WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...
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医 療 の 個 人 主 義 的 側 面<br />
医 療 分 野 の 職 種 の 多 く( 看 護 師 , 歯 科 医 師 , 医 師<br />
など)は, 医 療 従 事 者 と 患 者 という 独 立 した 一 対 一<br />
の 関 係 に 基 づいて 業 務 を 行 っている.チームワーク<br />
や 医 療 の 共 有 といった 新 しい 概 念 の 重 要 性 も 認 識<br />
されてきてはいるものの,このような 一 対 一 の 関 係<br />
には 現 在 でも 基 本 的 価 値 観 が 置 かれている.こうし<br />
た 現 状 は, 患 者 の 医 療 を 共 有 したがらない 臨 床 医<br />
の 傾 向 から,チーム 医 療 の 法 的 な 意 味 に 至 るまで,<br />
医 療 のさまざまな 側 面 で 観 察 することができる.<br />
チームの 安 定 性 の 欠 如<br />
前 述 のように, 特 定 の 任 務 や 事 象 に 対 処 するため<br />
に 一 時 的 な 医 療 チーム( 心 肺 蘇 生 チームなど)が 編<br />
成 される 場 合 も 多 い.こうした 一 時 的 なチームでは,<br />
メンバーに 対 する 訓 練 の 質 が 非 常 に 重 要 となって<br />
くる.スタッフが 実 務 に 専 念 するあまり 教 育 や 訓 練<br />
が 疎 かになるという 事 例 が 多 くみられ,それにより<br />
訓 練 の 質 が 低 くなれば, 具 体 的 な 問 題 が 引 き 起 こさ<br />
れる.<br />
他 産 業 での 事 故 18<br />
航 空 災 害 などで 注 目 を 集 めたインシデントの 検<br />
討 により, 事 故 の 誘 因 となりうるチームワーク 上 の<br />
主 な 問 題 点 として, 役 割 の 定 義 があいまいなこと,<br />
系 統 立 った 協 調 性 の 欠 如 ,その 他 のコミュニケー<br />
ションの 失 敗 の3 種 類 が 同 定 されている 18,25) .<br />
チームの 実 践 能 力 を 評 価 する 19<br />
チームの 実 践 能 力 を 評 価 することは,それを 改 善<br />
するための 重 要 なステップの1つである.チームワー<br />
クの 測 定 方 法 としては,シミュレーション 環 境 で 評<br />
価 する 方 法 , 実 際 の 実 務 を 観 察 する 方 法 ,チーム<br />
ワーク 訓 練 ( 下 記 のチームワークに 関 する 教 授 法 の<br />
節 で 紹 介 している)を 採 用 する 方 法 などがあ<br />
る 18,26,27) .<br />
チーム 内 の 個 人 の 実 践 能 力 を 評 価 してもよいし,<br />
チーム 全 体 の 実 践 能 力 を 評 価 してもよい.また 専 門<br />
家 が 評 価 を 行 ってもよいし, 同 僚 同 士 で 実 践 能 力 を<br />
評 価 し 合 うのもよい.<br />
チームの 評 価 に 続 いて,チームワークに 関 する 各<br />
メンバーの 学 習 スタイルや 問 題 解 決 技 能 を 分 析 す<br />
ることも 有 用 となる 28) .<br />
習 得 すべき 知 識 の 概 要 20<br />
効 果 的 なチームワークは 自 然 に 養 われるもので<br />
はない.そのためには, 成 功 を 収 めるチームの 特 徴<br />
を 理 解 して,チームがどのように 機 能 し, 効 果 的 な<br />
機 能 を 維 持 するにはどうすべきかを 知 っておく 必 要<br />
がある.チームのコミュニケーションと 実 践 能 力 を<br />
向 上 させるための 手 段 としては,ISBAR,コールア<br />
ウト( 声 出 し 確 認 ),チェックバック( 復 唱 ),「I pass<br />
the baton」など,さまざまな 方 法 が 開 発 されてい<br />
る.<br />
チームワークの 原 則 を<br />
適 用 するために 学 生 は 21 22 23<br />
何 をすべきか<br />
チームワークの 原 則 は, 訓 練 を 受 け 始 めてすぐに<br />
も 応 用 可 能 となる. 医 療 分 野 の 学 位 取 得 課 程 の 多<br />
くは, 問 題 基 板 型 学 習 (PBL)を 基 本 とし, 小 グルー<br />
プ 討 論 を 採 用 しているため, 知 識 の 習 得 や 問 題 の<br />
解 決 などの 過 程 にチームで 協 力 して 取 り 組 むこと<br />
が 求 められる.こうした 活 動 を 通 じて, 学 生 はチー<br />
ムがどのように 機 能 するのかを 学 び, 効 果 的 な 学 習<br />
グループとなるには 何 が 必 要 かを 理 解 するように<br />
なる.また 情 報 や 教 科 書 , 講 義 ノートなどを 共 有 す<br />
ることも, 患 者 に 関 する 情 報 を 共 有 する 習 慣 へとつ<br />
ながっていく.<br />
個 人 の 価 値 観 や 思 い 込 みがメンバー 間 の 相 互 作 用<br />
にどのような 影 響 を 及 ぼすかに 留 意 する<br />
学 生 は 観 察 を 通 じて, 個 々の 医 療 従 事 者 がどのよ<br />
うに 相 互 作 用 しているかを 学 ぶ.そして,たとえ 多<br />
様 な 人 格 や 業 務 スタイルをもつ 多 数 のメンバーで<br />
構 成 されているチームであっても, 必 ずしもそれだ<br />
けでチームの 機 能 が 損 なわれるわけではないこと<br />
を 理 解 する. 実 際 はむしろ,メンバー 間 でそれぞれ<br />
の 長 所 と 短 所 を 補 い 合 うことで, 質 の 高 い 安 全 な 医<br />
療 を 推 進 できるのである.<br />
他 のメンバーの 役 割 にも 気 を 配 り, 心 理 社 会 的 要<br />
因 がチーム 内 での 相 互 作 用 にどのような 影 響 を 及<br />
ぼすかに 留 意 し, 変 化 がチームに 及 ぼす 影 響 を 認<br />
識 する<br />
医 療 従 事 者 がチーム 内 で 果 たしているさまざま<br />
な 役 割 を 正 しく 理 解 し, 何 らかの 変 化 や 心 理 社 会 的<br />
要 因 によってチームがどのような 影 響 を 受 けるの<br />
かを 理 解 することは, 学 生 にとって( 実 のところは<br />
実 務 を 担 っている 医 療 従 事 者 にとっても)しばしば<br />
困 難 となる. 学 生 にチームを 構 造 的 に 観 察 させ, 個 々<br />
の 医 療 従 事 者 が 果 たす 役 割 と,それらの 役 割 分 担<br />
が 各 メンバーの 個 人 的 な 特 性 と 職 種 にどのように<br />
関 連 しているかを 考 察 させてもよい.また, 自 身 が<br />
139 Part B トピック 4: 有 能 なチームの 一 員 であること