項」と、消費者
が遺伝子検査を受けたいと考える際に、「事業者選定における注意事項」をまとめた。まず
これらを注意喚起という形で経済産業省等のホームページ等で公開することとする。
引き続き、経済産業省、厚生労働省が連携する体制を維持し、関係省庁、関係学会、業
界団体とも協力し合いながら遺伝子検査ビジネスの健全な発展を目指した協議を進めるこ
ととする。
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