WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...
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にこの 点 に 留 意 する. 患 者 が 入 退 院 する 際 には,<br />
誤 解 , 不 十 分 な 薬 歴 聴 取 , 不 十 分 なコミュニケー<br />
ションによりエラーのリスクが 高 まるため, 入<br />
退 院 の 前 後 で 患 者 が 服 用 する 薬 剤 を 一 致 させ<br />
る 訓 練 をする 7) .<br />
◦よくわからない 薬 剤 があれば,どのようなもの<br />
でも 調 べる 必 要 がある.この 場 合 は, 信 頼 でき<br />
る, 根 拠 に 基 づいた 情 報 源 を 検 索 したり, 薬 剤<br />
師 などの 他 の 医 療 専 門 職 に 相 談 する.<br />
◦ 薬 物 間 の 相 互 作 用 や 薬 物 と 食 物 の 相 互 作 用 ,<br />
中 止 できる 薬 剤 や 副 作 用 を 起 こしうる 薬 剤 に<br />
ついて 検 討 する.<br />
◦アレルギーの 既 往 歴 を 徹 底 的 に 聴 取 する.この<br />
際 , 処 方 者 が 考 慮 している 薬 剤 に 対 して, 患 者<br />
が 重 篤 なアレルギー 反 応 や 重 い 症 状 を 起 こす<br />
恐 れがないかを 必 ず 検 討 する.アレルギーは 大<br />
きなリスクであるため, 患 者 や 他 のスタッフに<br />
注 意 を 喚 起 する.<br />
自 身 の 専 門 領 域 で 使 用 される 薬 剤 の 中 で 29<br />
有 害 事 象 のリスクが 高 いものを 把 握 しておく<br />
薬 物 有 害 事 象 を 起 こしやすいといわれている 薬<br />
剤 がある.その 原 因 は, 投 与 方 法 が 厳 密 に 決 められ<br />
ていたり, 薬 力 学 や 薬 物 動 態 が 特 有 だったり, 投 与<br />
とモニタリングが 複 雑 だったりするからで, 具 体 的<br />
には,インスリン, 経 口 抗 凝 固 薬 , 神 経 筋 遮 断 薬 ,ジ<br />
ゴキシン, 化 学 療 法 薬 , 静 注 カリウム 製 剤 ,アミノグ<br />
リコシド 系 抗 生 物 質 などが 挙 げられる. 薬 物 有 害 事<br />
象 に 関 係 しがちな 薬 剤 には 何 があるか, 薬 剤 師 また<br />
は 自 身 の 領 域 の 薬 剤 関 連 のスタッフに 尋 ねるのが<br />
役 立 つことがある.(これらの 薬 剤 に 関 する 教 育 に<br />
は, 特 に 多 くの 時 間 をかけてもよいであろう.)<br />
自 身 が 処 方 する 薬 剤 を 熟 知 しておく 30<br />
よくわかっていない 薬 剤 は 決 して 処 方 してはな<br />
らない. 現 場 において 頻 繁 に 使 用 する 可 能 性 のある<br />
薬 剤 について 自 宅 学 習 するよう 学 生 を 促 すとよい.<br />
これらの 薬 剤 については, 薬 理 学 , 適 応 , 禁 忌 , 副 作<br />
用 , 特 別 な 注 意 , 投 与 量 , 推 奨 される 投 与 計 画 に 精<br />
通 していなければならないからである.なじみのな<br />
い 薬 剤 を 処 方 する 必 要 がある 場 合 は, 処 方 する 前<br />
に,その 薬 剤 についてよく 調 べるようにする.その<br />
ためには, 直 ちに 利 用 できる 参 考 資 料 が 臨 床 の 場 に<br />
備 わっていなければならない. 処 方 者 は 多 くの 薬 剤<br />
について 表 面 的 に 知 っているよりは, 少 ない 薬 剤 で<br />
あっても 詳 しく 知 っている 方 がよい.たとえば, 非 ス<br />
テロイド 性 の 抗 炎 症 薬 5 種 類 について 学 ぶよりは,<br />
そのうち1 種 類 について 詳 細 に 知 っており,その 薬<br />
剤 を 処 方 するのがよい.しかし, 薬 剤 師 は 多 くの 薬<br />
剤 に 精 通 していなければならない.<br />
記 憶 補 助 ツールを 利 用 する 31<br />
使 用 されている 主 要 な 薬 剤 について 求 められる<br />
知 識 の 大 半 を 頭 に 入 れておくことは, 以 前 は 可 能<br />
だったかもしれないが, 今 日 では, 利 用 できる 薬 剤<br />
の 数 の 爆 発 的 な 増 加 と 処 方 の 複 雑 化 により, 記 憶 に<br />
頼 るだけでは 不 十 分 になっている.<br />
学 生 は 少 しでも 疑 問 に 思 ったらすぐに 調 べること<br />
を 習 慣 にするとともに, 根 拠 に 基 づく 記 憶 補 助 ツー<br />
ルを 独 自 に 選 んで 使 用 することに 慣 れるのが 望 ま<br />
しい.このような 知 的 ツールを 使 用 することは 知 識<br />
が 不 十 分 であることを 意 味 しているのではなく,む<br />
しろ 安 全 な 実 務 遂 行 の 指 標 と 考 えなおさなければ<br />
ならない.ツールには, 教 科 書 ,ポケット 版 の 処 方 集 ,<br />
薬 剤 選 択 と 調 剤 を 支 援 するコンピュータソフトウェ<br />
アやPDAなどのIT 製 品 があるが, 簡 単 なものは 心<br />
停 止 の 場 合 に 必 要 になることのある 薬 剤 全 ての 名<br />
前 と 投 与 量 を 記 入 したカードである.このカードを<br />
いつもポケットに 入 れておけば, 処 方 者 は 緊 急 事 態<br />
に 教 科 書 やコンピュータで 薬 剤 の 処 方 量 を 調 べる<br />
時 間 がない 場 合 に 参 照 できる( 記 憶 補 助 ツールは<br />
認 知 能 力 をも 高 めるツールとみなされている).<br />
薬 剤 を 処 方 または 投 与 する 際 に 32<br />
5つのRを 忘 れずに 確 認 する<br />
薬 剤 の 調 剤 または 投 与 を 行 う 前 に「5つのR」を 確<br />
認 することの 重 要 性 を 強 調 した 訓 練 プログラムが 世<br />
界 の 多 くの 地 域 で 実 施 されている.5つのRとは, 正<br />
しい 薬 剤 (right drug), 正 しい 投 与 経 路 (right<br />
route), 正 しい 投 与 時 間 (right time), 正 しい 用 量<br />
(right dose), 正 しい 患 者 (right patient)のこと<br />
である.このガイドラインは 薬 剤 を 処 方 または 投 与<br />
する 全 ての 医 療 専 門 職 にとって 重 要 である. 本 書 で<br />
は 更 に, 正 しい 記 録 (right documentation)と,ス<br />
タッフ, 患 者 および 介 護 者 が 投 薬 指 示 について 質 問<br />
する 権 利 (right)という2つのRを 追 加 する.<br />
明 確 なコミュニケーションを 行 う 33<br />
薬 剤 の 安 全 な 使 用 はチーム 活 動 であり, 患 者 もま<br />
たチームのメンバーであることを 肝 に 銘 じておくこ<br />
とが 重 要 である. 明 瞭 で,あいまいでないコミュニ<br />
ケーションには,エラーにつながりかねない 思 い 込<br />
みを 最 小 限 に 抑 える 効 果 がある. 投 薬 についてコ<br />
ミュニケーションを 行 う 際 の 大 原 則 は,「 明 白 なやり<br />
245 Part B トピック 11: 投 薬 の 安 全 性 を 改 善 する