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WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...

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知 っている.<br />

◦ 教 員 , 指 導 者 , 地 位 の 高 い 医 療 専 門 家 ,その 他<br />

の 医 療 専 門 家 に 支 援 を 求 めるタイミングと 方<br />

法 を 知 っている.<br />

習 得 すべき 行 動 内 容 6<br />

以 下 の 事 項 が 求 められる:<br />

◦ 正 確 かつ 完 全 な 医 療 記 録 を 残 すことができる.<br />

◦ リスクマネジメントと 患 者 安 全 を 検 討 する 会 議<br />

に 参 加 できる.<br />

◦ 有 害 事 象 の 発 生 後 に 患 者 とその 家 族 に 適 切 に<br />

対 応 できる.<br />

◦ 苦 情 に 適 切 に 対 処 できる.<br />

◦ 自 身 の 健 康 と 幸 福 を 維 持 できる.<br />

リスクに 関 する 情 報 収 集 7<br />

学 生 は 自 身 が 所 属 する 病 院 , 診 療 所 , 職 場 で 行 わ<br />

れているリスクマネジメントプログラムをすぐには<br />

把 握 できないかもしれないが, 大 半 の 国 の 医 療 施<br />

設 では, 患 者 およびスタッフに 発 生 した 害 を 評 価 し<br />

て 既 知 の 問 題 を 回 避 するための 一 連 の 仕 組 みが 導<br />

入 されている. 州 規 模 あるいは 国 家 規 模 でインシデ<br />

ントデータベースを 整 備 している 国 もある.オース<br />

トラリアにはAdvanced Incident Management<br />

Systemという 制 度 があり, 医 療 上 のインシデント<br />

の 報 告 と 分 析 のための 包 括 的 なアプローチとして<br />

活 用 されている. 米 国 退 役 軍 人 病 院 (VA:<br />

Department of Veterans Affairs)の 患 者 安 全<br />

センターでは, 根 本 原 因 分 析 法 (root c ause<br />

analysis:RCA)と 呼 ばれる 構 造 化 されたアプ<br />

ローチを 用 いて,この 種 の 問 題 の 評 価 と 分 析 ,そし<br />

て 対 応 策 の 検 討 が 行 われている.(RCAについて 詳<br />

しくはトピック5とトピック7を 参 照 のこと.)<br />

T5 T7<br />

RCAの 根 底 には, 間 違 いやインシデントが 発 生<br />

した 場 合 , 実 際 の( 根 本 ) 原 因 を 直 ちに 認 識 できる<br />

ことはまれであるという 原 則 がある.そのため 表 面<br />

的 で 偏 った 評 価 しかできない 場 合 には, 問 題 を 是 正<br />

することはできず, 類 似 の 状 況 での 同 様 のインシデ<br />

ントの 再 発 を 許 すことになってしまう.<br />

RCAの 本 質 的 側 面 の1つは, 分 析 により 得 られた<br />

知 見 を 実 際 に 活 用 するということである. 多 くの 診<br />

療 所 , 病 院 , 組 織 がこのプロセスを 達 成 できないで<br />

いるが,その 原 因 は, 推 奨 策 が 出 されても 利 用 でき<br />

る 資 源 がなかったり,あるいは 病 院 の 経 営 陣 に 推 奨<br />

策 を 完 遂 するという 強 い 意 志 が 欠 けているからの<br />

どちらかである.<br />

インシデント 報 告 を 義 務 づけている 医 療 機 関 の<br />

中 には, 報 告 件 数 が 多 すぎるあまり 大 きな 負 荷 がか<br />

かり, 資 源 不 足 のために 多 くの 報 告 が 分 析 されない<br />

まま 放 置 されているところもある.この 問 題 に 対 処<br />

するため, 多 くの 医 療 機 関 が 重 大 性 評 価 の 基 準 を<br />

導 入 し, 最 も 深 刻 なリスクをもたらしたインシデン<br />

トを 特 定 しようと 試 みているが,たとえ 深 刻 なイン<br />

シデントを 特 定 するシステムを 導 入 したとしても,<br />

必 ずしもこのジレンマが 解 決 されるわけではない.<br />

臨 床 的 リスクを 管 理 するうえで 広 く 行 われている<br />

活 動 の 一 部 を 以 下 に 示 す.<br />

インシデントモニタリング<br />

インシデント 報 告 は 何 十 年 も 前 から 行 われており,<br />

現 在 では 数 多 くの 国 々において, 手 術 , 麻 酔 , 周 産<br />

期 など,さまざまな 専 門 領 域 に 関 連 した 全 国 的 な 有<br />

害 事 象 データベースが 構 築 されている.<strong>WHO</strong>によ<br />

るインシデントの 定 義 は, 個 人 に 対 する 意 図 しない<br />

または 不 必 要 な 害 や 苦 情 , 損 失 ,または 損 害 につな<br />

がる 可 能 性 があったか, 実 際 につながった 事 象 ない<br />

し 状 況 とされている.インシデント 報 告 の 主 な 有 益<br />

性 は, 類 似 のインシデントの 再 発 防 止 に 役 立 つ 情 報<br />

を 収 集 できることにある. 一 方 ,インシデントの 発<br />

生 頻 度 を 分 析 するには 定 量 的 な 方 法 が 必 要 となる.<br />

促 進 的 インシデントモニタリング(Facilitated<br />

incident monitoring)とは, 再 発 防 止 の 観 点 から<br />

インシデントを 特 定 , 処 理 , 分 析 および 報 告 する 制<br />

度 である 2) . 有 効 な 報 告 システムの 鍵 となるのは,<br />

医 療 スタッフが 日 常 的 にインシデントを 報 告 すると<br />

いうことである.しかし, 報 告 された 情 報 は 組 織 の<br />

改 善 に 活 用 されるのであって, 個 人 を 非 難 する 目 的<br />

では 利 用 されないと 信 頼 できなければ,スタッフは<br />

インシデントの 報 告 を 躊 躇 してしまうであろう.ま<br />

た, 組 織 がその 情 報 を 基 に 行 動 を 起 こすと 信 頼 され<br />

ることも 求 められる. 学 生 がインシデントを 教 員 や<br />

指 導 者 ,その 他 の 医 療 専 門 家 に 報 告 したのに 無 視<br />

されたとしたら,その 後 もインシデントを 報 告 し 続<br />

ける 可 能 性 は 低 くなるであろうが,たとえこのよう<br />

な 事 態 が 起 きたとしても 報 告 を 続 けるように, 教 員<br />

は 学 生 を 促 さなければならない. 現 在 は 学 生 でも,<br />

将 来 は 地 位 の 高 い 医 療 専 門 家 であり,その 行 動 が<br />

若 い 医 療 従 事 者 や 学 生 に 多 大 な 影 響 を 及 ぼすよう<br />

になるためである.<br />

促 進 的 インシデントモニタリングは,より 多 くの<br />

インシデントを 特 定 し,それを 医 療 の 改 善 という 観<br />

点 から 分 析 するためのプロセスである.この 種 のモ<br />

ニタリングは 医 療 チームが 継 続 的 に 行 っていくべき<br />

<strong>WHO</strong> 患 者 安 全 カリキュラムガイド 多 職 種 版<br />

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