WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...
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れていたと 考 えられるが,この 状 況 は, 外 科 医<br />
が 患 者 と 話 をする 場 として 適 切 か.<br />
−この 患 者 では,どのような 形 でのインフォーム<br />
ドコンセントが 可 能 であったか.また「 患 者 がヘ<br />
ルニアの 心 配 をしていた」とは 何 を 意 味 する<br />
か.<br />
−この 看 護 師 は 患 者 が 手 術 室 に 到 着 する 前 にこ<br />
の 情 報 を 伝 えるべきであったか.<br />
−この 情 報 は 診 療 記 録 に 記 入 しておいてフォ<br />
ローアップすべきであったか.<br />
Source<strong>WHO</strong> <strong>Patient</strong> <strong>Safety</strong> <strong>Curriculum</strong> <strong>Guide</strong> for Medical<br />
Schools. Case supplied by Lorelei Lingard, Associate<br />
Professor, University of Toronto, Ontario, Canada.<br />
歯 科 診 療 所 で 発 生 した 非 常 事 態<br />
この 事 例 は, 緊 急 時 の 対 応 にはチームのメンバー<br />
全 員 が 協 力 して 業 務 に 当 たれる 適 切 な 準 備 ができ<br />
ていることの 重 要 性 を 示 している.<br />
臼 歯 の 抜 歯 処 置 を 受 けている 患 者 に 発 汗 と 蒼 白<br />
が 認 められた. 患 者 は 気 分 が 悪 くなったので 治 療 を<br />
中 止 するよう 歯 科 医 師 に 依 頼 した.<br />
歯 科 医 師 は 治 療 を 中 止 して, 患 者 の 体 を 水 平 にし<br />
て 下 肢 を 拳 上 した 後 , 脈 拍 を 計 ってから, 歯 科 助 手<br />
に 緊 急 時 用 のセットを 持 ってくるよう 指 示 を 出 した.<br />
しかし, 歯 科 助 手 はこの 診 療 所 で 働 き 始 めて 間 が<br />
なく,また 誰 も 緊 急 時 用 のセットが 置 いてある 場 所<br />
を 把 握 していなかった.そのため, 歯 科 助 手 は 患 者<br />
と 歯 科 医 師 の2 人 だけを 残 して, 緊 急 時 用 のセット<br />
を 探 しに 診 察 室 を 出 て 行 ってしまった.<br />
患 者 の 状 態 は 急 速 に 悪 化 し 続 けたが, 緊 急 時 用<br />
のセットが 全 くない 状 況 で 医 療 従 事 者 は 歯 科 医 師<br />
一 人 のみであったため, 歯 科 医 師 もまた 支 援 を 求 め<br />
に 診 察 室 を 出 て 行 った.<br />
2 分 後 , 歯 科 医 師 は 緊 急 時 用 のセットを 見 つけた<br />
歯 科 助 手 と 別 の2 人 の 同 僚 を 連 れて 診 察 室 に 戻 っ<br />
て 来 た.<br />
この 時 には 患 者 は 呼 吸 停 止 の 状 態 に 陥 っており,<br />
歯 科 医 師 たちは 心 肺 蘇 生 (CPR)を 開 始 し, 歯 科 助<br />
手 は 電 話 で 救 急 車 を 要 請 した.<br />
結 局 ,この 患 者 を 救 命 することはできなかった.<br />
問 い<br />
−このインシデントと 関 係 する 要 因 は 何 か.<br />
−メンバー 間 でのコミュニケーションをどのよう<br />
に 改 善 していれば,この 患 者 の 死 を 防 ぐことが<br />
できたと 考 えられるか.<br />
SourceCase supplied by Shan Ellahi, <strong>Patient</strong> <strong>Safety</strong><br />
Consultant, Ealing and Harrow Community Services, National<br />
Health Service, London, UK.<br />
指 導 方 略 および 形 式<br />
本 節 のトピックには,チームワークに 関 する 学 習<br />
および 訓 練 に 用 いることのできるいくつかの 戦 略<br />
が 含 まれている. 効 果 的 なチームは 自 然 に 生 まれる<br />
ものではなく, 基 礎 となる 明 確 な 理 論 体 系 が 実 在 し,<br />
これは 通 常 の 講 義 で 適 切 に 教 えることができる.そ<br />
の 講 義 内 容 は 前 述 の 習 得 すべき 知 識 の 一 覧 を 基 に<br />
して 構 成 される.<br />
チームワークについて 学 習 するうえで 最 も 効 果<br />
的 となる 方 法 の1つは 実 際 にチームに 参 加 すること<br />
であるため, 本 トピックには, 限 られた 資 源 で 小 グ<br />
ループが 簡 単 に 実 施 することのできるチーム 活 動<br />
をいくつか 組 み 込 んでいる.また 医 療 チームへの 参<br />
加 経 験 がほとんどない 学 生 が 大 半 を 占 めることを<br />
考 慮 して, 医 療 とは 無 関 係 の 分 野 での 学 生 のチー<br />
ムワーク 体 験 を 顧 みる 活 動 も 用 意 した.<br />
また, 学 生 を 実 際 の 医 療 チームに 慣 れさせること<br />
を 目 的 として, 将 来 の 訓 練 やキャリアの 過 程 で 遭 遇 す<br />
る 可 能 性 の 高 いチームを 想 定 した 活 動 も 採 用 した.<br />
医 学 生 および 研 修 医 向 けのチームワーク 訓 練 に<br />
関 する 最 近 の 系 統 的 レビューにより, 医 学 生 と 研 修<br />
医 にチームワーク 技 能 を 教 えても 短 期 的 には 大 き<br />
な 効 果 は 得 られないものの, 訓 練 プログラムの 中 で<br />
チームワークの 原 則 をより 詳 細 に 教 えた 場 合 には,<br />
より 高 い 効 果 が 得 られるということが 明 らかにされ<br />
た 29) .<br />
どのチームの 教 育 訓 練 プログラムについても,<br />
チーム 内 で 率 直 に 話 をするという 行 動 と 各 国 での<br />
個 人 間 の 上 下 関 係 の 観 点 から, 文 化 的 に 受 け 入 れ<br />
られるか 否 かを 考 慮 しなければならない.<br />
専 門 職 間 連 携 教 育 (interprofessional<br />
education:IPE)については,これをカリキュラム<br />
に 含 めるか 否 かは 任 意 であるが, 本 節 の 最 後 で 考<br />
察 する.<br />
プログラムを 通 じたチームワーク 教 育<br />
1 年 間 の 訓 練 プログラムの 過 程 では,チームワー<br />
クをめぐる 教 育 および 学 習 を 段 階 的 に 構 成 するこ<br />
とが 可 能 である.たとえば, 以 下 のようなプログラ<br />
ムが 可 能 である:<br />
低 学 年<br />
以 下 の 項 目 に 関 する 通 常 の 講 義 :<br />
◦チームワークの 基 本 と 学 習 スタイル<br />
◦ 医 療 におけるさまざまなチーム<br />
◦さまざまな 学 習 スタイル<br />
143 Part B トピック 4: 有 能 なチームの 一 員 であること