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WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...

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活 動 であり, 具 体 的 には 以 下 の 行 為 が 含 まれる:<br />

◦ 週 1 回 のスタッフミーティングでインシデント<br />

を 常 設 の 議 題 として 取 り 上 げる.<br />

◦ エラーが 起 きるとわかっている 領 域 について<br />

毎 週 検 討 を 行 う.<br />

◦ 実 際 に 発 生 したインシデントと 必 要 なフォロー<br />

アップ 措 置 についてチーム 内 で 詳 細 に 討 論 す<br />

る.ただし,この 議 論 は 原 因 となった 人 物 を 非<br />

難 するのではなく, 教 育 的 なものとする.<br />

◦ システムに 関 連 した 問 題 を 特 定 することで 取<br />

り 組 みやすくなり, 他 のスタッフも 潜 在 的 な 問<br />

題 に 気 づけるようになる.<br />

実 際 に 害 を 及 ぼしたインシデントの 報 告 に 加 え<br />

て, 有 害 でなかったインシデントの 報 告 を 奨 励 して<br />

いる 組 織 もある.その 理 由 は, 新 たな 問 題 とそれら<br />

の 問 題 に 寄 与 する 要 因 , 更 には 深 刻 な 害 が 患 者 に<br />

及 ぶ 前 に 問 題 の 発 生 を 防 止 する 方 法 を 特 定 するの<br />

に 役 立 つからである. 有 害 でなかったインシデント<br />

(near miss)とは, 患 者 に 害 を 及 ぼさなかったイ<br />

ンシデントという 意 味 である.ある 医 療 行 為 によっ<br />

て 有 害 事 象 が 発 生 する 可 能 性 があったものの, 是 正<br />

措 置 が 間 に 合 った,あるいは 間 違 った 治 療 でも 患 者<br />

に 有 害 反 応 が 生 じなかったインシデントであること<br />

から, 一 部 では「near hits」とも 呼 ばれている. 非<br />

難 の 文 化 が 色 濃 く 残 った 環 境 では, 実 際 に 望 ましく<br />

ない 結 果 を 招 いたインシデントについて 議 論 より<br />

も, 誰 かが 非 難 される 可 能 性 の 低 い 有 害 でなかった<br />

インシデントを 話 題 にするほうが 取 り 組 みやすいか<br />

もしれない.たとえば, 調 剤 時 の 薬 剤 の 間 違 いにつ<br />

いて 薬 剤 師 が 議 論 する 場 合 には, 間 違 った 薬 剤 を 投<br />

与 しそうになったもののチェックシステムのおかげ<br />

で 事 なきを 得 たという 状 況 のほうが 問 題 なく 議 論<br />

を 進 められるであろう.こうした 事 例 では, 実 際 に<br />

エラーは 発 生 していないが,もし 問 題 を 特 定 および<br />

予 防 するためのシステムがなかったならば,エラー<br />

につながっていた 可 能 性 がある.インシデントモニ<br />

タリングの 詳 細 な 分 析 については, 表 B.6.1を 参 照<br />

のこと.<br />

表 B.6.1<br />

インシデントモニタリングにより 特 定 された 問 題 の 種 類<br />

インシデントの 種 類<br />

割 合 (%) a<br />

転 倒 ・ 転 落 29<br />

転 倒 ・ 転 落 以 外 の 外 傷 ( 熱 傷 , 圧 迫 損 傷 , 身 体 的 暴 行 , 自 傷 行 為 など) 13<br />

投 薬 に 関 するエラー( 投 与 忘 れ, 過 量 投 与 , 過 少 投 与 , 投 与 経 路 の 間 違 い, 間 違 った 薬 剤 の 投 与 ) 12<br />

臨 床 プロセスの 問 題 ( 誤 診 , 不 適 切 な 治 療 , 不 十 分 なケアなど) 10<br />

機 器 の 問 題 ( 利 用 できない, 不 適 切 , 設 計 不 良 , 誤 使 用 , 失 敗 , 故 障 など) 8<br />

記 録 の 問 題 ( 不 十 分 , 不 正 確 , 不 完 全 , 更 新 できていない, 不 明 瞭 など) 8<br />

危 険 な 環 境 ( 汚 染 , 洗 浄 や 滅 菌 が 不 十 分 など) 7<br />

資 源 の 不 足 ( 人 員 がいない, 人 員 不 足 , 経 験 不 足 , 準 備 が 不 十 分 など) 5<br />

後 方 支 援 (logistics)の 問 題 ( 入 院 , 治 療 , 移 送 , 緊 急 事 対 応 に 関 する 問 題 など) 4<br />

管 理 上 の 問 題 ( 監 督 が 不 十 分 , 資 源 の 不 足 , 管 理 上 の 決 定 が 不 適 切 など) 2<br />

輸 液 の 問 題 ( 失 念 , 注 入 速 度 の 間 違 いなど) 1<br />

インフラの 問 題 ( 停 電 ,ベッドの 不 足 など) 1<br />

栄 養 面 の 問 題 ( 絶 食 中 の 患 者 に 食 事 を 与 えた, 食 事 内 容 の 間 違 い, 食 物 汚 染 ,オーダー 時 の 問 題 など) 1<br />

血 液 ( 血 漿 ) 製 剤 に 関 する 問 題 ( 失 念 , 過 少 投 与 , 過 量 投 与 , 保 管 上 の 問 題 など) 1<br />

酸 素 投 与 の 問 題 ( 失 念 , 過 量 投 与 , 過 少 投 与 , 早 すぎる 中 止 , 投 与 の 失 敗 など) 1<br />

a 1つのインシデントが 複 数 の 項 目 にあてはまる 場 合 もある.<br />

SourceRunciman B, Merry A, Walton M. <strong>Safety</strong> and ethics in health carea guide to getting it right, 2007. 3<br />

警 鐘 事 象 8<br />

警 鐘 事 象 (sentinel event)とは「 決 して 起 こし<br />

てはならない 有 害 事 象 」 3) であり, 通 常 は 予 想 外 に<br />

発 生 するもので, 患 者 の 死 や 重 篤 な 身 体 的 ・ 精 神 的<br />

傷 害 を 招 く. 現 在 , 有 害 事 象 の 分 析 では 重 篤 度 に 基<br />

づいて 事 象 を 分 類 している 国 が 多 いが,この 警 鐘<br />

事 象 という 用 語 は,そのうち 最 も 深 刻 な 事 象 に 対 し<br />

て 用 いられている.<br />

警 鐘 事 象 については,その 再 発 は 重 大 なリスクが<br />

伴 うことから, 多 くの 医 療 施 設 が 報 告 を 義 務 づけて<br />

きた. 多 くの 場 合 ,いくつかのカテゴリーに 分 類 さ<br />

れる(たとえば, 手 術 における 患 者 または 手 術 部 位<br />

の 間 違 い, 不 適 合 輸 血 , 死 に 至 った 誤 薬 , 間 違 った 歯<br />

の 抜 歯 , 間 違 った 薬 剤 の 払 い 出 し, 新 生 児 の 取 り 違<br />

えなど). 一 方 , 既 存 の 分 類 に 当 てはまらない 事 象 は<br />

「その 他 の 破 滅 的 な 事 象 (other catastrophic<br />

163 Part B トピック 6: 臨 床 におけるリスクの 理 解 とマネジメント

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