WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...
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評 価 における 測 定 方 法 の 役 割<br />
信 頼 できる 評 価 方 法 には, 妥 当 性 (validity: 評 価<br />
方 法 は 妥 当 か), 信 頼 性 (reliability: 評 価 結 果 に 一<br />
貫 性 があるか), 実 用 性 (practical: 評 価 に 要 する<br />
時 間 と 資 源 はどのくらいか), 学 習 への 寄 与<br />
(positive impact on learing: 学 習 者 の 観 点 か<br />
ら 見 て 有 効 か)という 四 つの 要 素 が 必 要 である 1) .<br />
評 価 方 法 について 理 解 を 深 めるには, 以 下 の 文<br />
献 が 有 用 である.<br />
Brown S, Glasner A, eds. Assessment<br />
matters in higher education: choosing and<br />
using diverse approaches. Buckingham,<br />
Society for Research into Higher<br />
Education and Open University Press,<br />
1999.<br />
Miller A, Imrie B, Cox K. Student<br />
assessment in higher education: a handbook<br />
for assessing performance. London, Kogan<br />
Page Ltd, 1998.<br />
形 成 的 評 価 (formative assessment)<br />
形 成 的 評 価 は 学 習 のプロセスにおいて 極 めて 重<br />
要 であり, 学 習 の 過 程 に 本 来 内 在 しているものであ<br />
る. 患 者 安 全 の 学 習 は 形 成 的 評 価 に 適 している.あ<br />
らゆる 医 療 プログラムの 全 構 成 要 素 において, 広 範<br />
な 実 践 活 動 の 形 成 的 評 価 が 可 能 である. 自 己 評 価<br />
(selfassessment)とは, 学 生 が 自 身 の 学 習 に 必<br />
要 なものを 自 ら 評 価 し,その 必 要 性 を 満 たすような<br />
教 育 活 動 を 選 ぶ 能 力 である(しかし, 学 生 が 自 己 評<br />
価 を 正 確 に 行 う 能 力 は 限 られ, 他 者 による 評 価 に 重<br />
点 を 置 くことの 必 要 性 を 示 唆 したエビデンスの 方<br />
が 多 い).<br />
形 成 的 評 価 を 継 続 的 に 実 施 し, 学 生 の 学 習 成 果<br />
についてフィードバックを 与 えるとよい.この 種 の<br />
評 価 の 狙 いは, 学 生 たちの 観 察 や 経 験 について 心<br />
を 開 いて 語 らせることにある. 学 生 には, 気 がねな<br />
く 自 身 の 脆 さや 弱 さを 見 せてもらいたい. 懲 罰 的 な<br />
アプローチは 正 反 対 の 効 果 しかもたらさず, 学 生 は<br />
自 身 の 知 識 や 技 能 の 実 際 のレベルを 隠 さざるを 得<br />
なくなる. 更 に, 自 身 が 観 察 して 学 んだこと, 特 に 患<br />
者 に 害 を 与 えかねない 医 療 や 実 務 に 関 して, 話 した<br />
がらなくなる 恐 れもある.<br />
総 括 的 評 価 (summative assessment)<br />
学 生 が 評 価 項 目 全 てに 合 格 するか 修 了 しなけれ<br />
ば 次 のコースに 進 めないような 評 価 方 法 は, 総 括 的<br />
評 価 とみなされる. 一 般 的 に 総 括 的 評 価 はコース 終<br />
了 時 の 評 価 とコース 途 中 の 評 価 の2 種 類 に 分 けら<br />
れる.<br />
先 に 挙 げたシドニー 大 学 の 評 価 は 総 括 的 評 価<br />
( 必 須 )の 例 である.ここでは 学 生 は 活 動 を 実 施 し,<br />
対 面 での 討 論 ないし 観 察 を 通 じて 評 価 される.また<br />
学 生 は 各 コースについて 学 期 ごとに 割 り 当 てられ<br />
た 総 括 的 評 価 の 課 題 を 完 了 しなければならない.<br />
通 常 ,このような 評 価 は8 週 間 の 履 修 単 位 終 了 時 ,<br />
学 期 末 , 学 年 末 ,またはプログラム 終 了 時 に 行 われ<br />
る. 本 章 では 主 に,コース 終 了 時 の 評 価 に 求 められ<br />
るものについて 述 べている.<br />
コース 途 中 の 総 括 的 評 価<br />
患 者 安 全 カリキュラムのコースに 容 易 に 導 入 でき<br />
る 評 価 方 式 は 多 数 ある.さまざまな 医 療 教 育 プログ<br />
ラムで,これらの 評 価 要 素 を 既 存 のポートフォリオや<br />
「 達 成 記 録 (record of achievement)」に 組 み<br />
込 める 可 能 性 がある.<br />
患 者 安 全 における「 最 善 の 評 価 方 式 」の 特 徴<br />
患 者 安 全 カリキュラムの 狙 いを 達 成 するために<br />
以 下 の 評 価 原 理 を 適 用 する. 以 下 に 評 価 方 式 の 条<br />
件 を 挙 げる:<br />
◦ 医 療 従 事 者 として 安 全 に 留 意 した 医 療 を 実 践<br />
できるという 卒 業 時 点 での 学 習 アウトカムに,<br />
学 生 の 学 習 の 方 向 性 を 沿 わせる.<br />
◦ 強 い 形 成 的 な 要 素 を 含 んでおり, 改 善 する 機 会<br />
を 定 期 的 に 設 け,コースを 通 じてカウンセリン<br />
グを 行 う.<br />
◦ 専 門 分 野 ごとの 評 価 でなく,たとえば 臨 床 能 力<br />
の 評 価 と 一 体 になっている.<br />
◦ コースの 各 段 階 における 臨 床 能 力 や 専 門 職 と<br />
しての 態 度 の 評 価 に 組 み 込 まれている.<br />
◦ コースの 各 段 階 における 基 礎 科 学 ( 公 衆 衛 生<br />
学 など)の 試 験 に 組 み 込 まれている.<br />
◦ 段 階 的 に 進 んでいき, 先 の 課 程 で 扱 った 内 容 が<br />
必 ず 以 降 の 試 験 の 出 題 範 囲 に 含 められる.<br />
◦ 医 療 の 質 の 保 証 基 準 を 満 たせるように 作 成 さ<br />
れている.<br />
◦ 作 成 過 程 に 学 生 と 医 療 スタッフを 参 加 させるこ<br />
とで 公 平 さを 保 証 する.<br />
◦ 学 生 の 意 欲 を 高 め, 学 生 が 安 全 な 実 務 を 身 に<br />
付 ける 上 で 必 要 な 方 向 性 を 示 す.<br />
◦ 実 行 可 能 で 教 員 にも 学 生 にも 受 け 入 れられる.<br />
63 Part A 9. 患 者 安 全 の 評 価 方 法